【幻想物語 第5章 第7話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

連続更新!!


頑張り過ぎだろ、俺www


とにもかくにも、【第5章】最終話です♪



今回、実に久しぶりにレナが登場しますよ~

レナ好きの方、お待たせしました!!


メインヒロインの座、絶対アスカに奪われるな、こりゃ・・・・ww




ほんじゃま、スタートアップアップ







幻想物語


第5章 第7


Oath of soul



空が夕焼けに染め上げられ、虫達のざわめきがこだまする川沿いの土手に、ライナとレナの姿があった。

ティプラス来訪から11週間。つまり、決戦まで残り1週間となった。

この11週間、ライナは可能な限り体を休めていた。

当然、全てを休養に使ったわけではない。

体が鈍らないように、適度なストレッチとランニングは欠かしていない。

魔法の使用は必要最低限に抑え、決戦のために魔力(ディーガ)を蓄え続けていた。


国民の非難は99%が完了し、残るはほんの一部の一般人と、各国の要人のみ

今日中に全てを終わらせる、という意気込みで世界政府の職員が尽力を注いでいる。


昼と夜を人工的に作った地下シェルターの中では既に多くの人がそれぞれの暮らしを始めている。


当然、今までと全く違う暮らしに違和感を覚える者も数多くいるが、それも決戦が終わるまでの辛抱だ。

いざこざも起こる、喧嘩も起こる、不満も零れる、そんな中でも人々の心が折れないのは、『決戦が終われば、また笑顔で暮らせる日々が訪れる』と心の底から信じているからだ。


そして、戦場の第一線で戦うライナも、自分達の勝利を信じていた。


「1週間後、かぁ・・・・・。」

ごろりと土手に寝転んだレナが、夕空を見上げながら呟いた。


「あぁ、1週間後、だな。」

レナの隣にごろんと寝転び、頭の後ろで両手を組んだ。


本来なら、もっと話をするライナとレナだが、今回は何故かだんまりしている。

いや、こういう状況だからこそだんまりしているのかもしれない。


普段から色んな会話を重ねてきた。

故に、ライナが何を言いたいのか、レナには分かっているのだろう。


「アタシとライナが知り合ったのって・・・・・・いつだっけ・・・・?」

突然突拍子もないことを聞かれ、ライナは一瞬ではあるが反応が遅れてしまった。


「えっ・・・・・・。あっ、あぁ・・・・・・。確か・・・・2歳のときに俺らの家族がレナん家(ち)の隣に引っ越してきたんだっけ。」

「うん・・・・そうだったね。」

急に昔が懐かしくなったのか、レナは微笑を浮かべていた。


「同じ幼稚園、同じ小学校、同じ中学校、同じ高校、何もかも同じ(おんなじ)だったもんね、アタシ達。」

「ホントホント。何度お前を蹴っ飛ばしてやろうと思ったか。」

カッカッカッと大きな声で笑う。

「そ、それはこっちのセリフだよっ。何度思いっきりビンタしようと思ったか。」
自分は悪くない、という副音声がライナにははっきり聞こえていた。




「それはお互い様ってことで。あっ、レナ、高2の修学旅行、覚えてるか?」

「えっ?う、うん。高校生にもなって遊園地とか動物園とかはどうかな、って思っちゃったけど、案外楽しかったよね。」

「レナってさ、遊園地のお化け屋敷で――」

ライナの声を遮る形でレナの大声が辺りに響く。
「ちょっ、それは言わないで!!!とっとと忘れなさいよ!!」



「へーへー、分かりましたよー」

口をへの字に曲げてニシシと笑う。

その笑みには、これから戦いが始まるという恐れなど微塵も感じられない。



「ねぇ・・・・・ライナ・・・・・。」

途端にレナの表情が曇り、その指がライナの服の裾を掴んだ。


「本当に・・・・・大丈夫なの・・・・・?」


「だ、大丈夫だって!余裕余裕!」
先ほどとは違う、作り笑いをして見栄を張った。

余裕なはずがない。

大丈夫かどうかも断言できるかどうか分からない。

いや、むしろ『大丈夫ではない』とあっさり断言できるだろう。



これからが、本番となる。

3年前のレオとの戦いなど、前座の更に前座だ。

やり直しが利かない、一発勝負。

負けなど、絶対に許されない。
負けは、イコール人類の絶滅を意味する。




「嘘・・・・・。ホントは・・・・大丈夫じゃないんでしょ・・・・・?」

今にも泣き出しそうな表情で、声を震わせている。

「だ、大丈夫だって!」
突然確信を突いたように尋ねてきたレナに、ライナはやや上ずった声で答えた。


「嘘だって分かるもん。何年ライナと一緒にいると思ってるの?」
全てを包み込むようなレナの声に、ライナは何も言い返せなかった。



「でも・・・・アタシ信じてる。ライナなら大丈夫だって。」

レナは見えない手で、ライナの背中を押す。

その声には、『絶対に帰ってきて』という意味が秘かに込められていた。


「安心しろ。絶対、生きて帰ってくっから。」
ニッと笑い、バッと起き上がった。





「ホント・・・・・?ホントに、帰ってくる?」

涙目で起き上がったレナがライナの顔を覗き込んで尋ねてくる。

「ホント。約束する。」
「じゃあ、全部終わったら、もっかいここで夕陽を見るって約束して。」

頬を伝う涙に構わず、レナはニコリと笑って見せた。


その涙と笑みが、ライナの中の何かが揺り動かした。


何も言わず、レナをぐいと引き寄せ、抱きしめた。

「約束する。この景色、一緒に見よう。」
耳元で小さく囁くと、その手にグッと力を込めた。



「ヒューヒュー、お熱いねーお二人さん♪」

「ラブラブだねぇ~❤」
「もうちょっと人目を憚ろうよ、って言っても、今人はほとんどいないけどね。」


その場に突然現れたバレット達は、ムードを粉々に叩き壊した。


「なっ、バレット!アスカ!イディン!」

慌てて抱擁を解くと、顔を真っ赤にして詰め寄った。

「お前ら、いつからそこに?」
凄まじい剣幕でぐいぐいと顔を近づけるライナに、バレットは恐怖さえ抱いた。


「ら、ライナが、『あぁ、1週間後、だな』って言った辺りから・・・・・・。なっ?」

目線をイディンとアスカに移し、目でSOSを出している。

「それって、最初っから見てたってことか・・・・・!?」

「あ、いや・・・“ほぼ”最初からだ。」
意味のない言い訳をしたバレットの頭に、ライナの鉄拳が飛んで行った。


ゴッと鈍い音を立ててライナの拳がバレットの額に直撃した。


「痛っ!!ライナっ!てめっ!何しやがる!!」

「うるせーよ!!覗き紛いのことしてた奴が何言ってやがる!!」

そこからは、ギャーギャーと低レベルな口喧嘩が繰り広げられていくこととなる。

それからほんの少しの間、1週間後に戦争が始まることなど微塵も感じさせないほどに、緩やかな時が流れた。




-同時刻 地球衛星軌道上のとある衛星-




「ウィッズ、お前には期待しているぞ。」
アポロンの声に、ウィッズは自信ありげな表情で答えた。

「はい。必ずや、アポロン様のご意向に沿った結果を持って参ります。」


「アポロン様、一つよろしいでしょうか?」

ウィッズを見送るアポロンの耳に、タナトスの乾いた声が響く。

「タナトス・・・・。何だ?言ってみろ。」
先日、ウィッズを黙らせた重圧でギロリとタナトスを睨みつけた。


ウィッズの時とは違い、タナトスは平然と答えた。


「『賢者』の2人、と言っても1人は“あのような”状態ですから、実質1人となりますが、『奴』を地球には差し向けないのですか?」

その一見訳の分からない質問に、アポロンは一拍おいてから微笑して答えた。

「『奴』を差し向けたところで、“今は”お前達の方が上であろう?無駄なことだ。」

「はっ!了解いたしました。わざわざお答え頂きありがたく存じます。」
ダッと片膝をつき、ペコリと頭を下げた。


そのやり取りを見届けると、ウィッズは地球へ向けて、ダンと跳んだ。

ウィッズの姿が確認できなくなると、アポロンはツカツカと王の間へと戻って行った。

「なぁおい、ウィッズの野郎、勝てると思うか?」
ニタニタと不気味な笑みを浮かべながら、言葉に裏の意味を被せて、ディーガは尋ねた。


「お前はどうだといいんだ?」
言葉の裏の意味を受け取ったタナトスが、意味深な笑みを浮かべて質問し返した。


「正直言うと、ウィッズには負けてもらいたいね。第4神官のアイツが死ねば、第3神官である俺に出番が回ってくる。それが楽しみだね。」

予想通りが返ってきたのか、より一層の笑みを浮かべたタナトスは、そのままその場から去って行った。


「お前はどう思う?マリア。ウィッズは勝てると思うか?」

「私は、負けてほしいわね。アナタとは理由が違うけれど、負けてほしい。」

「何故だ?お前は第2神官だ。間には俺がいる。俺が負ける確証でもあるのか?」

「言ったでしょう?『理由は違う』と。ただただ本能のままに戦いを求めるアナタとは違うの。」

ディーガを蔑むような目で睨むと、きっぱりとそう言った。

「じゃあ何故だ?まさかお前、人類に味方するつもりか?」
ディーガは、そんなことをするのはあり得ない、といったような顔でケラケラと笑う。


「違うわよ。ただ、『人類殲滅計画』が『賢者』の1人である『アイツ』の望まない計画だからよ。確かに、『アイツ』は昔も同じ考えを持っていた。『人類のことは、もう少し見守ろう』とそう言っていた。それは、今も変わらない。『人類を見守りたい』とはっきり意志表明してみせたじゃない。『賢者』の2人はアポロン様と同等の立場“だった”。そんな『アイツ』の意見を無視した作戦が、どうも気に食わない。もちろん、戦わないつもりはないし、アポロン様のお考えが間違っていると言うわけじゃない。けれど、『アイツ』は何て言う?きっと、『アポロンは間違っている』というはずよ。もう一度、話し合うべきだと私は思うわ。」


マリアの説明を長々と聞いていたディーガは、マリアの話が終わるとクスリと笑った。


「ならその意見を、アポロン様に直接言えばいいじゃないか。それくらいの覚悟はできているんだろう?」

ディーガの問いかけに、マリアはギリリと歯軋りをした後、何も言わずにその場から去って行った。

最後に、ディーガはマリアを嘲笑して大声でこう言った。

「結局お前はそういう奴なんだよ!『ああしたい』、『こうあればいいのに』と思うだけ!笑えるくらい実行力がない!!そんなに死が怖いか?『アイツ』は死など怖れないんじゃないのか!?人が死ぬのを見たくない、優しき聖母様だなぁ!!」

ゲラゲラと下品な笑いを轟かせ、ディーガもその場から去って行った。






第5章    完




またもやアポロン達が登場しましたね!!

さぁ、皆が言う、『賢者』や『アイツ』とは誰でしょうか?

もちろん、そこんとこの設定は既に考えていますよww


『アイツ』の正体は、第1部の最後か、第2部の前半辺りで暴露したいと思います

いよいよ次回からは【第6章】へとステージを移します

人類VS神官、勝つのはどちらか?

楽しみですね



あっ、「『アイツ』の正体ってもしかして○○○ですか?」とかいうコメントも待っていますのでヾ(@°▽°@)ノ


ではでは、あでゅーо(ж>▽<)y ☆



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