商売を行う上でも、どんなことでも、試行錯誤によりいろいろチャレンジして改善していくことは重要です。

 そうした際には、まずは新しいアイディアを考えなければなりません。

 このアイディア出しの時には、一人で行うよりもみんなでやればきっと素晴らしい案が生まれる、と思いがちです。

 三人寄れば文殊の知恵とも言います。

 ブレーンストーミングなども、好まれます。

 ブレーンストーミングとは、グループで自由にアイディアを出し合う会議のようなものです。

 この際に4つのルールがあります。

・人の意見を批判することは厳禁

・いちいち自分の考えを吟味せずに、思いついたことはそのままどんどん発言

・質より量を重視

・一つの意見を元に、関連した意見を推奨

というものです。

 このようなやり方で話し合うと、頭が活性化されてとてもいいアイディアが出てきた気がするものです。

 で、実際に大勢でアイディアを出し合う方が一人よりも良いアイディアが出る?

 これを疑問に思って、実験した人がいます。

 個人とグループで、アイディア出しをしてもらいました。

 テーマは、例えば
「小指の外にもう一本指があるときどんなメリット、デメリットがあるか」
といった一般的なものです。

 また、個人、グループどちらもブレーンストーミングの手法を用いるようにしました。

 そして、出てきたアイディアについて、後で吟味して有効性を判定します。

 その結果は、一人だけでアイディアを出した方が圧勝。

 質、量ともに一人だけの方が優れていました。

 なぜでしょうか?

 個々人の責任感が、関係していると考えられています。

 大勢で話し合うと、個人が無責任に適当な発言をするために、結果として内容が伴わなくなるのです。

 それを確かめるために、今度は個人の責任を持たせるようにしてはどうかという実験をしました。

 アイディアを出す話し合いの際に、アイディアとともに、それを出した人の名前を記録しました。

 あるいは、事前に、それぞれの意見を紙に書いて、それをみんなの前で読みあげてから話し合う。

 その実験の結果は、アイディアの質、量とも改善されました。

 ただし、こんなやり方はでは、もしもブレーンストーミングしたとしても、その良さが失われます。

 結果として、大勢で話し合うことのメリットも減殺されるでしょう。

 こんなふうに考えていくと、結局のところは、細かい方法論よりも、個人の自覚と責任感が重要ということがわかります。

 これはアイディア出しだけに限らず、すべての社会活動で言えることかと思います。