いやいやいや、ちょっと待って・・・

 

「なぜオレは坊主になってるんだ!?」

 

確かにバリカン=坊主みたいな流れでそうなっちゃったけど、別に坊主にしたかった訳じゃない。事前にYouTubeでカッコいい短髪にする方法をちゃんと観たじゃないか。

 

横と後ろを刈り上げて、頭頂部から前髪にかけては段階的に長めに残して爽やかなイケおじになるはずだったんじゃないのか?

 

えっ・・・?、鏡の中に映る妖怪はどなたですか?

 

バリカンを持ってない方の左手で、ふぁさふぁさと頭を触ってみる。

 

「あ〜、、、気持ちい・・・😄」

 

 

 

いや、そうじゃなくて!

 

 

やってしまいました。

明日の為にちょっとでも印象よくしたいなとか思ってたんですけど。。。

 

こんな妖怪が月曜の朝から役所に現れたら「ちょっと変な人来ちゃったなぁ」とか思われるでしょ、絶対・・・。

 

 

 

わたくしの頭の形はとてつもなく変です。

 

頭頂部はなんとなく尖ってて、後頭部は断崖絶壁、一般的におでこは眉毛の上から頭頂部までが丸みを帯びた感じになるのが美しいラインだと思いますが、私の場合は横から見るとまるで眉毛から山頂まで直線で結んだかのような坂道です。

 

小学校2年生の夏休みに田舎のじいちゃんに丸刈りにされて、二学期に登校すると友達からつけられたあだ名が“どんぐり“でした。

 

それ以来、私はその形の悪い頭を隠すために、“どんぐり“と言うトラウマを払拭するために、それから数十年間ずーっとロン毛なのです。

 

根っからの野球少年だった私は当然中学校でも野球部に入ろうと、入学式の数日後に体験入部に行きました。

キャッチボールとか軽くバッティングをさせてもらったりして、中学でも野球をやる気満々だった私は、先輩に少しでもアピールしようとハツラツとプレーしました。

 

ひとしきりの体験練習が終わって、最後に先輩から「君は絶対入ってくれ!練習は厳しくやるけど、楽しみにしてるね!あと、野球部に入るなら“坊主“にしてきてね」という有難いお言葉を頂戴し、私の野球の道は見事にフェードアウトするのでした。

 

 

 

 

鏡の前の私は紛うことなき坊主です。

これから数ヶ月か、半年か、1年か、鏡の前にはこの妖怪が映り込み続けるのです。

 

もう、茫然自失です。

 

でも・・・、

なんかよくわからないけど、いろいろ吹っ切れた自分も同時に現れてきました。

 

昨夜、この世から消える予定だった自分。今日はもうこの世にはいなかったはずの自分。

もう見た目すら今までの自分じゃない自分。

 

明日は新しい自分と迎える初日だ。

 

オレにも明日は来る。

 

シャワーを浴びて散歩でもしに行こう。

 

もう外に出る為に身繕いも髪にドライヤーをあてる面倒くささもない。

 

もうシャンプーすらいらん。

 

Tシャツと短パンとサンダルと魂と体だけだ。

 

 

 

 

 

続きます。

 

次回はついに役所に行きます。