前略 X様

ケニヤのワンジルが日本育ちというのは、駅伝ファンなら皆知っているだろうに。
レースの前には何も言わずに金メダル取ったからと言って「日本の心の勝利」みたいに書きたてるのは根性がさもしい、見苦しい。
それよりも日本にはあのような強い金メダリストを生み出す環境が有るのに、何で日本人のマラソン選手はダメだったのかな。
多分選手だけじゃなくて、そのコーチ陣も、バックアップしている組織もダメだったからなのだろうな。

星野監督をウソつき呼ばわりして吊るし上げるのはいいが、報道はウソをついてはいかん。
あの場で本当に「たたくのは時間止まってる人」とか言ったのか?
前後の文脈から見て「オレを叩くなら叩け、しかしコーチ陣や選手は勘弁してやってくれ、それよりも日本球界の未来の為に提案してくれ」という意味ではないのかな?
「WBCも前向き」とか書いている記事も有るが、消極的ではなく挑戦させて欲しい気持ちが有るにしても、そんな事を今はっきり言える立場じゃないことくらい星野監督もお分かりでしょ。

日本にいなくて、その記者会見も見ていないので、雰囲気が分からず何とも言えないが、本当はどうなのだろうな。
マスコミが先頭に出るバッシングは、いつも本質的な議論から外れているから、まあ本当の事はしばらくは分からないのだろうな。
いずれにせよ、敗軍の将は今、お白州に座して待っているのだから、武士の情けで誰か楽にしてあげなさいよ。
でも首相からして「せいぜい頑張って」と言うような国の偉い人たちだから、敗軍の将でもお友達なら助けて「あなたしかいないからもう一度」とか頼んでしまうのだろうな。

と思っていたら案の定、ナベツネはノモンハンで負けた服部や辻を生き残らせてガダルカナルの悲劇を招いた戦前の軍部と同じだな。
こういうのは野球だけではなくて、北京では陸連も柔道も失態続きだったので似たような組織的或いはトップの人間の欠陥が有るのだろうが、もちろん組織やトップが腐っているのは日本だけではない。
世界各国、大なり小なり似たような事情が有って、例えば中国の政財界と劉翔の関係なんて実際そうなのかも知れない。
だがビジョンも戦略も無くて組織やトップに致命的な問題が有るのは日本が最右翼だという印象が消えない。

ウソの話を書こうとして話がそれた。
ダライ・ラマがル・モンドに「チベットでまた140人殺された」と言った件はその後どうなったんだ?
続報も出ないし中共も無視しているところを見ると、ありゃデマか?
ダライ・ラマがそう言ったという話さえデマだとすると、誰がろくに確認もせずにそんな噂を世界中に流したんだ?

もしもデマだとすると、これはフランス、というか西側マスコミの信用を著しく傷つける行為だな。
だとすると過敏に反応せずゆったりと無視した中共の態度から見て、中国側の工作かも知れぬので、慎重に扱う必要が有るが、裏を取らずに流したんだから、日本のマスコミは責任を取って少なくとも裏を取るか、或いは続報を出せよ。
このままだと狼少年だな。
マスコミと言うのは元来そういうものなのかも知れぬが。

ウソと言えば、開幕式からウソだの偽造だの言われ続けた北京五輪だが、マスゲームの円形の真円度が低い事を見ても判るように、中国の場合は犯罪的なウソと言うよりも単に「いい加減」で、自分の面子を重んじる余り他人の視点が分かっていないのだろうと思う。
だが少なくとも北京五輪の中国人観客の反日パワーは韓国と同じで本物だ。
あれだけ当局が気を遣ったのに、反日デモと同じで抑えが効かなかったのだから、これはもう中国には日本の右翼団体が巨大になったような集団がいることだけは間違いあるまい。
僕は普段からいろいろな中国人と接しており、リアルな中国人の類型を幾つか知っているので、ああいうのが中国の全てだとは思わぬが、中国人の中には間違いなく多くの「日本の敵」がいるということだ。

そしてそのような中国の中の「日本の敵」は、日本の中の「日本の敵」と同じくらい叩き潰すのが厄介だ。
戦前の軍部は大陸にいたそういう「日本の敵」を軍事的に叩き潰そうとして、却って「日本の敵」を大増殖させてしまった。
そのような「敵」は、殺せば殺すほど殖える。
チベットにしても、もしもチベット人が根絶やしにされたとしても、こんな方法では世界中から「中国の敵」が次から次へと現れるので、武力鎮圧は逆効果だという事にいい加減気付いても良さそうなものだ。

だが大日本帝国が失敗したそういう前時代的な方法を中共は止めようとしない。
一口に言うならば、遅れているからである。
日本はペリー来航後87年の1940年に東京オリンピックを開催するところまでこぎつけた。
中国人は世界の現代史に疎いのであまり知らないが、日本のオリンピック開催が初めて決まったのは1964年の東京オリンピックではない。

ちなみに韓国は1988年だが、清朝の朝貢国である事を止めさせられた日清戦争を華夷秩序からの独立の起点とすると、ソウル五輪まで94年である。
そのように考えると、日本も韓国も、華夷秩序以外の「世界」というものを意識してからオリンピック開催まで90年くらいかかっている。
では中国はどうかというと、辛亥革命から北京五輪まで97年で、アヘン戦争から数えると実に168年も経っているのである。
よく「奥運百年の問題」と謂うが、中国人がオリンピックに代表される「世界」というものの存在に気付いて動き始めてから、やはり90年以上経っているのだ。

中国は日本が50年かかって成し遂げた高度成長期を10年に短縮して進めているようだとよく言われるが、「世界」に対峙する国家と国民の意識の変化は、特に中国のような大きな国ではそんなに早くは進まないのだろう。
何が言いたいのかと言うと、日本と中国の国際意識の感覚のズレは、北京2008と東京1964の差の44年ではなくて、東京1940との差の68年かも知れないということだ。
僕が「1964年の東京五輪の時に」などと言うと、中国人の中には時々「また中国を遅れているとバカにしているな」と思いむっとする人もいるが、実は僕はその1.5倍も差が付いていると心の底では思っている。
そうとでも思わなければ、韓国と中国のあの「日本相手なら何をしてもいい。自国を応援するのに何の遠慮も要らない。」というスポーツマンシップの欠片も無い野蛮さを僕は受け入れられない。

ところでスポーツマンシップというのは、騎士道や武士道のような戦闘道徳が無ければ生まれ得ぬもので、「敵ながら天晴れ」という「国家」よりも「個」を大切にする感覚の無い文化集団には存在しないものであろう。
例えばシーズン中にサッパリ打てなかったスンヨプが北京五輪準決勝で韓国の為に放った一発が「敵ながら天晴れ」というやつである。
日本には「個」を大切にする民主主義やプロフェッショナリズムが曲がりなりにも存在し、武士道がまだ残っているので、そういう風に感じられる人も多く、スンヨプは馘首されるどころか後半戦の戦いにおいて読売ファンから大いに期待されているであろう。
但し、あれだけの給料を貰っているのだから活躍しなければやはり馘首だが。

かつてイタリアのペルージャはどういう理由か知らぬが日韓WCの後で安貞桓をクビにした。
イタリア人というのは中国人も呆れるほど享楽的かついい加減な国民なので、サッカーにおけるヨーロッパの国際試合がどんなものか知らぬが、例えばイギリスやフランスやドイツとイタリアが戦う時には、ひょっとすると中国以上にフーリガンがひどいのかも知れない。
もしもそうだとしたら、これしきの反日集団の挑発に一々傷ついている日本は先進的なのではなくナイーブなだけなのかも知れぬ。
一々傷ついている暇が有ったら、そういう「日本の敵」をどのようにして減らすのが効率的で効果的なのかを考えてみよう。

例えば、僕が勤めているこの大連の工場では多くの中国人が働いているが、彼らは決して反日暴徒にはならず、ストライキも起こさず、およそ北京五輪で見た反日ゴロツキ集団とは毛色の異なる中国人の集団であると思う。
何故そうなのかと言えば、一口に言うならば会社と中国人従業員が利害を共有しているからだと思っている。
ナショナリズムとか、反日感情とか、そんなものは自分の個人的利害に比べれば実は大した事は無い。
そんな自分の先祖が受けた屈辱よりも、今の自分の生活をより良くする事の方が余程重大な問題であるというのが通常の独立した思考を持つ人間であろう。

と言うことは、先ずは中国の国内に投資して、日本と利害を共有する「個」を大切にする中国人を増やすことが、「日本の敵」を減らす為の最初の一歩であろうと思う。
それは中国に民主主義を根付かせる事とほとんど同じ意味である。
つまり中共独裁政権が続く限り、中共の指導者が親日的であろうとなかろうと「日本の敵」が増え続けることが予想される。
非民主主義国とは根本的な部分で同盟関係を結ぶ事ができないのだから、福田首相が幾ら中共に擦り寄っても、胡錦濤が日本と仲良くしたいと思っていたとしても、中国から強力な「日本の敵」はいなくなりはしない。

しかし中国に民主主義を根付かせるには更に100年かかるかもしれない。
だから次善の策として、欲張りな中国人を日本の国内に引き込むことを考える事も必要だろうと思う。
例えば中国の資本に日本の会社を高額で買収させれば、その中国資本は日本の価値が下がる事を嫌うであろう。
それは中国人の利害を日本側に近付け、中国人の中の「日本の敵」を減少させる方法に成り得る。

そうして日本と中国がお互いに良い客であり続ける努力をしていれば、利害を同じくする中国人も増加し、そのような日本と利害を同じくする中国人は当然、日本を裏切らないであろう。
だがその為には日本側に売れる価値があるものが続々と生み出され、中国人に評価してもらわねばならぬし、日本の会社を中国人が比較的簡単に買収できるように制度を整備する必要があるのだろう。
そこまでしても、カネはカネ、反日は反日というのなら、仕方が無い。
日本のスポーツ選手は「民主主義が確立されていない中国や、事実上言論の自由が無い韓国の応援団が来るようなスポーツイベントには不愉快なので参加しない」というくらいの腹の括り方をする必要があるかも知れない。

だがそれはスポーツが政治にモロに巻き込まれることであるから、やはりスポーツ選手はそういう国のヤジやブーイングに負けたりするようでは国際試合の大舞台に立つ資格が無いという事なのだろうな。
やはり「日本の敵」を減らすのは政治の仕事だ。
中国人の全てが「日本の敵」ではないが、非民主主義国家である中国の国民は、やはりどこかに「日本の敵」となり得る要素が混じっていると見た方が良いかも知れぬ。
潜在的な「日本の敵」を、真性の「日本の敵」として発現させないために、中国に気を遣う事は或る程度必要なのであろうが、それも根本的な政策として「中国の民主化を手助けする」という日本の対中政策の基本がしっかりしているという裏打ちが無ければ、日本は中国という金持ちに擦り寄る惨めな貧乏人になりかねない。

あんまり関係ないが、野球日韓戦で、多くの中国人が韓国ではなく日本を応援していたらしい。
もしもそれが事実なら、もっと掘り下げた記事を書いて欲しかった。
韓国人ならば「敵の敵は味方」という論理で日本の相手チームを応援しそうな所で却って日本を応援した中国が多かったというのは、韓国が日本よりも嫌われているから、と単に言い切って良いのかどうか。
中国において「日本の敵」を効率的に減らす為のヒントがそこに隠されているかも知れないということを誰も考えなかったのだろうか。

・・・今ニュースを見たが、新井が腰椎疲労骨折か。
星野監督もどうかしていたと思うが、新井も新井じゃな。
ナショナルチームに対する思いや責任感というのも大事だが、広島を飛び出してまで求めた阪神の優勝の瞬間に立ち会うという光栄を蹴ってまで打ち込むことかどうか。
自分の身体をよく知って辞退した赤星と比べるのは酷かも知れぬが、新井はまだまだ真のタイガースの一員にはなり切っていないようだ。

GG佐藤は時間がかかるかも知れぬが、他の代表メンバーはみんな元気に日本で活躍しとって良かった。
心配なのは敵ながら中日。
死のロードが終わってホッとして4連勝している阪神相手に甲子園で負けるのは仕方が無いが、チーム全体に元気が無さそうな感じ。
そうでなくても今年の中日は今ひとつなので、星野監督は中日ファンに恨まれているだろうな。

早々