樋口毅宏 新潮社 ☆☆☆☆
こちらはBL作品ではなりません
ジャンルでいえば 娯楽小説でしょうか
ただし
中国闇組織ボス×新興宗教神の孫
ボディーガード × 新興宗教神の孫
などの男×男カプが多数あり あまりにおもしろい小説なので勝手ながら載せてみました
一代で巨大教団を築いた雑司ヶ谷の妖怪・泰が死んだ。その跡を継ぐべく太郎(総受け)は動き出した。
新教祖就任に向けた儀式と抗争の進む「現在」と初代教祖の戦前戦中戦後の受難の「過去」が交錯する。
『さらば雑司ヶ谷』続編でもある。
こちら単体でも読めますが、この世界が楽しめる方はぜひ『さらば~』から読んでくださいね
前作「さらば~」の後、泰の死の連絡を受け 日本に舞い戻ってきた太郎。
その傍らにはガード兼恋人の徹平(攻)の存在があった。
泰の跡を受け、新興宗教団体を引き継ぐことになった太郎に
反発する叔父・貫之からの暗殺と
息子」芳一の復讐に燃える吉蔵の魔の手が伸びる
物語は主人公 太郎と その祖母(実は実母)の泰の時代が交互に登場して進行していく。
いかにして泰があのような雑司が谷の妖怪と恐れられる人物になったのか
(これは前作からの興味もありました)
今作品ではそんな泰の変貌と彼女の妖怪めいた または一人の女としての魅力を伝えています
それにしても今作品では 前作に比べて太郎の性格がかなり極悪になってます
自分が生きるためなら誰がどれだけ死のうと構わないっという傲慢さが炸裂してます
特に復讐を誓う吉蔵から身を守るために自分の宗教団体の信者を捨て駒にして生き残ろうとするところ
なんか
(あんた、前作そんな冷たいヤツじゃなかったよね、 結構友情に厚い青年だったのに、どうしちゃったの~)
ってびっくりしました
それにしても、彼の歪んだマゾヒスティックな性衝動は
前作「さらば~」での中国闇組織 ゴー・テイエシンの女にされてからのことではなかったのね
今作品で語られる彼の過去
小学生のころに、女教師から受けていた調教の数々があんなマゾヒスティックなイカれた精神を作りあげていたとは驚きの過去だね、
彼は前作で中国に飛んだあと、徹平をはじめとする男ばかりの闇組織を作るのだが
そこで ゴーテイエシンとの過去から学んだ
「男と男は裏切らない」
肉の契りが太いパイプを作る
男たちの共犯関係は肉の契りでもって磐石になるということを身をもって形成していく
(男色=武士社会のなりたちですね)
でも、もっとも深い信頼関係は宗教団体の生き字引である「山下」という忠実な秘書だと思う
身体の関係こそないが、どこまでも影となり、盾となり存在する「山下」が一番かっこいーな~
最後の最後、暇を出されたのに
彼なりの嗅覚で主である太郎のキケンを察知し、
文字どうり、盾となり宿敵 貫之の銃弾から主を守る姿が一番目に焼きつきました
本当、樋口さんの文体は シーンが読むというより目に浮かぶようなんだな~
映画のシナリオ読んでる感じです、
登場人物皆 一癖二癖ある人物で善人はかなり少ない
でも なんだかホットケない魅力的な人たちばっかりなんだな~
また 時間がたったら会いたくなる(本当に再会するとゲッってなるのに)
そんなヤツらばかり登場します
そいいったBL的潜在的嗜好のある主人公のキャラ立てもさることながら
この娯楽小説は樋口ワールド=昭和史、現代芸能史を織り込んだ「あ~それそれ知ってる~」
的なところだろう
AKB●8 や 秋元● 松下幸之● 北野● など 誰でもわかる人物が
これでもかこれでもかとエグい登場をして泰や太郎と交差し、ちゃかされまくってます!!
(どこからも樋口先生 クレーム来てないんだろうか そちらが不思議だ=)
そこが面白さのツボで これが許せる 許せないで 読むか 読まないか
FAN層が分かれるんだろうな~