タイトル通り、猫とその飼い主との交流と言ってしまえばそれだけなのだが、そこが男性ということがどうやらポイント。

アメリカでは猫の飼い主は女性というイメージらしく、猫好きな男性は「変わり者」と言われる傾向にあるらしい。まずはその価値観の違いにびっくり。映画の中にも「まさか自分が猫を飼うなんて」とか「猫が好きと言えなかった」などの言葉も出てきて、猫好き男性には窮屈な国だったのだなぁと驚かされた。

映画には数組の猫とその飼い主が登場。

オープニングは軽快なメロディと共に、俳優をしながらインスタで動画配信をしているネイサンと猫たちが紹介される。ルームメイトが飼っていた猫に懐かれ、新たにもう１匹飼い始めたが、同居解消の際置いていかれ、さらにもう１匹増えて３匹と暮らしているネイサン。猫動画でフォロワーが増えたと、楽しそうに映像を撮る。

その次がハイキングが趣味のジェフ。犬を連れてハイキングする友人のように、猫とハイキングできないかと思っていた時に出会ったズールー。好奇心旺盛で、ジェフの肩に乗り山を散策する。

この後にも、愛猫のトーラと長距離トラックで共に旅しながらその様子を配信しているデヴィット、消防署内に住み着いたフレイムを可愛がるジョーダン、町内の猫が増えすぎないように去勢や避妊を行ったり、里親探しの活動を行っているウィル、王者の風格を持つメインクーンのトゥドゥールズとスタントマンのライアン、偶然撮った飼い猫キーズの写真がバズってグッズまで作ってしまった教師のピーター。

そんな彼らの中でも、より深く猫と繋がっているのが路上生活を送っているデヴィットとラッキー。自身も職を失って、今日の食事にも困る状態だったのに、死にそうな仔猫を見つけ、世話を焼いて育てたデヴィット。命を拾ったということから名付けられたラッキーという名だが、このラッキーの存在が、デヴィットの生きる希望にもなっている。

映画は、猫と彼らに寄り添う飼い主（とうさん）を淡々と撮っている。しかし、彼らが猫たちに注ぐ優しい眼差しや仕草から、彼らがどれほど猫たちを愛し、大切にしているかが伝わってくる。

私は本来犬派だし、猫を飼ったことはないけれど、猫派のみならず、犬派にもぜひ見てほしい一本。とにかく見終わったあと、無性に猫を撫でたくなった。

監督:マイ・ホン　　2022/アメリカ

映画「猫ととうさん」感想