ジェームズ・ランゲという人達の提唱した、末梢神経説というのがあります。

 これは、感情が体の変化を引き起こすのではなく、体の変化が感情を引き起こすという説です。

 わかりやすく言えば、悲しいから涙が出るのではなく、涙が出るから悲しくなるということです。

 よく、自己啓発本などで、前向きな言葉や態度を取っていればポジティブな人間になるといわれますが、末梢神経説はこのもととなる考え方です。

  このように、思考と情動、体や行動はいずれも密接に結びついています。

 そして、そのような思考のもととなるのが言葉です。

 我々は、言葉を持つことによって初めて考えることができます。

 さらに言えば、言葉が思考を飛ばして、直接感情や行動にも影響を及ぼします。



 言葉と感情や行動との関係を調べるために、いろんな実験がなされています。

 例えば、被験者を座らせて、別の人と会話をしてもらいます。

 その際に、被験者の座る椅子を硬い椅子にしたり、柔らかい椅子にしたり色々変えてみました。

 すると、柔らかい椅子の時に比べ、硬い椅子に座らせた時には、会話もぎこちない硬い会話になってしまいました。

 別の実験として、同じように椅子に座らせて会話をする時に飲み物を出したそうです。

 冷たい飲み物と温かい飲み物の2種類。

 今度は、冷たい飲み物に比べ、温かい飲み物を飲みながら会話すると、相手に対してより温かい接し方をするようになったのだそうです。



 固い椅子と硬い会話、

 温かい飲み物と暖かい接し方。



 言葉としては同じですが、意味は若干違います。

 それでも、同じような効果をもたらすという不思議。



 このようなことは、色々応用できそうですね。

 例えば、交渉ごとで自分の主張を通して、相手を折れさせたい時には、グリ○の○ッキーのようなおやつを出したらいいかもしれませんね。

 あるいは、メモ用に紙とシャーペンを渡し、そのシャーペンの芯を極細にして折れやすくしておくとか。



 他には、何か失敗をして謝らなければならない時とか。

 融和のために、ぜんざいのような、トロトロとした暖かく甘い食べ物を出すといいかもしれませんね。

 しかしまあ、実際にこの程度のことでうまくいくのだろうか、との疑問も起こります。

 が、うまくいけばもうけもの、くらいの感覚で、ダメモトで試してみてもいいかもしれませんね。