シン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観てきました。
ネタバレします。感想です。
昔、物語を書くような人間になりたいと思って、狂ったように映画なり本なりに触れては感想を書いていた。
小指の先っちょくらいの可能性を感じたこともあったけれど、まあ叶ってはいない。それはどうでもいい。
感想を書きたいなと思ったのは実にその時期以来のことで、最後に書いたのは確かインファナル・アフェアだったかな。
今、30歳である。初めてエヴァンゲリオンを見たのは奇しくもシンジたちと同じ14歳の時だった。
あれから16年経った。自分の半生をエヴァと共に歩んだと言っても過言ではない。
今回シン・エヴァを見て改めてそう思った。
エヴァンゲリオンは、物語上の欲求を満たされないキャラクターたちのストーリーである。
旧劇場版「まごころを、君に」のあの赤い海のラストシーンに集約するように。
インファナル・アフェアもその点では同じで、自分はきっと、総じて、キャラたちが満たされない物語が好きなのだろう。
そのきっかけがエヴァンゲリオンだったわけである。
今回のエヴァはどうだろう。最後の最後に、キャラたちは満たされていた。
ある意味悪癖とも言える、心理葛藤描写や説明の欠落などこの際どうでもよくなっていた。
碇シンジと言う少年は、他者との関わりを捨てず、己が置かれている状況で最大限の努力を試みていた。
それこそが、庵野秀明総監督の、(他者への含む)自身が足をつけ関わる世界への愛なのだと解釈した。
なんて素晴らしい結末だろう。
自分は庵野監督に会ったことはない。それでも作品を通して絆のようなものを勝手に感じていた。
過去を肯定すると言うよりかは、否定はせずあったものとして受け止める。監督のその覚悟が結実した結果なのだと感じた。
多感な時期にエヴァと出会い、その直後くらいに母親を失った身としてはまあ、ある程度人生に影響はされたのである。エヴァに。
憎む、とかは流石にはないけれど、己の未成熟さと作品を、ひいては監督と重ねる節は確かにあった。
その身から言わせてもらうと、今回のシン・エヴァはこれ以上ない、最高の終わりを迎えた。
社会に出て、他者と関わりを持つことは、大変なことである。
会う人、立場、関わり方で求められる役割はコロコロ変わるし、時にはこいつはくだらない、と切り捨てられてしまうこともある。
他者との関わりを捨てて自分の世界に閉じこもってしまうことなんて、いくらでも出来たのである。
そうしなかったたった一つの理由が、妻をはじめとする他者との絆だったのだ。
関わりに戸惑い、関わりに助けられる。結局自分はどこまでもそういう、ずっと前から知ってた、その仕組みから逃れられなかった。けどそれは結果的に正解だったと言える。
庵野監督もきっと、同じだったんだろうなと思う。
シン・エヴァは、四半世紀に及ぶ内省の繰り返しと言う物語における、卒業の物語である。
過去の自分を否定せず、握手をして別れを告げる。
関わり合う人たちと衝突しつつ、許しあう。
紛れもない人間讃歌の物語へと昇華した、エヴァンゲリオンに。
ありがとうとおめでとうを言いたい。