ある飲料品について、試飲のテストが行われました。

 方法としては、二つの容器の片方にその飲料品、もう片方にそれとは別の飲料品を入れ、色んな人においしかった方を選んでもらいます。

 そして選んだ後、それをもう一度飲んでもらいながら、この飲み物のどんなところがおいしかったか答えてもらいます。

 ただし、その際にちょっとしたイタズラを仕掛けます。

 一回目に飲んでもらった時と二回目に飲んでもらう時の間に、飲んだ人に気付かれないようにその飲み物を入れ替えておくのです。

 つまり、自分がおいしいと思わなかった方を飲みながら、おいしかった理由を答えさせるのです。

 しかし、自分が選んだ方でないと気づく人はほんの一握り。

 多数の人が、自分が選ばなかった方を飲みながら、これのどこがおいしかったかを真面目に答えたということです。

 人間の味覚(だけでなく、視覚でも嗅覚でも同じですが)がいかにいい加減なものかよくわかります。



 よく、モノづくりをする人で、いいものを作れば自然に売れると思う人は多いです。

 ところが、上記のように人間の感覚は結構いい加減。

 生産者がいいものと思っていても、それが本当にみんないいと思ってくれるとは限りません。

 逆に、たいしたものでなくても、やたらと売れるものも結構あります。

 こんな例は、ちょっと考えればいくつも思い浮かぶと思います。


 こうしたことから、ものを売るためには、単にいいものというだけでなくプラスアルファの何かが必要ということがわかります。

 商品コンセプトとか、強力なブランドとか、消費者の価値観に合致したものもの等々。

 売れるための条件はこうすればよい、という絶対条件は残念ながらありません。

 もしそんなのがあれば、誰も苦労しないですね。

 ですが、重要なことを一つ挙げるとすれば、それはお客様の身になってしっかり考えること。

 お客様が何を目的に買うのか、どんな時に買うのか、どのようにして買うのか、そしてそもそもお客さんはどんな人なのか?

 想像力をたくましくして、イメージを掴んでいきましょう。

 必要に応じて、インターネットや本で調べてみたり、アンケートをとってみてもいいでしょう。

 それが、自己満足に陥らずにお客様本位に作る商品の第一歩となるでしょう。