28日、29日に大阪で開催された「第1回リハビリテーションセミナー」に参加してきました。
率直な感想はかなり刺激的な内容で、私自身はかなり深く考えさせられる内容でした。
臨床所見と主に脳神経科学(論文)の知見をうまくマッチングさせながら進行しており、その流れは我々が臨床場面で本来実施していくべき思考過程が反映されていたように思います。
症例提示では「難治性疼痛(厳密には複合性局所疼痛症候群 Complex regional pain syndrome:CRPS)」を呈した症例(症例はallodynia)から、身体イメージの変質、自己と他者の身体感の混在化といった症例の問題点とそのアプローチについて提示されました。
かなりセラピストの試行錯誤が読み取れる症例提示で、そこにはセラピストのあるべき姿が感じ取れました。
「Social Rehabilitation」が今回のキーワード(その説明は割愛)。
今回はその片鱗をみせていただいた、が率直な感想です。Socialと一言で述べても、その解釈は多様性を含んでおり、完全に定義できるものではないかと思います。その捉え方も今後慎重に吟味して発展させていくべきだと思います。
しかし「自己と他者の関係性」をもった視点は非常におもしろく、ディスカッションも盛んに行われていました。今後が楽しみです。
臨床家が評価・治療を行う上での仮説検証作業の重要性を再認識するとともに、論文をどのように病態解釈、治療に応用するか、それが明確に提示されていたセミナーだったと思います。
「エビデンスのある治療を」そう言われる今日ですが、セラピスト自身がエビデンスのある治療を目の前にいる患者に適用できるのか否かを判断する能力が必要です。
エビデンスは基礎研究や臨床研究に基づいて構築されていますが、すべての症例に当てはまるわけがないのは周知されているとおり。
「エビデンスのある治療を患者に提供する」にはその前の判断をしっかりセラピスト自身が持たなければなりません。だからこそ、色んな論文を読む必要があるのだと思います。
一症例をしっかり吟味すること、その積み重ねがまた次の症例や研究に繋がっていく。
そんな正のスパイラルが生み出せるセラピストでありたいですね。