山田詠美 講談社 イラストなし ☆



・眉目秀麗 誰にでも親切な出来た男だが裏の顔あり

・そんな男の魅力に吸い込まれ、あり地獄のような片想いから逃れられない男

あらかじめお断り

(こちらはBLライトノベルじゃありません

 ジャンル的にはピカレスク<犯罪>小説です)

だから

 2人のHシーンなし



BAD END



誰もが憧れる美貌と優しさを兼ね備えた青年漱太郎

その姿を冷ややかな目で観察していた同級生の夢生だったが、

ある日、偶然漱太郎の残酷な本性を目撃してしまう。

紳士の姿に隠された恐ろしい犯罪者の貌だった。



 完璧に宿る一点の汚点とその背徳にすっかり見せられてしまった

夢生は、それ以来漱太郎の犯罪の告解を聞く者となり、

彼の本性を知る唯一人の人として彼を愛する奴隷となった。




 山田作品初読。

今まであんまり好きになれない作風の先生だったので。

今回帯内容がBLをかもし出していたので手にとって見る感想。

 良く出来た男 漱太郎の人格の綻びである

犯罪行為が「強姦」とは・・・。

なんか矮小、

そういう小さい男ってこともひっくるめての「綻び」なのかしらね。

なんだか、最近新聞TV欄裏を占める矮小な犯罪トピックスの基が

ここに埋まってるって感じですかね。

 特筆なのは主人公たちの側に寄り添う脇役キャラ。

夢生の親友、圭子。

ライトノべルの世界では「女」は散々な扱いだけど

こちらは文芸作?だからかすごく好い役どころで丁寧に描かれている人物。(夢生を見守り、ずっとささえてくれている人物)

読者の目線に近く、今回最も共感できる人間ではないかな、

 なんといっても主人公2人はライトノベル用語「ヤンでる人」だから。



 それにしても、漱太郎の女性への強姦行為も

実は実の妹へのかなわぬ独占力、

性行為への代償行為のような要因で



(ほんと、最後までこの男は矮小な男だなって思ってしまいました)



「悪の教典」の主人公しかり、女にもてたい、

やりたいが最終目標の男って、、、、。

悪を語るに落ちるね、




 そんな漱太郎を愛しぬく夢生にも、共感できない。

自分がなれない表面的成功した暮らし、ワルないい男の雰囲気を

聞いて、見て、触れることで、自ら咀嚼し、代償行為として味わっているだけのよう。



 (主人公に関する描写ができこないのでどんな容姿の男かは

分からないが、)

一時期は、新宿2丁目界隈でそこそこ人気のウリ専してたぐらいだからコンプレックスかかえるほどのことじゃないとおもうんだけど、

 まあ、身近にあんまり眩しい恒星があったら正統な評価も曇ってしまうのだろうか、

(ここからおもいっきりネタバレですが)




 最後は夢生が漱太郎を殺してENDですが

これも、弟のように可愛がっていたウリ専の青年・シゲを

漱太郎に殺され、やっと目が覚めての行為かと思いきや、

 漱太郎の唯一人の慰めが自分ではなかったことへの

報復行為としての殺害だった、ということはがっかりだ~。

 夢生をあんなに求め、支えようとしていた圭子さんや

仕事場の師匠さえ振り切って自ら泥沼に沈んでいく、

あんまりやりきれなくて一晩寝れませんでした。



 読後感、決してよくありませんから

連休仲日の体調著しく良い時に読んでくださいね。



はあ~。