季節は巡り、受験シーズンとなった。
私は必死に勉強し、県立大の国文学科に合格した。ひかるに合格を伝えると、「おめでとう、お疲れさま」と優しく抱きしめてくれた。ここ最近はずっと静かに応援してくれていた。きっとたくさん我慢させてしまっていただろう。
残り少ない高校生活で、ひかるとたくさん思い出を作りたいと思った。写真をたくさん撮って、手を繋いで一緒に帰って、休みの日はお互いの家で遊んだり、出かけたりした。
そして私は卒業式を迎えた。ひかるとの思い出が詰まった学校を離れるのは少しだけ寂しい。ひかると手を繋いで帰る毎日が無くなるのはかなり寂しい。そうセンチメンタルになっていると、ひかるが真っ直ぐに目を見て言ってきた。
ひ「由依さん、1年だけ待っててくださいね。すぐに追いつきますよ」
大学にはアパートを借りて、そこから通った。実家から通えない距離ではないが、社会勉強として一人暮らしを経験したいと言ったら、セキュリティのしっかりした所ならと、両親も賛成してくれた。
大学は高校より自由で楽だった。塾講師のアルバイトもして、ときどき時間が合うとひかるを高校に迎えに行って、手を繋いで帰った。
しかし、高校の時のように毎日会えるわけでもなく、連絡はするけどなかなか会えず、寂しいと感じてしまう。私が受験の時はひかるもこんな思いだったのかもと思い、余計寂しくなった。
ひかるに会いたいなぁ、ひかるにギューッと強く抱きしめられたいなぁと寂しさが限界になってきた9月下旬。大学での授業を終え、帰ると、アパートの前に制服姿のひかるがいた。
由「ひかるっ!!どうしたの?!」
ひ「おかえりなさい、由依さん」
由「なんでいるの?」
ひ「受かったよ」
由「え?」
ひ「大学、受かった」
由「え?!どういうこと?だってまだ受験、、」
ひ「総合型で受かった。はやく由依さんに会いたくて、はやく受験終わる方法考えたらこれだった。由依さんと同じ県立大の英文学科だよ。春からまた一緒に通えるね」
由「、、すごすぎでしょ、、おめでとうひかる!」
ひ「ありがとう由依さん。ねぇ今日泊まってもいい?」
由「え!泊まれるの?!」
ひ「うん、だって受験終わりましたから!」
由「そっか、、ねぇひかる、、寂しかった、、」
ひ「私も寂しかったですよ」
由「おうち入ろ」
ひ「おじゃまします」
ひかるは靴を揃えて私の後ろを付いてくる。私は荷物を置いて上着を脱いだ。そうするとすぐにひかるが後ろから抱きしめてきた。
ひ「おかえりなさい、由依ちゃん」
由「ひかるも、、おかえり」
ひかるは私を由依ちゃんと呼んだ。家の中だからだろうか。この些細な呼び方の違いがひかるなりの愛情表現だと思うと不器用で可愛い。
ぎゅううっと背中に抱きついているひかるをくっつけたまま、洗面所に移動し手洗いうがいを済ませる。
由「ほら、ひかるも」
ひ「、、はーい」
離れたくないのか少し不満げに返事をし、手を洗い始めた。その間に私は2人分のお茶をコップに注ぎ、テーブルに置いた。一人暮らしの家にソファーはなく、ベットを背もたれに床に置いたクッションに座る。
手洗いうがいを終えたひかるがリビングにやってきて、私の隣に腰掛けた。そして私が持っていたコップを奪いテーブルに置いて、両腕を広げた。
ひ「由依ちゃん」
ひかるのかわいいハグのお強請りに負け、広げられた両腕に入り込んだ。するとひかるは私の首元に顔を埋め、スゥーっと息を吸い込んだ。
ひ「はぁ〜、由依ちゃんいい匂い」
由「やだ嗅がないでよ」
ひ「んふふ〜」
犬みたいなことを言って、顔をスリスリと押し付けてくるひかる。
由「ひかるって、こんなくっつき虫だったっけ?」
なんとなく、思ったことを言ってみた。
それだけだったのに、この言葉がひかるのスイッチを押してしまったらしい。私の首元に埋めていた顔を上げて、グッと踏み込むような視線を向けてくる。
ひ「くっつきますよ。ずっと我慢しとったからね。勉強中もずっと。由依ちゃんに触りたいって、ずっと思っとった」
そう言いながらひかるは左手を私の背中、右手を太ももに回し、撫でてきた。その優しい手つきにドキッとしてビクっと反応してしまう。
ひ「ねぇ、、もっと触ってもよか?」