まるで南アメリカワールドカップ準決勝を見ているようだった。
ドイツチームは前半ガチンゴチン。それまでの良さが全く陰を潜めていた。
Goal.comでもイタリアが2-1で勝利という回答が一位を占めた。ドイツ国内でも悲観的ムードが漂っていたとのことである。
レーブ監督も妙な意識があったのだろうかいつもの2列目の3人の右サイドのミュラーを下げてトニ・クロースを入れてきた。ということは後ろから狙うということだったのだろう。
しかし試合慣れしていないクロースをここで出すのは少し疑問であり、ドイツ得意の横を使った重厚な攻撃が分断された感がある。
ポルディとゴメスもBildで批判されて、クローゼを出すべきだったと書かれている。これもその通りだろう。
特にゴメちゃんはバイエルンのこともあってドイツでかなり叩かれそうだ。まあ今後発奮してもらえばありがたい。
イタリアは実にドイツとの戦いかたを知っていた。
ドイツがラインを押し上げる中でのカウンター。いつもは最後に爆発するのが前半に爆発した。
そうなると守るのはお得意である。
バロテッリも1戦1戦イタリアチームの戦いかたにフィットしていた。
最初と最後の違いはどうしたものだろうか
また不安気なドイツに対してイタリアは実にリラックスしていたように見える。ドイツは守備でも攻撃でも切り替えが悪く、ぎこちなかった。
イタリアの呪いというのを選手たちは意識していたのだろうか
案外そうかもしれない。
しかしもう一つの呪いがあったような気がする。
かのカイザー、ベッケンバウアー様である。
どうもカイザーが「勝つ」と言い出すころには負けるのもジンクスになっている気がする。
南アメリカワールドカップでも最初はケチをつけていたカイザーが手のひらを返して「強い」とか「勝つ」とか言い出すととたんに今回のようになって負けた。06年ワールドカップも確かそうだったように思う。
カイザーは今回のEUROは行く前から「今のドイツ代表はわが国史上最強のチーム」とか持ち上げて、さらにイタリア戦の前に「ドイツは決勝に行く」と予言なさったのである。
この逆神ベッケンバウアーには根拠があって、1990年のイタリアワールドカップでの西ドイツ優勝後、カイザーが監督を引退なさる折に、「ドイツはこの先何年も無敵であるだろう」と予言なさって、ベルティ・フォクツに監督を代わったのだが、やはりそのカイザーの予言がプレッシャーになってEURO1992決勝で負けたというのである。
「ベルティは今もあの発言を許してくれないんだ」と言い、レーブ監督にも言わないでほしいとお願いされながらやっぱりやっちゃったのである。
女子も負けたのはプレッシャーだそうだから、常勝ドイツのプレッシャーは想像以上に重いのかもしれない。
しかしどうせ次のワールドカップもカイザーはやるに決まってるから、それに耐えうるメンタルの強さを手に入れるしかないだろう。
いずれにせよ若いドイツチームはまだこうしたプレッシャーの大舞台で勝つには経験不足ということだろうか。
一方のイタリアは危機になると強くなる。2006年ドイツワールドカップも八百長問題で大危機になり、それが団結を生んで優勝した。
今回もまた八百長問題で再度大揺れになり、12年ぶりの決勝進出である。
しかしこのイタリアも呪いがある。1回は勝つのだか、その後暴落するという呪いである。
今回の新しいイタリアサッカーが本当に定着し、イタリアサッカーの体質改善が今度こそ始まるのか興味津々だ。
政治的には各国首脳はホッとしているかもしれない。
現在開かれている欧州首脳会議中にドイツが勝っているとますますドイツを止められなくなると思ったかもしれない。ドイツ統合、欧州連合発足時から強すぎるドイツは他国の懸念事だ。
ロイターによれば、偶然だろうが、イタリアとスペインが緊急措置を求めて合意署名を拒んでいるとのことである。
激動するEUの中でのEURO2012決勝戦、どんなドラマが待っているだろうかスペインが勝てば史上初の3連覇。
イタリアが優勝しても1968年以来である。
エンディングは歌劇ミニョンより『君知るや南の国』
この歌はドイツのかの有名なドイツのヴォルフガング・フォン・ゲーテ様の作品「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」に出てくるミニョンの歌、に曲をつけたもの。南の国イタリアの美しさを歌うのだが、今居る国はドイツ。
ドイツ人のイタリアコンプレックスを示していると言われている。ここらへんのドイツ人の心情は複雑
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