昔、私が法務の新人さんの(生意気にも)教育担当だったとき。
こんなことがあったなーってことを、ふと思い出したので、
今日は思い出話を書こうと思います。
別に、秋だから物思いにふけっているわけじゃありませんよ。
はい。
新人さん「契約書作ってみました!チェックお願いします」
私「はい。お疲れさまー。チェックするね。
(うげげ。もう退社時間間際じゃないかー。デートに間に合わん
・・・という妄想をしてみる)」
さてさて。契約書をチェックしますか・・・・
・・・・!!!!!
私「ねぇ。この契約書、捺印をするのは、A社とB社だけだよね?」
新人さん「はい。そうです。2者契約です」
私「そっか・・・。じゃあさ、この条項、よく考えてみて。
何かおかしいところはない?」
「本商品の売買代金は、B社がA社に支払う。
但し、B社が売買代金を支払わないときには、
C社がB社が支払うべき売買代金をA社に支払わなければならない。」
新人さん「んー。うちは、A社ですから、B社が売買代金を払って
もらえないときに、C社に払ってもらえたら有利ですし、C社は
B社の親会社なので、肩代わりするってことは、そんなに変なこと
じゃないと思いますし。んー。何がおかしいんですかね?」
私「じゃあさ、仮にB社がうちにお金を払ってくれなかったとき、
どうなるのかな?」
新人さん「そりゃ、C社に払ってもらうんですよ。
そう書いてありますし。」
私「C社に、この契約書を持って行って、B社の代わりに払って
くださいって言うの?」
新人さん「ええ」
私「C社は捺印者じゃないんだよね?ということは、C社は、
この契約書の内容に合意してないんだよね?」
新人さん「あ!!!」
私「そう。C社はこの契約書の契約当事者ではないから、
この契約書では、C社に支払いを強制できないんだよね」
新人さん「あーそっか!でも、B社が言うには、C社も
肩代わりしていることについて合意しているそうなんですよ」
私「だったら、C社にも、合意をもらわないと。つまり、C社の
捺印をもらわないと。この契約をA社、B社、C社の3者契約と
するか、もしくは、B社の代わりにC社が払うと約束してくれる
念書をC社からもらわないとね。」
新人さん「なるほど・・・。わかりました。この契約書を3者契約
とするか、2者契約のまま、別途念書をもらうか、担当者に確認
してみます。」
私「はい。よろしくね!これからは、契約当事者ではない第三者を
拘束していないか、つまり、この契約書でちゃんとその第三者に
履行を強制できるかを、チェックしてみてね。」
と、こんな感じで、
新しい視点に触れることができて、
かえって私の方が勉強になることも多かったなぁ・・と。秋。
今回のお話のように、契約当事者ではない第三者を拘束する契約書
を作成する、というミスはあまりないのかもしれないのですが、
慣れていないと、こんなミスをしてしまうこともあるんだな、
ということで、ご参考にしていただけたらと思います。
契約当事者ではない第三者を拘束する契約書は作成しないよ!
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