皐月賞のレース回顧

ダービーの為に、まずは皐月賞の結果をきちんと整理しておきたい。まず、ダノンザキッドはあれだけレース前に発汗があったらレースにならない。腹袋のあたりから汗がポタポタと流れ落ちており、私もこの時期に、それもG1の舞台で人気を背負う馬が、あれほど激しくレース前に発汗している姿を見たのは久しく記憶にないほど。体調面(内面)の問題を抱えているように思える。確かにレースで揉まれたことは確かだが、ダノンザキッドはレース前から既に勝負有の状態だった事は確か。ダービーまでの期間では立て直しは難しい。

皐月賞。スタート後200mまでの12.1は早い。その後11.7と流れていくわけだが、有力馬が先団につけたため、レースは前半から緩むことなく終始した。記録上は4角先頭のタイトルホルダーが2着、4角4番手のエフフォーリアが1着となってはいるが、4角で急失速したワールドリバイバルとエフフォーリアは直線入り口でスッと入れ替わっており、実質的には4角2,1番手で競馬をした馬達による決着。つまり、早い流れの中での前残り競馬。

では、何故、息の入らない厳しい流れだったにもかかわらず、4角1,2番手の馬達による決着が実現したのか?その1つは単純に、エフフォーリアとタイトルホルダーの力が1枚抜けていたということ。4角2番手に居たレッドベルオーブ(8着)ワールドリバイバル(12着)の失速からも、その可能性は十分にある。しかしながら、もう1つの可能性。それは、皐月賞当日の馬場状態がレース結果に多分に影響を及ぼした可能性である。

当日は稍重発表とはいえ、3月に3週連続道悪でレースをした影響もあってか、もともと傷んでいる芝コンディションに夜間の雨量が加わり、かなり多くの水分量を含んでいた芝状態にあったと推測出来る。それでも不良コンディションからスタートした当日、稍重になるまでの間がこの時期にしてはあまりにも早かったような気がする。

皐月賞のエフフォーリアの勝ちタイムは 2:00.6、上がりの3Fは36.7。この時計、レースは流れたはずなのに、あまりにも遅すぎないか?これは仮説だが、やはり馬場状態が稍重発表とはいえ、かなり重い馬場であったことを裏付ける1つの時計的な数値だといえる。

さらにそれを後押しするかのように血統的な背景もそれを裏付ける。皐月賞の上位1~4着馬の配合は欧州型。つまり馬力型の馬達による1,2,3,4決着であったということ。ちなみに5着に入ったのが、今回の皐月賞で上りメンバー最速の脚(36.6)を4角8番手の位置から繰り出した父:ディープの11番人気ヨーホーレイク。これでデビュー5戦、いかなる条件下でもメンバー最速の上がりをマークしたことになる。前走のきさらぎ賞でも馬場に泣かされながらのタイム差なしの2着。そして今回も、稍重発表とはいえ、おそらくは現実発表とは異なる重い馬場で、上り最速の脚で欧州型の上位4頭に続いたヨーホーレイク。

最後に、エフフォーリアに存在した皐月賞での最大のツキについて触れておきたい。
1つ目はスタート直後のこと。7番エフフォーリアの内側の馬のゲート出が悪く、スタート後にエフフォーリアは難なく最内に潜り込めたことが皐月賞の道中を楽にした。

さらにもう1点。4角直線入り口でのこと。一瞬前が詰まりかけたエフフォーリアだったが、直前に居たワールドリバイバルの急失速により、ここでも直線入り口で最内に上手く入れ替わるようにして潜り込めた。些細な事のようだが、少々不器用さが見え隠れするエフフォーリアには大きなアドバンテージであった。

また、競馬を知る方なら良くご存じだと思うのだが、馬場が悪い時というのは不思議と勝ち馬との差が極端にひらいてしまうケースが多い。最近の例だと、重馬場で行われた阪神大賞典のディープボンドだろう。2着ユーキャンスマイルに5馬身差。なんとも証明しがたい偶然?とも思える差なのだが、やはりそこに馬場状態が密接に絡んでいると感じているのは私だけではないだろう。

今年の日本ダービー、当日の馬場コンディションが良好ならば、この皐月賞の着順は大きく入れ替わる可能性があるということだけは書き残しておきたい。
さらに、若い横山武ジョッキーはクラシック初制覇の勲章(代償)に目に見えぬ大きすぎる重圧(プレッシャー)を手にしたことだけは間違いようのない現実となった。