先日、風呂場の壁に異物がついていることに、我が家の次女が気付きました。

 しかし、次女を含めて、我が家の家族はみんな目が悪いです。

 その時は、シミか何かだろうと気にしませんでした。

 何日か後に、次女がそのシミをまじまじと見ました。

 すると、シミだと思っていたのが、実は見たことのない蛾だったのです。

 次女はじっと見つめながら、そのシミが生きた蛾であると理解した時、ギャーと声をあげて風呂場から飛び出しました。

 その声で、妻は何事かと思って風呂場に急行、やはりギャーっと言って、飛び出してきました。

 後は、妻と子供達でギャーギャー言いながらも何とかティッシュペーパーで包んで外に追い出しました。

 その間、私は食後のまどろみの中、居間でぼーっと座っていて、あとで家族全員から白い目で見られることに。



 それはさておき、このようにシミだと思い込んでいると、実際は別のものであっても全く気がつかないものです。

 先入観が、事実をありのままに見るのを邪魔するのです。

 シミ程度のことであればいいのですが、仕事か何かで新しいことに取り組もうとしている時などは、問題です。

 逆に、先入観にとらわれず、事実をありのままに見ることのできるれば、新たな発見や独創的な仕事につながる場合が多くなります。

 この極端な例が、いわゆるサヴァン症候群の人たちです。

 昔、流行った映画にレインマンというのがありましたが、そこでダスティン・ホフマンが演じたレイモンド・バビットのような人です。

 あるいは、日本で言えば芸術家の山下清とか。

 こうした人達は、自閉症とか知的障害と見なされますが、同時に異常に記憶力が良かったり、難しい計算を一瞬でこなしたりします。

 いったい、どんな脳みその構造をしているのだろうと思ってしまいますね。

 何人かの学者さん達もそのような疑問を持ち、サヴァン症候群の人達の脳の機能を調べました。

 その結果、この症状を持つ人は、脳の左半球の一部が機能障害を起こしていることがわかったのです。

 さらに、今度は事故で左の脳に障害を受けた人を調べてみました。

 頭の左側にボールがぶつかって怪我した人とか、側頭葉に銃弾を受けて、奇跡的に生き残った人とか。

 すると、このような人達の中にも、同じような特異な能力を持っている人が何人か見つかったのです。

 ここまでくると、それでは左脳の神経活動を自在に抑えられないか?という気になりますね。

 具体的に言えば耳の上にある側頭葉の部分。

 ここに、電極をくっつけて、弱い電流を流してみました。

 そうすると、電流により、脳の活動を高めたり弱めたりすることができるのです。

 そこで、このようにして左脳の活動を弱めたあと、普通の人がなかなか解けないような難しい問題を出してみました。

 結果は見事、正解率が格段に高まりました。



 ここまで来れば、何かの方法で我々一般人も左脳の活動をコントロールして、独創的な知的活動を行いたいものですね。

 しかし、普段の生活でいちいち頭の上に電極なんてくっつけていられません。

 では、どうすればいいでしょう?

 これには、やはりサヴァン症候群の人たちの生活様式を真似することが考えられます。

例えば、

・奇抜な服装や社会的慣習を無視する、

・奇矯な行動を好む、

・いろんな分野に興味、関心を持つ、等々。

 こんなことで効果があるのかどうかわかりませんが、やってみたら、もしかして思わぬ発見ができるかもしれませんね。