ご存知のようにアメリカは能力主義の世界であり、一流大学の修士や博士など高学歴、IQ(Intelligence Quotient =知能指数)が高い人材がビジネスでも成功すると一般的に考えられてきました。
イギリスで創設された、全人口の内上位2%のIQ(知能指数)の持ち主であれば、誰でも入れる国際グループMENSA(メンサ)なる団体があり、会員数は全世界で約12万人、支部は世界40か国にあるが、その会員の約5万人がアメリカ人だと言います。
いかにアメリカで高IQがもてはやされ、高IQが優れたビジネスパースンの条件と見なされているか、高IQ崇拝を表しているかも知れません。
しかし、優れたビジネスパースンの条件はどうもIQだけではないようです。
現在イェール大学学長を務めるピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー 大学教授のジョン・メイヤー博士は、IQが一定の役割を果たしている ことは間違いないが、それだけでないだろうという仮説に立って、ビジネスパーソンを対象にした広範な調査研究を行ないました。
その研究で分かったことは、 「ビジネスで成功した人は、ほぼ例外なく対人関係能力に優れている」 というものでした。
それは具体的に言うと、ビジネス社会で成功 した人は「自分の感情の状態を把握し、そ れを上手に管理・調整するだけでなく、他 者の感情の状態を知覚する能力に長けて いる」というものでした。
両博士は、人格的知性の概念を包摂してEQ(Emotional Intelligence Quotien)に関する基本定義を固め五つの領域に分類して説明しました。それがEQ理論です。
そのEQ理論が20数年位にちょっとしたブームになったことがあります。それは、ダニエル・ゴールマンの著書(日本名『EQこころの知能指数』)が世界的ベストセラーなったからです。
日本でもEQ診断、EQビジネス研修などかなり流行りました。EQを高めるマニュアル本などもありました。
しかし、しだいにEQ理論は廃れていきました。理論は納得できるし、EQは仕事でもそれ以外でも大切だ、しかしどうやって高めるのか効果的な方法がなかったからのようです。
しかし、マインドフルネスの登場で、その流れが変わってきました。それはEQは訓練で高めることが出来る、そのためにマインドフルネスは効果を発揮できると分かってきたからなのです。