5月下旬、シルヴァーソニックが重度の繋靱帯炎発症により引退、今後は社台ファームで乗馬となることが発表されました。

発表されてすぐに知りましたが今ごろ書きます。

もう8歳ですからね。

いつ引退してもおかしくはないと思っていましたが、池本さんは寂しいでしょうね。

池本啓汰さん。

トレセンに来て、初めてデビュー前の馬を任された、それがシルヴァーソニックだった。

5歳の6月にオープン入りを果たし、

その後ステイヤーズS3着、阪神大賞典3着などを経て22年春の天皇賞に駒を進めた。

『春は調子が上がるのですが、この時はデビュー以来最高と思えるくらい調教でも動いていました。』

期待が高まった。

『それにつれてもの凄く緊張しました。

レース当日のパドックで曳いているときも、吐いちゃうかと思うくらいでした。』

ところが競馬はあっけなく終戦を迎えた。

前扉が開きスタートが切られると同時に落馬。

シルヴァーソニックは騎手を乗せないまま馬群を追走した。

『ゲートまでついていき、スタートを見守ったのですが、『あ！！』という声が聞こえたと思ったらカラ馬で走るシルヴァーソニックの姿が見えました。』

その刹那、頭が真っ白になり動けなくなった。

『他の厩務員さんに抱えられながらバスに乗り込んだのだけは覚えています。』

バスの中に設置されたテレビ画面を見ると、カラ馬のまま、まるでレースに参加しているように走る相棒の姿が見えた。

レースが終わり、バスから降りた瞬間スタンドが『ワッ！！』と湧いた。

『何が起こったのかと思って見ると、１〜2コーナーの間のラチの外に飛び出して横たわるシルヴァーソニックの姿が見えました。』

慌ててシルヴァーソニックのところまで走った。

とはいえ距離があるのでなかなか現場に辿り着かない。

その間も横たわる芦毛の馬体はピクリとも動かない。

『死んじゃったかと思うと涙が溢れました。』

肩を落とし、ようやく愛馬の近くまで行き、泣きながらいつものように呼びかけた。

『シルヴィー！』

すると信じられないことが起きた。

それまで微動だにしなかったシルヴァーソニックが何事もなかったかのように立ち上がったのだ。

『死んでいなかったと思うと、ただただ嬉しかったです。』

すぐに馬体をチェックした。

出血もなければ歩様も問題なかった。

安堵の思いが強くなると同時に思った。

『何でずっと横たわっていたんだ？』

（『落馬、転倒から1年経たずして海外重賞した馬とその担当者の物語』より抜粋）

翌日は寝込んでしまったという池本さん。

この一件で知名度を上げファンが一気に増えたシルヴァーソニック。

それから1年以内にステイヤーズＳとサウジのレッドシーターフハンディキャップ国内外の重賞を制覇するとは誰が思っただろう‥。

↓映像で検証

シルヴァーソニック、落馬し外ラチに激突するも、自ら立ち上がる。２０２２年、第１６５回天皇賞春現地映像、阪神競馬場。スタート直後に躓いて川田騎手が落馬。ゴール後に外ラチに激突して倒れてしまいました。大けがにならなくて幸いでした。一部コメントで係員の到着が遅いとありますが、騎手の乗っていない馬は暴走する恐れがあるので係員は迂闊に近づきません。おそらく係員たちは向こう正面でロープを張ってシルヴァーソニックを誘導する準備をしていたと...

youtu.be

動画開始29秒ごろにシルヴァーソニック背面跳び。

他馬がしれっと横切っていく中、45秒ごろ同じオルフェ産駒のメロディーレーンが心配して？様子を見に来る。

2分26秒、画面左側から黒いヘルメットを被った池本さん登場、おそらくラチをくぐる前に『シルヴィー！』と叫び、その瞬間シルヴァーソニック立ち上がる。

セカンドキャリアがあって良かった。

この先、乗馬の役目を終えてもいわゆる“行方不明”にならないように願っています。

いつまでも元気でね。

ところで、同い年のメロディーレーンはいつまで走るのでしょうね？

貴重なメーヴェの娘ですが、体が小さいから繁殖牝馬になるのは厳しそうですよね。

メロディーレーンの馬主は岡田牧雄氏で、岡田氏が代表をつとめるレックススタッドにはタイトルホルダーが種牡馬として繋養されていますよね。

姉も弟もアイドルホースですし、同じ所にいたら見学者増えそう。

でも増えすぎは困りますね。

ビッグレッドファームはゴールデンウィークに見学者殺到＆マナーの問題もあって来年のゴールデンウィークの見学は休止となったようです。

5月上旬はまだまだ種付けシーズン真っ只中で忙しいですしね。　　

私もいつかゴールドシップに会いに行きたいので、全面的に見学が休止になんてならないよう頼みますよ。

シルヴァーソニック引退とあの壮絶な1日