五月十七日(火)
今日は地獄の透析日。歌会も終わって皆の歌をじっくり読ませて頂いた。未だ自家注釈が全部出揃ってはいないけど、こっちの解釈とまるっきり違っていたり、成る程、という解説もあったり、やっぱ歌会のような相互批評が出来る”場”じゃないと面白くないことが皆解かったのではないかナ。
早く次回が始まらないかナと思っているのは私だけ?ペデイさんも積極的に発言してくれて、誘った甲斐があったというもの。miwさんをなんとか引き摺りこまなくちゃ・・・・。
miwさん。もしこのブログ見ててくれたら、是非一度、冷やかしでいいから”わいわい歌会”のホーム覗いて下さい。尻込みする必要はさらさらないのですから。是非是非!!
今日の歌
・
*溢れくる涙は言うな追憶は夏やかすみのなかのフィクション
*花の炎よ限りを尽くせイチハツの白きおごりと言わず香を聴く
*再びは開け得ざる扉に凭れつつ過ぎ去きを恋う雨激つ日は
*僧帽筋拘縮なせり はなさかるのちの荒廃ふいにおもえば
*わが持つは花 過ぎ去きの一つとて還るなし今日空は暗雲
五月十六日(月)歌会終了
先ず自分の歌についての謎解きと、推敲後の歌を置いてきた。
理桜さんの鋭い指摘に一言も無い。やっぱり見抜かれてしまった。そういえば理桜さんは、春日井 建ファンだったナ。私論書いて居る時、コメント呉れた覚えがある。
次回は気をつけよう。
今日の歌
・
*蒼ふかき五月の空へ限りなく墜ちゆく危惧のあればたのしき
*ここかしこ闇塊なしてせまる夜にわが敗北のあゆみ止まざる
*懊悩の夏寄らしめてひそやかな汗にわが身の匂うことの 悲
*からからと青葉嵐に舞うものの密度を思う わがうつつ・過去
*とおざかるわが過ぎ去きか背の涯に夏夕雲は緋に燃えてあり
五月十五日(日)
早朝からナイルと氷原用の原稿を纏める。makoさんの助言を色々受けたが、やっぱり自分本位に下記のように纏めてしまった。
makoさんゴメンね。でも、素直に助言どおりにしたのもあります。色々有難う。こころから感謝です。
ナイルへの投稿
、
、遠き日の恋
*月二分を欠く夏の夜の穏しきに浮かび来るかの白きくるぶし
*夏の夜疾く更けるべし只恋わん触るる能わぬいさらゐをこそ
*ともに死すこと能わねばともに生くことなおさらに肌緊まる夜
*風わたる春のひと日ぞ華やげる遥か過の日の人よ顕ちませ
*受話器よりつねに変わらぬ声のしてふと涙ぐむ 君に幸あれ
*みずからを惜しむ心に抱え来て投げ衝てもせず未練なり恋
*さくらへの思いあまたに逝く春や ひとり宴ののちの 倦怠
*昨夜の人常に若かり過去という美しきワインに酔うて見し夢
*喝采の多かればとて真夜深きパントマイムは疾く終わるべし
*輝かに在れ初夏の陽よ淡き虹の如き余情をわが恋えばなお
氷原への投稿
逝く春に
*そこないのあまたを捨ててなおのこる思いを傷のごとく労わる
*とめどなき初夏のしぐれに差す傘のかげぞ わが占有の領域
*午後の陽の射す鮮魚店存念のままに切り売るいのちいくばく
*差す足も抜く足も措き薔薇一花いただきて去るおそはるの庭
*ふかき闇のはらむ悲の色耐えがたくトルソー一つ傍らに置く
*肌は必ず婚姻色に染むべきぞ初夏の汗まみれなるランナー
*わが影を消すがごとくに陽はもはや力失せつつ煙景に入る
*青澄めるはるの陽のもと抒情詩を啄ばみ居るは山鳩かはた
*花あかね野火のごとくに寄するとも酔いぬ掻痒感という美酒
*女ひとりかげ薄く立つ白き炎のごとく噴き上ぐ滝を背にして
五月十四日(土)
今日の歌
/
*はつなつのひとよ素足の涼しさに薔薇踏む罪を恐るるなゆめ
*誰が穿きし靴や爪先細けれど過去形にかかわりたりかかとは
*むざむざと汝がそびら吹く風をただ遺らしめん今朝花は枯れたり
*斬られしは薔薇かわが身か野の果てに墜ちたり肉体の無き頭骨
*易々と散らす他なき花の香を追う痴れごとと知れど酔う身は
今日は全く気分悪い。ロクな歌 詠めそうもない。透析がこたえたナ
もう寝ます。am0.47/may.15.2005
五月十三日(金) 今日は十三日の金曜日!
そろそろ結社誌、同人誌の投稿用原稿を書かないと。
「氷原」の依頼原稿も未だだし。明日、明後日のうちに仕上げよう。
今日はなんだか気が乗らない。
今日の歌
・
*執着のあまたを捨ててなお残る思いを傷のごとくいたわる
*損ないのかく多くして生くる身の初夏 夕陽(せきよう)に酔うことの是非
*とめどなき初夏の時雨に差す傘の影ぞわが占有の領域
*夜半ふと双耳抜けゆく音の在り闇にうしなうものはかそけし
*輝かにあれ初夏の陽よ淡き虹のごとき余情をわが恋えばなお
五月十二日(木) 明日は歌舞伎座六月公演切符売り出し日
午前十時から売り出し!!忘れないように
透析の愚痴
とうとうドライウエイトが49.9kgにされた。吾ながら寂しい限り。
お蔭で足の浮腫が見事に引いた!主任さん曰く、これからも色んな点で微調整が必要だと。
検査データ次第で。カリウム。ナトリウム。燐。カルシウムetc.etc,
水分調整。体重コントロール.特に気をつけるように・・・とのこわーい指示。「貴方、ドクターでしょ?」には参
った。
今日の歌
・
*歌にのみ顕つべき影ぞその白きうなじ匂わずなりて春逝く
*花あかね野火のごとくに寄するとも酔いぬ掻痒感という美酒
*目瞑りて嗅ぐ桃の香よ強く在る中の現し身遠ければなお
*葛藤のわがかたわらにひた寄りて 夕茜 そのさむき色濃く
*朋に死すこと能わねば朋に生くことなおさらに 肌緊まる夜よ
*午後の陽の差す鮮魚店 存念のままに切り売る生命いくばく
2005-05-12 23:37:32
五月十一日(水) 亡き妻の誕生日 汝が魂よ安かれ。
今日は亡くなったカミさんの誕生日だ。命日が六月二十六日だから、もうすぐ一年になる。早いものだ。
彼女に幸せな余生を送らせたとはとても思えない。旦那としては、赤点もいいとこだった、とつくづく思う。あっちの世界でなんとか楽しく暮らしていてくれればいいが・・・。いまさらなにを言っても後の祭りか。
昨日は1900ccも除水されたので、今日はカッタルくてしかたがない。
一生懸命水飲むのを我慢しても、体内に溜まってしまう。治ると言う結果の無い病気くらい辛いものは無い。
明日の命の保証のない人生なんて、若いときには考えも付かない事だ。皆さん、くれぐれも健康には気をつけてね。
今日の歌
・
*ほしいまま涙は在りぬとおやまのかなたくれなゐ色の過去形
*月二分を欠く夏の夜の穏しきに浮かび来るかの白きくるぶし
*夏の夜疾く更くるべし只恋わむ触るる能わぬいさらゐをこそ
*先駆けて行く雲のした黄昏を恋う身しみじみ老ゆるさみしさ
*喘鳴にあかときのゆめ刺されたる日の鬱屈へ霧ふかく沁む
*安らぎは死にこそあらめ青葉照る午後に聴く風 音も無く風
コメント残して行って下さい kei
五月十日(火) わいわい歌会いよいよ発会
わいわい歌会が出発した。総勢14名。まづまづのスタート。とりあえず全員の作品にコメント入れて来る。
makoさんも全員にコメント。お互いに交差しながらブログの上を走り回った。それより驚いたのは、若い(だろう、実態を何も知らぬ)ほにゃらかさんや、理桜さんが、エネルギッシュに、かつ、かなり的確にコメントを置いて行っているのに感心した。将来、恐るべき存在になるだろう。
頼もしいかぎり。何よりも、怖れず、萎縮せず、堂々たる物言いが出来る素晴らしさ。若者の特権かなア。
省みて自分の若い頃を振り返って忸怩たるものがある。
若さに負けず、張り切って行こう。
牽引車のmakoさんも結構張り切っているからこの先が楽しみだ。
今日の歌
・
*いちりんの白き薔薇その香に酔えばわれやしぐれの中の恍惚
・
*香を尋めてやみをさまようやさしさもあらばこそこの夜の泥酔
*黒蝶の昂ぶるごとくひるがえりつつ花を撃つ はなは動かず
*逢瀬などあらねば日暮れ雨に佇ちコートを負荷の如く被りぬ
*青年に添うその妻の眸はさやかなる青葉いろして季移しゆく
*感官も穏しくなりて薔薇の香もふといとわしき夏やたそがれ
五月八日(日) 「悉曇の歌」 第三部
1ア行:あえぬままいくとせこしやうたかたのえにしともえどおいてなおこう
逢えぬまま幾年越しやうたかたの縁と思えど老いてなお恋う
2カ行:かにかくにきみこいやまぬくるしさはけさもさいなむこのおいしみを
かにかくに君恋い止まぬくるしさは今朝も苛む此の老いし身を
3サ行:ささやかにしへあくがるるすねしあのせにふるしぐれそぞろみにしむ
ささやかに死へ憧るる拗ねし吾の背に降る時雨そぞろ身に沁む
4タ行:たちまちにちるはなのありつれづれのてにかがやけりとおやまざくら
忽ちに散る花のありつれづれの掌に輝けり遠やまざくら
5ナ行:なにがなしにがつのかぜのぬるくしてねむりがたきにのむはるしおん
何がなし二月の風の温くして眠り難きに飲むハルシオン
6ハ行:はたとせをひとつおもいにふりしかばへだつとしつきほとどおしまる
二十年を同じ思いに経りしかば隔つ年つきほとど惜しまる
7マ行:ままならぬみをなげけとてむくわれぬめぐりゆゆしきもしおぐさわれ
ままならぬ身を嘆けとて報われぬ運命ゆゆしき藻塩草われ
8ヤ行:やすやすといくるみわれがゆくりなくえたるこいゆえよにはあかせじ
痩す痩すと生くる身われがゆくりなく得たる恋ゆえ世には明せじ
9ラ行:らしんそのりりしさほしやるいやあにれきぜんとありろうしゅうのざん
裸身その凛々しさ欲しや累夜吾に歴然と在り老醜の"惨"
10ワ行:わがむねのいちづのおもいうれうなもえにしのふかきをみななりせば
わが胸の一途の思い憂う汝も縁のふかき女なりせば
塚本氏も「合本 塚本邦雄湊合歌集」のなかで限って言えば、僅かの頭韻歌と鎖歌が見られるだけで、(それも人名とか、書籍の題名とか)献歌、応答歌のみで、いろいろな遊び?をしている彼にしては少ない。
1980年以降に就いては、残念ながら検討してないのでご容赦を。
なかなか苦労するけど奥が深いし、作歌の勉強には持ってこいだと思う。
また日を変えてトライしてみたい。今度は一首を、独立して鑑賞に耐える歌に仕上げることを目標として。
今日の歌
・
*暮れ馴染む五月の空は映すかな吾に死を呼ぶ影を汝が眸を
*こぼるるは花か想いかさみだれを背に痛く聴く胃酸過多の夜
*甘やかに香をふふむ霧屍衣のごと夜気を纏えばこころ安らぐ
*しんしんとあめ散る夜半を耐えながら死を唐突に憧れて居り
*五月雨はかく静かなり病む薔薇の一花定めの位置に凛々しく
*安らぎは死にこそあらめ青葉澄む午後に聴く風 音も無く風
五月七日(土) 「悉曇の歌」に就いて 第二部
021ナ: 亡き母の名をな名乗りそ夏茜流れ行く雲名にし負う夏
022ニ: 西に虹 にわかに匂うにくしみは肉桂色為す二の腕の肉
023ヌ: 濡れそぼつぬばたまの夜の塗り枕主なき時刻(とき)を拭いもならず
024ネ: 寝苦しき閨に寝転び寝もやらず寝覚め歌詠む寝不足のわれ
025ノ: 野いばらに野薔薇・野あざみ・野鶏頭 野の樹を昇る野藤 野育ち
026ハ: はらはらと薔薇亡母の邊に花散らし華々しけれ春や爛漫
027ヒ: 一束の緋百合潜めてひと一人密か夜に発つ「ひかり」東へ
028フ: ふるき良き故里遠し降る雪の符呪めく姿(ふり)をふと想い出づ
029ヘ: 経(へ)りし日にベコニアの邊に斃死せる蛇の一尾の睥睨を恋う
030ホ: ほろびゆく星の炎のほそぼそと乾されゆく夜をほとど欲りおり
031マ: まがなしくまどろむ真夜の窓の外(と)は真冬真盛りまさに末世や
032ミ: 水微温(ぬる)む南の冬を見詰めつつ見事旅立つ水鳥あわれ
33ム: 結ばるる無碍の愛など無と知ればむしろいとしき胸に棲む影
34:メ 盲いたる目に涙せり女日芝の芽生えに触れし女童あわれ
35:モ 木犀の香に悶ゆがに腿揺するもの言わぬ犬・・・もう冬が立つ
36ヤ: 山里のやすらぐ宿に八重雨はやすみなく降る夜気を染めつつ
37ユ: 湯に憩いゆく冬しのぶ夕ならば雪を厭うな揺るる夕月
38ヨ: 世を忍ぶ夜半に世へ寄す「寄せ歌」に酔えば喜びよよと寄り来る
39ラ: 藍青のランプに光る卵黄を裸身に呷るラム酒に交え
40リ: 立冬の林檎まさしく輪廻せよ柳緑花紅流離のわれに
41ル: 縷々言うな流浪のわれぞルイ骸の誄歌うたえず累月を遺る
42レ: 歴史ある礼拝堂に冷雨しきり歴然とありレゾン・デートル
43ロ: 蝋梅のロウたけし香は老痩の炉に伏す身はも朗たりや 冬
44ワ: 忘れ得ぬわが恋ゆえに若き日のわななきいまにわれや侘び人
45終: 貝葉の故き言の葉偲びつつ調べなぞらう悉曇の歌
第一部 終わり