小学生1年生の時に、父がシェットランド・シープドッグの子犬を貰ってきてくれました。
女の子で、母が「ベス」と名付けました。
今思えばそれが、私が獣医師を目指すきっかけの種でした。
私なりに可愛がってお世話をしていたけど、犬の病気に関する知識は乏しく、興味もあまりなかったと思います。
年に1~2回、フィラリア予防やワクチン接種に行く動物病院は、待ち時間が長いのが苦痛な場所でしかありませんでした。
両親も、犬にお金をかけるタイプではなく、最低限の事しかしていなかったと思います。
時代もあったと思いますが、外飼いで、ご飯はスーパーで一番安いフード。
それでも大した病気もせずとても元気で良く食べる子でした。
まぁ、しつけもなっていなかったので吠え癖、噛み癖が問題でしたが![]()
そんなベスが7歳の時に、いつもの元気がなくなり、ご飯を食べても吐いてしまうという体調不良に見舞われました。
様子を見ていたら、膣から膿が出てきて…
これはおかしいという事で動物病院に連れて行くと、「子宮蓄膿症」と言われ、緊急手術となりました。
私が中学2年生の時のことでした。
取り出した大きく腫れた子宮を見せてもらったのを覚えています。
動物病院の方々のお陰で、ベスの命は助かりました。
そして、こんな素晴らしい仕事があるんだという事を初めて知り、獣医師という職業に興味を持つことになりました。
子宮蓄膿症は、子宮に細菌感染がおこり、膿がたまる病気です。
元気や食欲の低下、お水を沢山飲む、嘔吐、下痢など、症状は様々です。
早い段階で膣から膿が出てくれば気づきやすいですが、膿が出てこずにどんどん溜まっている場合は、外から見ただけでは分かりにくいです。
放っておくと、全身に細菌が広がって亡くなってしまいます。
これは、避妊手術をしていれば防げる病気です。
女の子のワンちゃんの避妊手術は、乳腺腫瘍の予防の観点からも、1歳になる前に行うことが推奨されます。
お腹を開いて、子宮と卵巣を摘出する手術です。
でももし赤ちゃんを産ませたいのであれば、適齢期を過ぎてからでも構いません。
避妊手術のために麻酔をかけてお腹を切ることに抵抗がある飼い主さんもいらっしゃると思います。
でも、若い元気な時の避妊手術で弊害が起こる可能性よりも、避妊手術をせずに年をとって子宮蓄膿症になる確率の方がずっとずっと高いです。
その位、子宮蓄膿症は女の子のワンちゃんに多い病気です。
そして、かかってしまうと命に係わる怖い病気です。
治すためには結局、手術で子宮を摘出するしかありません。
しかし高齢で体調が非常に悪くなっている時の手術は、若い時の避妊手術よりとてもハイリスクです。
当時の私たち家族には、こんな知識はなかったと思います。
昭和~平成初期の時代、インターネットもまだ無く、調べるすべも少なかったこともあります![]()
今は知識が豊富な飼い主さんも多いですが、それでも子宮蓄膿症はまだまだ多い病気です。
もしこの病気をよく知らなかったという飼い主さんがこれを読まれ、お役にたてると幸いです。
ベスはその後、慢性外耳炎で通院したりもしましたが、元気な日々を取り戻しました。
そして、13歳の頃、寝たきりになってしまい、両親に看取られて無くなりました。
お世話になった動物病院の先生によると、脊髄に腫瘍が出来ていて手の施しようがなかったそうです。
私はその時、自宅を出て県外の大学に通い、獣医師になるための勉強をしていました。
自分の手で介護や治療をしてあげられなかった悔いが残りましたが、私に色々な事を教えてくれたベスに感謝しています。











