山梨にちなんで、
山梨ふるさと文庫、
著:加藤雅彦
鳴弦物語-加賀美遠光の生涯-という本を読んだ。

この話、甲斐源氏と呼ばれる清和天皇の血族である
人格者として山梨では知る人ぞ知る(らしい)加賀美遠光の生涯が
綴られている。

これまで私の人生の気づきの本は
宮城谷昌光さんの著書“楽毅”だったのですが
この鳴弦物語は気づきの書物に追加です。

他人と比較したり
羨んだり、ねたんだり、貶めたり。
そういう人と出会うと負けじと蹴落としてやる!!と
考えがちな私自身の狭量を反省し
心豊かに生きる上で
大切な自分の中の正義を貫くために
自分を信じる根拠とするためにも
日々の鍛錬、積み重ねが大切なのだと
実感できる本でした。
 村上 春樹 著
 『神の子どもたちはみな踊る』

 本好き、美しい日本語を紡ぐ方の多くが好きな現代作家として選ぶことの多い
 村上春樹さん。
 
 実は、初めて読んだ。
 多くのベストセラーを生み出し、本屋さんには横積みされている。
 あまのじゃくな私は、食わず嫌いをしていた。

 さて。
 この本。
 阪神大震災後に作者がしたためた短編集である。

 結婚のうつろさ、
 生きることへのけだるさ、
 死への憧憬。

 それをそのまま受け止めて、
 その上でありのままに生きることを受け入れる。
 そういう本には共感できるが
 いたずらに生を、性を、死を語る本は不得手だった。

 この本、私はところどころ怒りを覚えた。
 しかし、全てを読み通すと爽快になる。
 6篇の全く異なるお話が最後に一つにまとまる。
 それによって、得られる爽快感なのだと思う。

 確かに美しい日本語を奏でる。
 表現が滑らかでそれでいて想像力を刺激する。
 
 初村上春樹。
 読んでよかった。
 川端康成 著
 『古都』

 京都という街には、大なり小なり羨望を感じている方が多いのではないだろうか?
 少なくとも私は感じている。
 京都の方言も語感がやわらかくてなまめかしい。
 耳にしていて心地よい音だと思っている。 

 京都大学で学んでいた友人は
 『あの柔らかい言葉でえげつないことを言ってるんや』と
 言っていて、確かに彼は関東の女性と結婚したが。
 はんなり美人が京ことばだったらくらくらするけれど。

 さて、このお話。
 川端康成が生み出した言葉の数々が美しい。
 キラキラの宝石箱の中で、
 『どれが一番きれいだと思うか選んで』と言われているかのようだ。
 ちょっときれいすぎて、結局頭に残らなかった。
 このぼんくら頭では、あの世界を泳ぎきれない。

 お話は、訳あって全く違う環境で育った美しい双子の話。
 この二人の地に足のついた強情さが、私には切なかった。