前略 X様

プライドが高い中国人が相手でも、相手を怒らせるかも知れないと分かっていても、日本人ならば言っておきたいことはある。
歴史問題、教科書問題、靖国問題、尖閣諸島問題、ひっくるめて国民教育の問題。
普通の中国人とは言い争っても無駄な話題が多いが、成り行きでこういう話題になることもあるし、触れないようにと思っていてもつい触れてしまう事もある。
そういう時、中国の悪口ばかりを言っていてはダメである、という事は子供でも分かる。

ならば一方で中国を上手く褒める方法を知っていなければならないのだが、一般に日本人が中国を褒める時には困ることが多い。
普通の日本人が中国の良い所を思い出そうと思っても、悠久の歴史、三国志、急激な経済成長くらいしか思いつかないのではないだろうか。
だが中国の事をよく知ろうと思えば思うほど、中国の悪い所ばかりが目についてしまうというのが日本の現状である。
付け焼き刃の知識で中国人と信頼関係を築くのは難しい。

方法が全く無いわけではない。
僕よりも長い年月、中国人相手にビジネスをしてきた香港時代の僕のボスはよくこう言っていた。
「江沢民は幾ら貶してもいいが、その後で必ず周恩来を褒めること」
これは結構使える。

例えば、「江沢民は天安門事件で成り上がった傲慢な官僚に過ぎないし、李鵬はバカである。
だが李鵬の義父だった周恩来総理は日本人と実際に戦っていながら、日中国交回復時には(腹の内はともかくとして)非常に日本に思いやりのある態度を見せた大宰相であった。中国の長い歴史でもあんな偉い政治家はそう多くはいない。」という感じで言う。
江沢民を貶したすぐ後に周恩来をベタ褒めし、毛沢東や鄧小平に言及しないのがミソである。
周恩来を姑息な宰相と思う中国人はまずいないが、江沢民と李鵬、特に李鵬は中国人の間でも非常に評判が悪く、毛沢東や鄧小平には割り切れない気持ちを持っている中国人も多いからである。

他にも方法が有りそうだが、すぐに思いつかないので、後日思いついた時に書く。
実は明日からちょっと旅行に行ってくるので、そっちの方が気になって仕方がない。
こういう時でも冷静に興味深い話を分かりやすく書けるようになりたい。
それといかなる時でも思考を練られる集中力も欲しい。

早々