さて、ご報告ですが今月から立命館大学大学院の専任教授に就任しました。これを機に、仕事を整理し、株式会社アイワークスを辞すことになりました。さぼっておりましたブログも鋭意更新していく予定です!
今回は「マインドイフルネス」について。
最近「マインドフルネス」というストレス対策法をマスコミやネット上でも良く目にします。
アメリカの「TIME」誌でも特集が組まれるなど注目を集めていて、去年の11月のNHKニュースで「マインドフルネス」が取り上げられて、さらに名前が知られるようになったようです。
グーグルやインテルなどの有名企業で、ストレス対策として社員研修に取り入れられるなど評価されていて、日本の企業でも取り入れられはじめているようです。
私が「マインドフルネス」という言葉を知ったのは98年にカリフォルニア州にある大学院、トランスパーソナル心理学研究所(Institute of Transpersonal Psychology 以下ITP)のハコミセラピーのワークショップに参加したときです。
このワークショップでハコミセラピーの「マインドフルネス(自分のなかで起きていることに関心を向け、それらを気づき心を開いていくこと)」を神妙な気持ちで体験しましたことを覚えています。
ハコミセラピーにおける「マインドフルネス」とは何か、そのときの印象で理解したことは、瞑想にも似た、自分の内側を静かに観る状態にとどまり「今、自分の内側で何が起こっているのか」に気づくことで、それまで人生をコントロールしていた固定観念や信じこみ、決めつけやあきらめを変容させるきっかけになる心の状態ということです。
NHKニュースで取り上げられたマインドフルネスとは、このハコミセラピーの「マインドフルネス」のことではなく、正確にはには「マインドフルネスストレス低減法」という別の心理学療法の一つです。
現代精神医学事典(弘文堂2011)によると、日本の禅文化を海外に広くしらしめた仏教学者の鈴木大拙の影響を受けたジョン・カバットジン(マサチューセッツ大学医学大学院教授)が、仏教を宗教としてではなく人間の悩みを解決するための精神科学としてとらえ、医療に取り入れられたストレス低減プログラムです。
具体的な実践方法は、瞑想を中心に、一瞬一瞬の呼吸や体感に意識を集中し、”ただ存在すること”を実践し、”今に生きる”ことのトレーニングを行い、これにより自己受容、セルフコントロールが可能となるのです。
さて、私が駒澤大学で心理を学ぶことを選んだ理由は、当時の駒澤大学に日本で唯一「禅心理学(秋重義治教授)」なる講座があったからです。
大学受験前に仏教と心理学に両方に興味を持っており、さらに不眠症で悩んでいたところ、本で読んだ瞑想(確か禅で行う数息観という方法)を行ったとたん、数回でぐっすり眠れるようになり不眠症が完治してしまったのです。その効果に大いに驚きました。
そこで、大学では仏教と心理学を学んで瞑想の心理治療としての可能性について研究したいと考え、駒澤大学の心理に進学したのです。
卒業論文も修士論文も瞑想に関するものでした。それ以来自分でも瞑想を35年にわたり続けて(最近では真言念誦行がメインになっていますが)、また多くの人に指導もして、そのストレスに対する効果も確認済みです。
そこで「マインドフルネスストレス低減法」の中核になる瞑想法に関して次回以降述べていきたいと思います。