開口。 片手で私の顔をつかみ、中指と親指を両頬に食い込ませ、口をこじ開ける。キスを拒む私に、昔の恋人がしたことだ。あの屈辱を忘れない。あれ以来、キスは拒まないことにしている。屈辱を感じるより、受け入れたほうが楽だからだ。こんな屈辱は男にはわからない。そう思っていた。ところが、男娼の過去を持つ男の子に知り合い、そうでもないことが判った。彼は口にねじ込まれるものを拒まなかった。屈辱を感じないために。さあ、今日から彼の話をしよう。