山側のアーケードのある商店街をぶらぶら歩く。

 賑わいが乏しくなったら、海側へ出よう。

 

 しかしこの様子は「似ている町」が私の経験からは出てこない感じだ。

 線路沿いだけど道幅が広い。それなりににぎわってる。


 

 当初の予定どおり、少し賑わいが少なくなったところで表側に出た。おお、車の通りが多い。メインストリートだ。

 しばらく歩くと元町中心部に出た。大丸が見える。

 

 東京や大阪では、福岡でも、デパートは固まって同じ地区にあることが多いので、この様子は初めて見たときも不思議だった。元町に大丸、三ノ宮に阪急、他にもみんな最寄り駅が違う。

 

 さて、アーケードに入るとすぐにユーハイムが見つかった。

 一階の洋菓子売り場は、普通デパートのテナントで見かけるユーハイムとは趣が違う。かといって、昔丸ビルで見たような店舗ともちがって、なんというのか「質実剛健」!?。

 色とりどり、華やかでキラキラという感じでは全くなく、だがしかし、絶対においしい雰囲気を漂わせている。

 私はここのフロッケンザーネトルテとフランクフルタークランツとレモンパイ(夏季限定)が大好きなのだが、しかしどうせなら地元では食べられないようなものが食べたい。

 本店限定のショートケーキと、シュヴァルツベルダーキルシュパフェ、どちらか迷って、今回はショートケーキに。

 

 

 うん、でっかい。下で見て本店のはなんか全体的にでっかくないか?と思っていたが、なんかじゃなくでっかい。私が手をめいっぱい広げると、親指の先と小指の先の間が20cm強。これは直系30㎝くらのケーキなのではなかろうか。

 

 

 紅茶なポットで、小菓子が一つついてくる。

 

 クリームは大変濃厚。柔らかく水分のあるしっとりしいたスポンジ。これだけの店ならショートケーキに「らしく」いちごをたっぷり挟む込みこともできるだろうが、あえてのジャム。

 ああ、幸せ……と思っている間にケーキはあっという間に消えてしまいました……とはいかないボリューム。大食漢でない方は、シェアをおすすめします。

 

 幸せの余韻に浸りながら商店街を歩き、うっかり南京町のど真ん中への曲がり角を通り過ぎた。

 ああ、でもなんかこんな感じで、「こんなとこに?」と思った記憶がある。

 アーケードの次の通りがまるっと中華街なのだ。

 

 私は常々中華街に行くなら、最初に長崎、次に神戸、満を持しての横浜、と強く強く思っている。

 うっかりまるっきり逆になってしまうと、横浜のあの巨大さと比較してしまい、大変つまんないことになるからである。私はそうだった。

 

 しかし今の私は「それはそれよねー」と思うだけの余裕を持ち合わせている。

 なので「さっきまで甘いもの食べてたけど、こうなると『辛いものは別腹』」よねー、などとふらふらさ迷い歩けるのだ。

 そんな大きな町ではないので、通りを一往復すると、それなりに満足できる。

 ネットでおすすめされている北京ダックと焼き小籠包が今回のターゲットだ。

 

 北京ダック「華鳳」さん、この店は店頭で炭火でダックを炙っており、それから皮や肉を削いで包んでくれる。包みおきをしている店とは一線を画している。

 

 焼き小籠包は「YUNYUN]さん。

 私は焼き小籠包は初めて。

 二階に食事スペースがある。皮がしっかりしているので、うっかり敗れてスープが全部出てしまうことはない。スープをしっかり吸えるし、最期まで温かく食べられる。スープうまい。蒸しは薄い皮が身上だけども、これはこれでとっても美味しい。

 

 

 これは、母を連れてくるのは無理だな。

 うろこの館の近くで、たった今のぼってきた坂を見下ろした。

 

 

 

 神戸とか、長崎とか、尾道とか。

 坂の多い道は概して道も狭い。

 アラフィフの身には堪える。

 まして70過ぎた母がこの坂を登れるとは思えない。

 私だって、寒い季節に来てよかった、と思っている。

 

 なぜいきなり神戸に来たのか。

 それはホテルが空いていたからである。

 それ以外に大した意味なんてない。

 

 いや、そもそも全国47都道府県制覇!を夢に掲げてからもう10年ほど経った気がすっる。

 だけど遅々として進んではいない。

 なので「気が向いたから」とかでもいい。

 

 そもそも神戸は初めてではないのだ。

 昔、友人と来たときは、神戸と三宮と元町の区別もつかず、うろうろした挙句に中華街をちょっと歩き、明石焼きを食べた(気がする)

 あと、一人で来たことが(なぜか)あったはずだけど、その時なパティスリー グレゴリー・コレでお茶をした(気がする)

 そういえばその後も、夜ぎりぎりに兵庫の美術館のムーミン展を見に来たけれど、あれはどこだったか……うすらぼけた記憶を引っ張りだす。

 ああ、そうそう、JICAがあったっけ、近くに。なるほど、兵庫県立美術館か。となると降りた、あの小さな駅は灘駅だったというわけだ。

 

 と、いままでの神戸は至ってまとまりがなかった。

 なので「観光らしい」観光をしてやろう、というわけだ。

 

 そして冒頭に戻る。

 お天気も良くて気分がいいなぁ、とのんびり歩いていたのは坂の手前まで。ラインの館まではまだよかったけど、そこからの上り坂にはいささかうんざりしてしまった。

 また、人気の「風見鶏の館」は工事中ときた。

 のんびり回るにはいささか興を削がれてしまい、ぶらぶらと散歩を続ける。

 おお、なんだ、こんなところに天満宮が。

 階段にちょっとひるむが、これくらいの高さならコツがある。

 「50段までは一気にいける!」

 そう思い込んで、足元を見て、テンポよくかけあがるのだ。

 1,2,3,4,……

 37,38,39……

 60!

 おお?ちょうど60段なの?

 

 お参りをし、ご朱印をいただく。

 ここはなかなか景色もよい。上がっただけの甲斐がある。

 

 下りも階段を数えてみる。やはり60段ぴったりだ。

 

 さて、少し休みたくなったので知人おすすめのスターバックスへ。

 確かに言うだけあってフォトジェニックだが、平日にも関わらず人が途切れることがない。

 素敵だけど、写真も撮りづらい。

 漏れ聞こえる単語は、日本語でなく、これは外国人観光客なのか、なるほど、だから平日なのにこんなに人が多いのか、と合点がいった。

 二階で柔らかく座り心地の良い椅子を確保し、最近気に入りのアールグレイティーラテを(猫舌なので)ちびちび飲みながら、次の行先を考える。

 中華街は好きだ。なので行きたい。しかしどこだ。

 あと、老舗の洋菓子店のカフェも行きたい。これはやはりユーハイムが良いのではなかろうか。私はユーハイムの菓子はもれなく好きだし。

 

 すっかり便利になったGoogleマップを不器用に操りながら、この二か所が存外近いことに気づく。神戸旅行は歩いてでちっとも問題なさそうだ。

 のんびりお茶を飲み干した。

 

 

 フラワーロードの歩道用は。結構複雑なつくりをしている。

 歩道橋は結構好きだ。