(2)「学徒援護会」とは

 

財団法人「学徒援護会」の前身は、昭和20年3月に文部省(当時)内に設置された、戦争遂行の下部組織濃厚な名称を持つ「動員学徒援護会」でした。設置目的は、軍需工場(弾薬生産等の武器生産)や農村に動員(食糧増産のための援農)された学徒に対し、特別扶助や教養指導(内容不明)などの援護事業を行うこと、となっています。

 

「動員学徒援護会」設立後5ヶ月で終戦を迎えたため、名称を財団法人「勤労学徒援護会」と改め、動員を解除された学徒に対し、国の再建のための学徒の動員(散逸を防ぐ)を図った。さらに昭和22年1月には、戦後の混乱の中での学生生活の窮状を見て、動員学徒だけでなく一般学生をも対象とした財団法人「学徒援護会」と名称を改めた。

 

(参考)

 動員学徒援護事業要綱(昭和19年12月27日、文部次官(文部事務次官のこと)名、直轄学校長、公私立大学・高等専門学校長、地方長官宛)

 

1.方針

皇國隆替ノ岐ルル秋國家ノ危急ヲ双肩二荷匕敢然立ツテ生産ニ、国土防衛ニ挺身奉公ノ誠ヲ致シ克ク行學一軆ノ實ヲ擧ゲツツアル動員學徒等ニ對シ其ノ葢忠ノ赤誠ニ應へ物心兩面ノ援護ヲ強化シ一層其ノ士氣ノ昂揚ヲ圓リ後顧ノ憂ナク安ンジテ其ノ職務ニ邁進セシメ以テ生産効率ノ上昇、戦力ノ飛躍的増強ヲ期センガ爲動員学徒等ニ對シ援護事業ヲ實施セントス

 

(「財団法人 学徒援護会25年史」昭和49年6月(1974.6)、財団法人 学徒援護会、P5 参照)