現在は競争社会ともいわれます。

 望むと望まざるに関わらず、否応なく競争の中に巻き込まれます。

 とかく、世間では競争社会を否定的に捉えがちですが、必ずしも悪いことばかりとはいえません。

 競争は、少なくとも形式上は公平なルールの中で行われるものです。

 資本主義は、このような自由競争のもとで成り立っています。

 逆に自由競争のない社会、というと共産主義があります。

 自由競争を否定した結果、経済が成り立たなくなりました。

 そのため、国そのものが崩壊してしまったり、自由競争を取り入れた体制に変わったりしています。



 もっと身近に考えてみても、実際、人間は本来は競争好きなものです。

 これは、小さな子供を見ているとよくわかります。

 色んなことを、競争のネタにして遊んでいます。

 それが、成長して大人になるに従って、だんだん競争を避けるようになります。

 きっと、負けたときのダメージが大きいためでしょう。

 こうした傾向は、日本人に特に大きいように思われます。

 この原因として、昔と比べて今は競争が激しくなったことが考えられます。

 以前は、例えば会社員だったとしても、年功序列で全員それなりの出世をしていました。

 それが今では、勝ち組と負け組にはっきりと分かれてしまいます。

 子供の教育も、一時期ゆとり教育により、競争をなくそうとした時期がありました。

 しかし、いっこうに競争はなくならず、そのうち国際間の競争で負けだして、見直されました。

 そういう訳で、結局競争は激しくなっています。

 競争がなくならない以上、私たちができる対策としてはできるだけ楽しんでできるように工夫をすることが必要かと思われます。


 まずは、競争する分野について考えてみましょう。

 周囲の状況に流されて、こうしなければならない、と自分を縛ってしまう必要はありません。

 自分の好きなこととか、得意なことで競争することを考えてみてもいいかもしれません。

 受験などでは、苦手をなくせ、とよく言われますが、それよりも得意を伸ばす方がより頑張れるものです。

 得意なことばかりやっていたのでは、合格点が取れないのでは?と思うかもしれません。

 ですが、それで合格点がとれるように戦略を立てることも重要です。

 例えば、志望校の過去の採点事例を考えながら、自分の合格できる得点配分をデザインします。

 苦手な科目を何%の正答率で切り抜けて、得意な科目で何%稼ぐ、とか。

 受験以外の色んな勝負でも同様です。

 農産物か何かを販売する時に、インターネットは苦手だが対面販売は得意なので、話術を磨くとかです。

 そしてその後は、自分で勝負すると決めた内容で努力します。

 その方法として、ロールプレイングが有効です。

 以前聞いた、ある歌手の練習の仕方がとてもユニークでしたので、それをご紹介します。

 その歌手は、舞台に立つとあがってしまうので、それを克服したいと考えました。

 そのための訓練として、練習の前に家の回りを走ってくるのだそうです。

 そうすると動悸、息切れがします。

 そして、その状態で歌の練習をします。

 舞台に立ったときもやはり動悸が激しくなるので、それがシミュレートできるということです。



 以上、人生は常に勝負の連続で、しんどいときもあるでしょう。

 しかし、こうした勝負と、その中の努力を積み重ねていくことで、自分が成長していくことができればそれも楽しみの一つになるでしょう。

 そして、死ぬ時に、充実したいい人生だったと思えればいいですね。