映画「朝が来る」感想 河瀨直美監督作品 | S blog  -えすぶろ-

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久々に映画館で涙腺崩壊・・・河瀨直美監督の傑作映画「朝が来る」を10/24観てきました。劇場でこの映画を観ることができて本当に良かった。

 

まず、映画と完全に融合一体化した素晴らしい主題歌、C&Kの「アサトヒカリ」に感動、映画鑑賞後に早速ダウンロードして聴きまくっていますが、この3日間、心に沁みる歌詞と共に映画のシーンも浮かんできて、聴くたびに涙が。。。 

 

映画公開を待ちきれずに原作を先に読んで感想も書きましたが・・・

辻村深月「朝が来る」感想 河瀨直美監督映画化10月公開

小説の映画化やドラマ化はだいたい原作の方がいいなぁと思うことが多いですが、この「朝が来る」、辻村深月の原作にも感動しましたが、それを超える感動を受けました。河瀨直美監督、原作ものは「あん」に続きこれが2作目だと思いますが、「あん」も原作超えの傑作でした。でも今回の「朝が来る」は更にすごかった!河瀨作品中最高傑作だと思います。

 

最初から名女優・永作博美には泣かされるだろうと思っていて案の定そのとおりになりましたが(笑)、中学生で子供を産んだ後、「ひかり=朝」の世界から「闇=夜」の世界へと転落していく「ひかり」役の蒔田彩珠が圧巻の演技、強烈に泣かされました。

でも、原作よりもひかりが悲惨な目に合い堕ちていく場面が少なかったので良かった・・・

 

明けない「夜=闇」は無い。「朝=ひかり」は必ずやって来る。小説でも感涙感動のラストでしたが、映画では更にそのラストシーンから主題歌「アサトヒカリ」が流れるエンドロールが流れた最後の最後に大きな「希望=朝=ひかり」が感じられる感動の結末が待っていました。

 

今作では、永作博美、蒔田彩珠と並び、浅田美代子も強烈な存在感でした。特にどスッピンをさらけ出してのシーンは、まるで樹木希林の再来のようだった。。。ずっと特別養子縁組を続けてきた浅見さん以外の何者でもないような存在感でした。

他にもひかりの母親役の中島ひろ子(30年前の中原俊監督映画「櫻の園」で女子高生演劇部長役主演だった)も良かったし、妊婦役の女優たちもものすごく良かった・・・ということで、この映画は主題からして当然ですが、圧倒的に女優の存在感が光る映画でした。

 

「役積み」をした後に「順撮り」で作られたまるでドキュメンタリー映画のような河瀨作品。映画を観たというより、スクリーンの中の人々の人生を一緒に体験したような感覚。それだけに映画を観た後の心の残り方が生々しくて深過ぎます。

河瀨直美監督独特の演出法、役積み・順撮り

 

この映画は間違いなく今年の映画の最高傑作の一本、というか、映画史に残る傑作の一本だと思います。

永作博美・蒔田彩珠・浅田美代子は女優賞総ナメかも。

 

パンフレットはインタビュー記事も多くかなり濃い内容でした。映画鑑賞後じっくり熟読。

直木賞、本屋大賞受賞作家・辻村深月のヒューマンミステリー小説で、テレビドラマ化もされた「朝が来る」を、「あん」「光」の河瀬直美監督のメガホンで映画化。栗原清和と佐都子の夫婦は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってくる。当時14歳で出産した子を、清和と佐都子のもとへ養子に出すことになったひかりは、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。栗原佐都子役を永作博美、栗原清和役を井浦新、片倉ひかり役を蒔田彩珠、栗原夫婦とひかりを引き合わせる浅見静恵役を浅田美代子がそれぞれ演じる。新型コロナウイルスの影響で通常開催が見送られた、2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出。