2017年5月末にドイツへ引っ越してきてから約6年、学業を終えて働き口を求めて、2022年から日本とドイツ両国で就職活動をしていました。その結果、コーブルク州立歌劇場の専属合唱団にフルタイムの正規従業員として合格することができました。ドイツの合唱団の仕事はとても保証が厚く、見習い期間を過ぎれば定年まで働くことができます。逆に言ってしまったら、こういう仕事の枠が空くのは一つの劇場や組織では何年かに1回しかなく、(ドイツ全体でみれば毎年数件の募集があります!)本当に運とタイミングとその時に必要に思われている声種と人柄がバッチリあった時にしかなかなか就職できません。コーブルクは私の大好きな詩人リュッケルトの愛した土地であり、一度訪れたかった場所で、招待を頂いたときには本当に運命を感じました。オーディションもこの上なく温かい雰囲気で、私の大好きな雰囲気でした。ミミのアリアを歌ったのですが、途中に相手役のロドルフォが「si」と合いの手を返す場所で合唱団の皆さんが歌って答えてくださって、本当に笑ってしまうようなにこやかなオーディションでした。合格した時には、「慶子みたいな若くて実力のある歌手が来ることをずっと待ってたのよ!」という有難い勿体ないお言葉を頂けたので、私の今までやったことが少しでも還元できるように日々頑張っていこうと思います。後から聞いたことですが、ソプラノ1も歌える声のソプラノ2の歌手を探していたようで、まさに私の声にピッタリでした。

 同僚は皆、とっても温かい人ばかりで、また小さな劇場であることもあり、少人数でとてもいい雰囲気です。先日はオペラの立ち稽古があったのですが、コンサート合唱をメインにミュンヘンで仕事をしてきた私にとって、演じるのは少し恥じらいが出て上手いやり方も分かっていない状態でした。しかし、同僚たちが演出家からの指示に従って、指示以上の素晴らしい演技と、こう動くならこうしたらいいよね、ここに出たらいいよね、というようなものが自然にすぐに動けていて、そして表情や演技がものすごく自然で構えていなくて、感動しました。プロでした。ヨーロッパのノリみたいなものがあるかもしれません。

 そして実は私は少し病気をしてしまって、はじめにもかかわらず少し長く休まなくてはならなくなったのですが、同僚皆から、とある同僚が代表して花束を家まで持ってきてくれました。。。なんて素敵なんだ。。。(:_;)

 私もこんな同僚たちのように、年を重ねてもいい声で歌い続けられるように、そして素晴らしい演者でもあり続けられるように、そして心が綺麗な温かい人でい続けられるように、日々健康に気を付けて頑張っていこうと思います。とにかく、同僚が素晴らしいことと私がこの同僚たちと一緒に働けることにどれだけ感謝しているのか、ストレスフリーで自分に合う働く場所が見つけられることがいかに幸せで尊くて奇跡に近いことなのか、そんな感謝を書きたくて、ここに書いてみました。

 そしていつも応援してくださった皆様、ようやく仕事を安定させ、人生を次のステップに運ぶことができそうです。また日本でも演奏していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。


 コーブルク州立歌劇場の大ホールはイギリス女王ヴィクトリアの夫アルバートも輩出したザクセン=コーブルク=ゴータ家に付属する劇場で、1840年代の公爵エルンスト2世の宮廷劇場の建物だそうです。(Wiki情報)(私の大好きなシューマンに縁のある年からここに建っていただなんて!もうそれだけで感動しちゃう!(笑))そのため、内装はとても豪華でドイツの中でも美しい劇場に挙げられる、観光客がこの劇場で公演を観るためにやってくるような、そんな場所だと聞きました。

 しかし、現在は老朽化が進み、コーブルク駅から線路沿いに進んで徒歩20分ほどのところに代わりとなる、GlobeTheaterができました。ご存じの方は名前を見てピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、ロンドンにあるシェイクスピアの劇場の形をまねて作られました。さすが、イギリス王国との絆をここでも見せてきました(笑)

 そのこけら落としが10月6日に行われます。そして最初の演目はシェイクスピア祭りです。演劇はもちろん、オペラもシェイクスピアの作品が元となった作品「マクベス」から始まります!

 ☆演目の詳細はこちらからどうぞ!

https://www.landestheater-coburg.de/spielplan-karten/ 

 7月からこれに向けて稽古を重ねてきたので本番がとても楽しみです。衣装もこだわって、小さな劇場なのに、ゲストの合唱団員も呼んでの大きな舞台となります。

 新しい劇場で綺麗で素敵でとても嬉しいですが、少し悩ましい知らせも。宮殿前にある今まで使ってきた劇場の改装工事がなかなか進まない、との知らせです。ドイツ語の読める方はぜひ次のリンクを読んでいただき、ご賛同いただける際はぜひとも署名のお力添えをよろしくお願いいたします。いつか、ここの本当の劇場で演奏ができる日を夢見て・・・https://www.openpetition.de/petition/online/landestheater-coburg-sanierung-jetzt-kein-ausstieg-aus-dem-staatsvertrag