サッカー界で育将と呼ばれ、元祖GM(ゼネラルマネージャー)と呼ばれ、ひときわ輝き、存在感を示す男がいる。
その男と最初に会ったのは、今から22年前の1994年、その男がJリーグ・サンフレッチェ広島FCのGMをしている時だった。
その男は、現、吉備国際大学教授の今西和男氏である。
1994年から今西さんの意向で、チームのメンタルトレーニング、チームビルディング、コーチングなどを、その当時いた株式会社ヒューマックスで依頼され指導することになったからだった。
泊まりの集中研修を行ったり、毎月、広島や遠征先に行ってミニレクチャー、全選手の個別コーチング、コーチングスタッフとのミィーテイングなどを行った。
そして、その年にサンフレッチェ広島は、ジュビロスタジアムでサントリーシリーズ初優勝を果たした。私も、その瞬間、ピッチに走り入って、当時キャプテンだった風間八宏選手と抱き合った感動の記憶がある。
そして、岐阜FCの指導まで仕事を一緒にしてきた。
その今西和男氏が、その功績を認められ日本スポーツ学会大賞に選ばれた。真に喜ばしい。
現在のJリーグで、独自の戦術眼と育成術、そして人間性を含めて、輝いているあの人もこの人も皆、今西さんの影響を受けている。
森保一、高木琢也、松田浩、風間八宏、小林伸二、片野坂知宏、上野展裕、森山佳郎、久保竜彦、そして町田のキャプテン・李漢宰などなど。
また、ハンス・オフトのクラブへの監督招聘、日本代表監督への岡田武史氏の推挙などもある。日本サッカーの恩人の一人であろう。
しかしだ!
そんな彼が、乞われてGM,後にクラブ社長になって尽くしたFC岐阜から、真に酷い、不当な扱いを受け、追い出されてしまったのだ。
そのような中で、「オシムの言葉」で知られる著者・木村元彦氏によって精力的に取材され、今西氏をめぐる優れた人柄と教育、大きな功績などエピソード、さらには、Jリーグによるクラブライセンスをちらつかせた上での、不当で身勝手で無責任な人事関与についての裏事情も含めて書籍化された。
私もこの本の取材を受けたが、著者の木村氏は、今西さんの岐阜の解任劇の酷さについて憤慨し、今西さんの名誉を回復したいという想いも著作化の動機の一つだとを語っていた。
今回の日本スポーツ学会大賞受賞は、FC岐阜の解任劇の酷さの中で、当然傷ついてエネルギーを削がれたであろう今西氏にとっても幸いなことであろう。
心からお祝いを申し上げたい。