山藍紫姫子 花丸BLACK文庫  水上シン ☆☆


呉服問屋大店の旦那× 公家の若君→陰間


没落公家の子、王麻呂(きみまろ 受)は、美貌の持ち主で、大金と引替えに、なぞめいた男、十右衛門(じゅうえもん 攻)に買い取られる。

 売られた先の「桃源宮」では縛られ、木馬に乗せられ、あらゆる戯を仕込まれる。

 やがて、淫らにほころびはじめたころ、王麻呂は、十右衛門のたくらみにより、商売敵の大店の若旦那、新之助の慰みモノとしてさしだされてしまう。果たして、このまま新之助の慰みモノと堕ちるのか・・・。


毎回、心臓バクバクの山藍作品なのですが、確かにエロスはすごいのだか、

少々がっかり、

(このあとネタバレありなので気をつけてください)


調教プレイが今回のテーマということですが、

しっかりそこに愛があればいいのですが

なんだか、この攻のおじさまは本当に王麻呂のことが好きなんじゃなくて

可愛い少年が好きなだけなんじゃっていう独りよがりの独裁者っぽくて王麻呂がかわいそうになった。

なにより、自分ひとりに心も身体も縛りつけるために最初は陰間茶屋に堕としたり、他の男に抱かせたり

ってそれも結局本当に王麻呂が愛しくてやっていたというより

若いときに袖にされた元想い人の侘助(わびすけ)が手に入らなくて、代わりに同じような公家の若君を今度は

自分の思いどうりの抱き人形にしようとしているだけなんじゃって思いました

 その証拠に、侘助を自分がひそかに経営する桃源宮の代行主として側に置いていたり、

丁稚の男の子に自分の過去の恋話をするとき、侘助へのなみなみならぬ情念を語ってみたり、

コレじゃ 本当に侘助が抱かせてくれないから王麻呂はその身代わりにされているみたいで本当に可愛そうだった。 

 このまま、一生、十右衛門の別荘の座敷牢に閉じ込められて、飼い殺しになるのかと思うとぜんぜん

幸せな気分にならない後味の悪い作品だった~


ただ1つの救いは十右衛門の敵役、新之助がただ、馬鹿なだけのお人よしで

結果的には元婚約者と貧しいけど、所帯を持てたことだけかな

みんなが皆 十右衛門の思いどうりにはならないさ~ ヘン!!