日本とアメリカの鍼灸師の違いシリーズ第四弾、今回はライセンスを獲得するために必要な試験についてです。

 

アメリカで鍼灸師になるためには国家試験と州試験をパスする必要がある!

日本では鍼灸師を養成する3年制の専門学校または4年制の大学を卒業した後に、「はり師」と「きゅう師」の国家試験をパスすることで鍼灸師として働けるようになります。

 

しかし、アメリカで鍼灸師になるためには国家試験だけでなく州の試験もパスしなければなりません。また、後で詳しく書いていきますが州によって必要な国家試験の科目が異なったり、州試験が必要なかったりします。

 

今までのおさらいをかねて、留学生がアメリカで鍼灸師になるために必要な段階をまとめてみたいと思います。

 

①4年制大学を卒業そしてTOEFL iBT61点以上取得し、鍼灸師を養成する大学院に入学する

(※TOEFL iBTの必要点数は入学する大学院によって異なる可能性があります。)

 

②大学院3年目が始まる前に、TOEFL iBTまたはIELTSでインターンを始めるために必要な点数を取得する

 

③大学院を卒業したのちに、National Certification Commission for Acupuncture and Oriental Medicine (NCCAOM)が提供する国家試験を受験する。

 

④国家試験をパスした後に、州試験を受験する。

 

そして州試験をパスしたら、めでたく鍼灸師として働けるようになります。

 

ざっくり書きましたがアメリカで鍼灸師になるためには基本的にこの4つのステップがあります。

 

国家試験は鍼灸、東洋医学、中医薬学(漢方)、そして西洋医学の4つの科目があるのですが、実はどの州で鍼灸師になるかによって、受験する科目が異なっていきます!

 

自分が卒業した大学院はネバタ州のラスベガスにあるのですが、ネバタ州で鍼灸師になるためには4つ全ての国家試験を受験しなければなりません。

 

そして国家試験をパスした後に、ネバタ州試験を受験する資格を得ることができます。

 

一方、おとなりのカリフォルニア州では国家試験が必要ありません!

 

カリフォルニア州で鍼灸師になるためにはカリフォルニア州試験だけをパスすれば良いのです。

 

これだけ見てみればカリフォルニア州で鍼灸師になった方が簡単そうで良いじゃん!と思うかもしれませんが、カリフォルニア州の試験は難しいと言われていて、州試験の難易度は州によって異なるのです。

 

また2015年のデータによれば、カリフォルニア州では約1万1千人の鍼灸師が働いており、方やネバタ州ではたった57名の鍼灸師しかいません。

 

これは何を意味するのかというとネバタ州で鍼灸師として働く場合、商売敵がとても少ないということです。言い換えれば需要に対して供給が少なく、患者さんに困らない傾向にあると考えられます。

 

実際に、自分が大学院付属のクリニックでインターンをしていたときでさえ、予約が数週間先まで埋まっていたのを覚えています。

 

逆にカリフォルニア州では同業者が多いため、ネバタ州と比べて患者さんを獲得するのにより高い技術や効果的なマーケティングが必要だとも言えます。

 

またオクラホマ州、アラバマ州、そしてサウスダコタ州では鍼灸の法律がないため、国家試験も州の試験も受験する必要もなく鍼灸治療を提供することができます。

 

この3つの州は一番簡単に鍼灸師として働くことができると言えるでしょう。

 

しかし、鍼灸の法律がないというのは法によって守られることはないことを意味しているので、医療訴訟や何らかの問題が起きたときに、どのように対処するのかが明確でなくリスクが大きく伴うとも考えられます。

 

アメリカで鍼灸師として活躍したいと思えば、必要な国家試験の科目数、州試験の有無、自分が働きたい州にどれくらい鍼灸師がいるのか、また鍼灸の法律があるのか、などなど色々な要因を考えていく必要がありますね!