keiの歌日記 -32ページ目

五月十七日(火)

今日は地獄の透析日。歌会も終わって皆の歌をじっくり読ませて頂いた。未だ自家注釈が全部出揃ってはいないけど、こっちの解釈とまるっきり違っていたり、成る程、という解説もあったり、やっぱ歌会のような相互批評が出来る”場”じゃないと面白くないことが皆解かったのではないかナ。

早く次回が始まらないかナと思っているのは私だけ?ペデイさんも積極的に発言してくれて、誘った甲斐があったというもの。miwさんをなんとか引き摺りこまなくちゃ・・・・。

miwさん。もしこのブログ見ててくれたら、是非一度、冷やかしでいいから”わいわい歌会”のホーム覗いて下さい。尻込みする必要はさらさらないのですから。是非是非!!



今日の歌

*溢れくる涙は言うな追憶は夏やかすみのなかのフィクション


*花の炎よ限りを尽くせイチハツの白きおごりと言わず香を聴く


*再びは開け得ざる扉に凭れつつ過ぎ去きを恋う雨激つ日は


*僧帽筋拘縮なせり はなさかるのちの荒廃ふいにおもえば


*わが持つは花 過ぎ去きの一つとて還るなし今日空は暗雲


五月十六日(月)歌会終了

先ず自分の歌についての謎解きと、推敲後の歌を置いてきた。

理桜さんの鋭い指摘に一言も無い。やっぱり見抜かれてしまった。そういえば理桜さんは、春日井 建ファンだったナ。私論書いて居る時、コメント呉れた覚えがある。

 次回は気をつけよう。



今日の歌

*蒼ふかき五月の空へ限りなく墜ちゆく危惧のあればたのしき


*ここかしこ闇塊なしてせまる夜にわが敗北のあゆみ止まざる


*懊悩の夏寄らしめてひそやかな汗にわが身の匂うことの 悲


*からからと青葉嵐に舞うものの密度を思う わがうつつ・過去


*とおざかるわが過ぎ去きか背の涯に夏夕雲は緋に燃えてあり

五月十五日(日)

早朝からナイルと氷原用の原稿を纏める。makoさんの助言を色々受けたが、やっぱり自分本位に下記のように纏めてしまった。

 makoさんゴメンね。でも、素直に助言どおりにしたのもあります。色々有難う。こころから感謝です。


ナイルへの投稿

、遠き日の恋

 

*月二分を欠く夏の夜の穏しきに浮かび来るかの白きくるぶし

 

*夏の夜疾く更けるべし只恋わん触るる能わぬいさらゐをこそ

 

*ともに死すこと能わねばともに生くことなおさらに肌緊まる夜

 

*風わたる春のひと日ぞ華やげる遥か過の日の人よ顕ちませ

 

*受話器よりつねに変わらぬ声のしてふと涙ぐむ 君に幸あれ

 

*みずからを惜しむ心に抱え来て投げ衝てもせず未練なり恋

 

*さくらへの思いあまたに逝く春や ひとり宴ののちの 倦怠

 

*昨夜の人常に若かり過去という美しきワインに酔うて見し

 

*喝采の多かればとて真夜深きパントマイムは疾く終わるべし

 

*輝かに在れ初夏の陽よ淡き虹の如き余情をわが恋えばなお

 

 

 氷原への投稿

 

逝く春に

 

*そこないのあまたを捨ててなおのこる思いを傷のごとく労わる

 

*とめどなき初夏のしぐれに差す傘のかげぞ わが占有の領域

 

*午後の陽の射す鮮魚店存念のままに切り売るいのちいくばく

 

*差す足も抜く足も措き薔薇一花いただきて去るおそはるの庭

 

ふかき闇のはらむ悲の色耐えがたくトルソー一つ傍らに置く

 

肌は必ず婚姻色に染むべきぞ初夏の汗まみれなるランナー

 

*わが影を消すがごとくに陽はもはや力失せつつ煙景に入る

 

青澄めるはるの陽のもと抒情詩を啄ばみ居るは山鳩かはた

 

*花あかね野火のごとくに寄するとも酔いぬ掻痒感という美酒

 

女ひとりかげ薄く立つ白き炎のごとく噴き上ぐ滝を背にして

五月十四日(土)

今日の歌

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*はつなつのひとよ素足の涼しさに薔薇踏む罪を恐るるなゆめ


*誰が穿きし靴や爪先細けれど過去形にかかわりたりかかとは


*むざむざと汝がそびら吹く風をただ遺らしめん今朝花は枯れたり


*斬られしは薔薇かわが身か野の果てに墜ちたり肉体の無き頭骨


*易々と散らす他なき花の香を追う痴れごとと知れど酔う身は



今日は全く気分悪い。ロクな歌 詠めそうもない。透析がこたえたナ

もう寝ます。am0.47/may.15.2005

五月十三日(金) 今日は十三日の金曜日!

そろそろ結社誌、同人誌の投稿用原稿を書かないと。


「氷原」の依頼原稿も未だだし。明日、明後日のうちに仕上げよう。


今日はなんだか気が乗らない。



今日の歌

*執着のあまたを捨ててなお残る思いを傷のごとくいたわる


*損ないのかく多くして生くる身の初夏 夕陽(せきよう)に酔うことの是非


*とめどなき初夏の時雨に差す傘の影ぞわが占有の領域


*夜半ふと双耳抜けゆく音の在り闇にうしなうものはかそけし


*輝かにあれ初夏の陽よ淡き虹のごとき余情をわが恋えばなお

五月十二日(木) 明日は歌舞伎座六月公演切符売り出し日 

五月十三日(金) は歌舞伎座六月公演の切符売り出し日

午前十時から売り出し!!忘れないように


 透析の愚痴


とうとうドライウエイトが49.9kgにされた。吾ながら寂しい限り。


お蔭で足の浮腫が見事に引いた!主任さん曰く、これからも色んな点で微調整が必要だと。


検査データ次第で。カリウム。ナトリウム。燐。カルシウムetc.etc,


水分調整。体重コントロール.特に気をつけるように・・・とのこわーい指示。「貴方、ドクターでしょ?」には参


った。



今日の歌

*歌にのみ顕つべき影ぞその白きうなじ匂わずなりて春逝く


*花あかね野火のごとくに寄するとも酔いぬ掻痒感という美酒


*目瞑りて嗅ぐ桃の香よ強く在る中の現し身遠ければなお


*葛藤のわがかたわらにひた寄りて 夕茜 そのさむき色濃く


*朋に死すこと能わねば朋に生くことなおさらに 肌緊まる夜よ


*午後の陽の差す鮮魚店 存念のままに切り売る生命いくばく

2005-05-12 23:37:32


五月十一日(水) 亡き妻の誕生日 汝が魂よ安かれ。

今日は亡くなったカミさんの誕生日だ。命日が六月二十六日だから、もうすぐ一年になる。早いものだ。

彼女に幸せな余生を送らせたとはとても思えない。旦那としては、赤点もいいとこだった、とつくづく思う。あっちの世界でなんとか楽しく暮らしていてくれればいいが・・・。いまさらなにを言っても後の祭りか。


 昨日は1900ccも除水されたので、今日はカッタルくてしかたがない。

一生懸命水飲むのを我慢しても、体内に溜まってしまう。治ると言う結果の無い病気くらい辛いものは無い。

 明日の命の保証のない人生なんて、若いときには考えも付かない事だ。皆さん、くれぐれも健康には気をつけてね。



今日の歌

*ほしいまま涙は在りぬとおやまのかなたくれなゐ色の過去形


*月二分を欠く夏の夜の穏しきに浮かび来るかの白きくるぶし


*夏の夜疾く更くるべし只恋わむ触るる能わぬいさらゐをこそ


*先駆けて行く雲のした黄昏を恋う身しみじみ老ゆるさみしさ


*喘鳴にあかときのゆめ刺されたる日の鬱屈へ霧ふかく沁む


*安らぎは死にこそあらめ青葉照る午後に聴く風 音も無く風



コメント残して行って下さい   kei




五月十日(火) わいわい歌会いよいよ発会

わいわい歌会が出発した。総勢14名。まづまづのスタート。とりあえず全員の作品にコメント入れて来る。

makoさんも全員にコメント。お互いに交差しながらブログの上を走り回った。それより驚いたのは、若い(だろう、実態を何も知らぬ)ほにゃらかさんや、理桜さんが、エネルギッシュに、かつ、かなり的確にコメントを置いて行っているのに感心した。将来、恐るべき存在になるだろう。

頼もしいかぎり。何よりも、怖れず、萎縮せず、堂々たる物言いが出来る素晴らしさ。若者の特権かなア。

省みて自分の若い頃を振り返って忸怩たるものがある。

若さに負けず、張り切って行こう。

牽引車のmakoさんも結構張り切っているからこの先が楽しみだ。



今日の歌

*いちりんの白き薔薇その香に酔えばわれやしぐれの中の恍惚

*香を尋めてやみをさまようやさしさもあらばこそこの夜の泥酔


*黒蝶の昂ぶるごとくひるがえりつつ花を撃つ はなは動かず


*逢瀬などあらねば日暮れ雨に佇ちコートを負荷の如く被りぬ


*青年に添うその妻の眸はさやかなる青葉いろして季移しゆく


*感官も穏しくなりて薔薇の香もふといとわしき夏やたそがれ



五月八日(日) 「悉曇の歌」  第三部

1ア行:えぬままくとせこしやたかたのにしともえどいてなおこう

       逢えぬまま幾年越しやうたかたの縁と思えど老いてなお恋う


2カ行:にかくにみこいやまぬるしさはさもさいなむのおいしみを

       かにかくに君恋い止まぬくるしさは今朝も苛む此の老いし身を


3サ行:さやかにへあくがるるねしあのにふるしぐれぞろみにしむ

       ささやかに死へ憧るる拗ねし吾の背に降る時雨そぞろ身に沁む


4タ行:ちまちにるはなのありれづれのにかがやけりおやまざくら

       忽ちに散る花のありつれづれの掌に輝けり遠やまざくら


5ナ行:にがなしがつのかぜのるくしてむりがたきにむはるしおん

      何がなし二月の風の温くして眠り難きに飲むハルシオン


6ハ行:たとせをとつおもいにりしかばだつとしつきとどおしまる

       二十年を同じ思いに経りしかば隔つ年つきほとど惜しまる


7マ行:まならぬをなげけとてくわれぬぐりゆゆしきしおぐさわれ

       ままならぬ身を嘆けとて報われぬ運命ゆゆしき藻塩草われ


8ヤ行:すやすとくるみわれがくりなくたるこいゆえにはあかせじ

       痩す痩すと生くる身われがゆくりなく得たる恋ゆえ世には明せじ


9ラ行:しんそのりしさほしやいやあにきぜんとありうしゅうのざん

       裸身その凛々しさ欲しや累夜吾に歴然と在り老醜の"惨"


10ワ行:がむねのちづのおもいれうなもにしのふかきみななりせば  

       わが胸の一途の思い憂う汝も縁のふかき女なりせば



 塚本氏も「合本 塚本邦雄湊合歌集」のなかで限って言えば、僅かの頭韻歌と鎖歌が見られるだけで、(それも人名とか、書籍の題名とか)献歌、応答歌のみで、いろいろな遊び?をしている彼にしては少ない。

 1980年以降に就いては、残念ながら検討してないのでご容赦を。

  なかなか苦労するけど奥が深いし、作歌の勉強には持ってこいだと思う。

 また日を変えてトライしてみたい。今度は一首を、独立して鑑賞に耐える歌に仕上げることを目標として。


今日の歌

*暮れ馴染む五月の空は映すかな吾に死を呼ぶ影を汝が眸を


*こぼるるは花か想いかさみだれを背に痛く聴く胃酸過多の夜


*甘やかに香をふふむ霧屍衣のごと夜気を纏えばこころ安らぐ


*しんしんとあめ散る夜半を耐えながら死を唐突に憧れて居り


*五月雨はかく静かなり病む薔薇の一花定めの位置に凛々しく


*安らぎは死にこそあらめ青葉澄む午後に聴く風 音も無く風

五月七日(土) 「悉曇の歌」に就いて  第二部

021ナ:  亡き母の名をな名乗りそ夏茜流れ行く雲名にし負う夏


022ニ:  西に虹 にわかに匂うにくしみは肉桂色為す二の腕の肉


023ヌ:  濡れそぼつぬばたまの夜の塗り枕主なき時刻(とき)を拭いもならず


024ネ:  寝苦しき閨に寝転び寝もやらず寝覚め歌詠む寝不足のわれ


025ノ:  野いばらに野薔薇・野あざみ・野鶏頭 野の樹を昇る野藤 野育ち


026ハ:  はらはらと薔薇亡母の邊に花散らし華々しけれ春や爛漫


027ヒ:  一束の緋百合潜めてひと一人密か夜に発つ「ひかり」東へ


028フ:  ふるき良き故里遠し降る雪の符呪めく姿(ふり)をふと想い出づ


029ヘ:  経(へ)りし日にベコニアの邊に斃死せる蛇の一尾の睥睨を恋う


030ホ:     ほろびゆく星の炎のほそぼそと乾されゆく夜をほとど欲りおり


031マ:  まがなしくまどろむ真夜の窓の外(と)は真冬真盛りまさに末世や


032ミ:   水微温(ぬる)む南の冬を見詰めつつ見事旅立つ水鳥あわれ


33ム:   結ばるる無碍の愛など無と知ればむしろいとしき胸に棲む影


34:メ    盲いたる目に涙せり女日芝の芽生えに触れし女童あわれ


35:モ   木犀の香に悶ゆがに腿揺するもの言わぬ犬・・・もう冬が立つ


36ヤ:   山里のやすらぐ宿に八重雨はやすみなく降る夜気を染めつつ


37ユ:   湯に憩いゆく冬しのぶ夕ならば雪を厭うな揺るる夕月


38ヨ:   世を忍ぶ夜半に世へ寄す「寄せ歌」に酔えば喜びよよと寄り来る


39ラ:   藍青のランプに光る卵黄を裸身に呷るラム酒に交え


40リ:    立冬の林檎まさしく輪廻せよ柳緑花紅流離のわれに


41ル:   縷々言うな流浪のわれぞルイ骸の誄歌うたえず累月を遺る


42レ:   歴史ある礼拝堂に冷雨しきり歴然とありレゾン・デートル


43ロ:   蝋梅のロウたけし香は老痩の炉に伏す身はも朗たりや 冬


44ワ:   忘れ得ぬわが恋ゆえに若き日のわななきいまにわれや侘び人


45終:   貝葉の故き言の葉偲びつつ調べなぞらう悉曇の歌


      第一部 終わり