ここ数日、急に寒くなりましたね。

 風邪にお気をつけ下さい。

 ところでこの寒さ、植物はどう感じているのでしょう?

 私たちは屋内でぬくぬくと過ごしていますが、植物の生えている、屋外の地表近くでは、我々とはまた異なる環境です。

 屋外なので、単純に外の気温を見てやればよい、というものでもありません。

 微気象といって、地表近くならではの特殊な状態になっています。

 熱の出入り、風、水分、二酸化炭素濃度、等々いろいろ面で特徴的ですが、今回は特に熱の出入りについてです。

 その前にまず、もともとの地面をあたためる熱源を考えてみましょう。



 熱源としては、太陽光、地熱、生物の新陳代謝による熱などがあります。

 ただし、地熱や生物の熱は無視できる程度に小さく、太陽からの光がメインです。

 太陽光にも二種類あって、一つは直接大地に当たる光です。

 もう一つは、太陽光が一旦、雲とか空気とか他の色んな物質にあたり、一旦吸収されてその物質が暖まり、その物質から放射されて地面に当たる光です。

 輻射熱といって、温度が高くなると光(赤外線)が出てきます。遠赤ヒーターと同じ原理です。

 一日を通して考えると、この二つでは直接の太陽光よりも間接的な光の方が大きくなります。

 これらの入射された光は、一部は吸収されて地面を暖めます。

 一部は反射されて、暖めるのには寄与しません。

 そして、一部は水の蒸発に使われます。

 他に、植物の光合成にも使われますが、これもごくわずかなので無視できます。

 そして、暖められた地面からは、やはり一部を光として外に放射します。

 地面の温度は、太陽光やその他の光が地面で反射されるほど上がりにくくなります。

 反射される比率は地面の状態によって異なります。

 緑に覆われた畑ではだいたい20%くらい。

 土がむき出しの場所だと、湿っていれば5%くらい、乾いていれば50%近くにもなります。

 従って、土の乾き具合で地温も変わることになります。

 地表面の温度は、日が昇ると高くなり、日が暮れると低くなります。

 最も高くなるのは、太陽がもっとも高い、正午くらいになります。

 しかし、大気の気温は、地面の熱が伝わるのに時間がかかるため、午後2時くらいにずれ込みます。

 同様の理由で、土の中の温度も表面から熱が伝わるので、正午よりは少し後にずれ込みます。

 さらに、耕すと伝熱が遅れるため、温度自体上がりにくくなります。



 以上は昼間の話。

 夜は日光がなくなります。

 雲とか他の物質から放射される光よりも、地面の光の方が放射される量が上回り、温度が徐々に下がります。

 従って、地表面で一番温度が下がるのは、夜明け直前となります。

 これも地中になると、熱の伝わる時間がかかるため、少しずれ込みます。

 空気中では、日射により温度が高くなるとか、それによって温度差が生じて空気の対流が生じるので、そう一概にはいえません。



 次に、地表面が単なる地面ではなく、植物がおい茂っているとき、葉の温度はどうなるでしょうか?

 この場合は、葉っぱの裏表両面からの熱のやり取りがあります。

 従って、昼間は地面よりも葉の方が温度が高くなり、夜は低くなります。

 これらは、風の影響を無視してきましたが、風は対流によりこのような変化を和らげる働きがあります。

<参考にした本>

長野敏英 大政謙次 農業気象学 朝倉書店