カラマーゾフの兄弟・あらすじ
父フョードル・カラマーゾフとその三人の息子たちは、父の再婚と遺産相続の問題にかたをつけるため、高僧ゾシマ同席の下、再会する。かねて長男ドミートリは、フョードルと女グルーシェニカの奪い合いをしていた。張り詰めた緊張感が漂う中、話し合いはドミートリのちゃぶ台返しによって中断。フョードルは、結婚を急ぎ、財産を将来の伴侶に相続することを夢に見る。
三男アリョーシャ(ゾシマに師事)は、グルーシェニカと長男の婚約者カテリーナの諍いに立ち会う。カテリーナは彼女を憎んでいたが、望んで二人が遊ぶために手形を振り出したことがある。
ドミートリは、カテリーナと別れたいが、借りた金を返さなければならず、途方に暮れていた。彼の中でフョードル殺害が輪郭を帯び始めていた。
料理屋にて、次男イワンはアリョーシャに、独自の宗教観を語って聞かせた。それは、弱い者は信仰心が薄いため、人間の支配を求めるという無神論を語ったものだった。アリョーシャは、イワンの憔悴を感じとり、心配する。彼はカテリーナに求愛するも振られている。もうここにいる必要がないと見た彼は、モスクワに戻ることする。その途中、父の命令で門番をしている下男スメルジャコフに会い、彼の持病の発作が今にも起こりそうなことを知る。
カラマーゾフの行く末を案じていたゾシマは、いますぐにでも死にそうだった。彼は最後の説教の際、人間は全てのものに対して罪があると告げ、アリョーシャに還俗するとともに、カラマーゾフの騒ぎを収めるよう命じる。亡くなると、反ゾシマ派が起こした横暴にアリョーシャの信仰は揺らぐが、それでもゾシマの願いを忘れることはなかった。
一方、グルーシェニカは、元恋人とよりを戻すため、モークロエに発つ。ドミートリは、不在の彼女の安否を確かめるため、フョードル宅に向かう。そのころスメルジャコフは発作を起こしていて、フョードルだけが部屋にいた。後に語られることには、ドミートリがフョードル宅を後にするころには、満身血だらけの格好で、その手には札束が握られていたという。彼は質屋でピストルを返してもらうと、グルーシェニカの後を追いモークロエに急行する。金をばらまいてグルーシェニカを振り向かせようとするドミートリだったが、彼女が、本当はあなたが好きだと言い、結ばれる。彼はすぐにでもピストル自殺するつもりだったが、追ってきた警察に逮捕されるのだった。
イワンは、裁判の前日にスメルジャコフから、強奪した現金を見せられ、そのうえ彼が犯行に及んだのは、イワン自身が命令したからだと明かされる。スメルジャコフの身勝手な発言を蹴飛ばし、法廷に突き出すと彼は言うが、日の目を浴びる前にスメルジャコフは自殺した。当日ドミートリは徒刑を言い渡されるが、イワンは何の証拠もないまま忘我のままに自首し、一笑に付される。一方、カテリーナはドミートリを諦めきれず、イワンの画策するアメリカ亡命の手続きに加担し、犠牲者としてドミートリとグルーシェニカに手を貸すことにした。ドミートリは亡命しても、必ず、愛するロシアの大地に帰ってくると言う。その言葉に、アリョーシャも同意を示た。亡命は、罪を贖うために、刑事法よりも有意義なプロセスなのだった。