長倉圭井子事務所です。

高等学校進路指導部にて女子の文系・理系別の進路選択の違いに関するご質問がございましたので、調査が既に実施されて公開されているデータ資料につきましてお伝えいたします。

基礎データは文部科学省「学校基本調査」に掲載がございますのでご覧ください。
卒業後の状況調査も参照できると考えます。

労働関係であれば、厚生労働白書・男女共同参画白書が毎年発行されています。
専攻分野別にみた学生数も「男女共同参画白書」女性労働に関しては「女性労働の分析」について厚生労働省編ということで出ております。

特に女子の進路選択ということで絞るならば、「女性労働の分析 2008年~大卒女性の働き方~」厚生労働省 雇用均等・児童家庭局編

厚生労働省が働く女性に関する情報を取りまとめ、毎年発行している「働く女性の実情」に加え、財団が作成した女性労働関係裁判例を巻末に収録したというもので、大卒女性ということで掲載されています。

文系と理系については、大阪大学松繁寿和教授の大規模調査による推計
「文系理系の生涯賃金格差は5000万円」があります。
当該調査についてまとめてある『大学教育効果の実証分析―ある国立大学卒業生たちのその後』松繁寿和【編著】日本評論社 2004年がございます。

平成17年版『国民生活白書』において、女性の生涯獲得賃金が推計されています。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/hm03010303.html
第3-1-25図 女性薬剤師の出産・子育てにかかる機会費用
その次のページをご覧いただくと、女性の50代残存率がわずか1.6%ということで、女性の生涯獲得賃金推計の難しさがお分かりいただけるかと思います。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/hm03010304.html

東京女性財団の『大卒女性のキャリアパターンと就業環境』1999がございまして、
1988、1993、1998の3回調査を行い、大学・短大の女性のキャリアパターンを継続型、転職型、中断型、退職型で分析しており、大学の専門分野も分析軸に入っていますので、参考になる資料と存じます。

女性に関する文系出身・理系出身の違いによる理系進学理由・文系進学理由の違い
についての基礎データは、『高校における女子の<文理>選択と大学進学動向 : 大学生調査の再分析を中心に』河野銀子著
『高校における「文理」選択とジェンダー : 大学生調査の分析から』河野銀子著

『進路選択に関する振返り調査-大学生を対象として-』
平成17年度経済産業省委託調査
http://www.benesse.jp/berd/center/open/report/shinrosentaku/2005/index.html
(※高校進路指導部で参考になる「大学入学までの進路選択課程」「女子の理工学系統への進学」の章もございます。)

女性が再就職希望女性の採用にあたり何を重要視するかにつきましては、以下の資料が有効です。
「若年者・女性向け学習支援プログラム 人材ニーズ調査(第2次調査報告)」
広島県再チャレンジ学習支援協議会 2008
http://www.challenge-hiroshima.net/pdf/needs_enquete.pdf
*p.34

企業が中途採用に当たって重視する条件
平成10年版『働く女性の実情』
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpwj199801/b0074.html
労働省「雇用管理調査」(平成10年)、「キャリア志向の女性の
再就職支援対策に関する調査」ニッセイ基礎研究所 1995年より

その他詳細は公共の関連機関に直接お問い合わせください。
当該テーマの詳細につきましては、男女雇用機会均等法が施行されているからとはいえ、基礎データが不足していると思われます。今後、大学や公共機関等による大規模かつ継続的調査が必要と思われます。
またレファレンスに際し、ご協力を頂いた関係諸氏に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

追記:基礎データの紹介からは離れますが、女性の進路選択を考える際に、結婚・出産の話は切り離せないと考えます。
女性労働を考える際に、現在20・30・40代に影響力のある勝間和代氏が「35歳独身限界説」を唱えています。私自身はコメントを行いませんが、データを踏まえた上で、多様な見解の一つとしてあわせてご紹介をしたく存じます。両方合わせてみることで女性労働における課題が見えてくると思われます。
http://morningmanga.com/katsuma/091105.html