先週は、各地の土壌の種類について書きました。
今回は、土壌の断面構造から見てみましょう。
一般に土壌は、上からA層、B層、C層、R層と分けられます。
この中で、R層は一番下の層で、母体となる岩石層を指します。
岩石層というと、マクロに見ると地殻ということになります。
マグマ等が固まったものです。
ちなみに、地殻成分は酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム・・・の順に多くなっています。
ついでに言えば、チッソは0.002%、リンは0.1%くらいです。
ナトリウムはやたらと多く、チッソは少なすぎ。
まともに植物が育ちそうには思えないですね。
それはともかく、岩石層は、だいたいこういった成分からなります。
鉱物名で言えば、長石とか石英、雲母とかいったものが多いです。
石英は二酸化ケイ素で、長石や雲母はアルミ、ケイ素の酸化物にカリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム等がくっついたものです。
同じ成分でも、結合の仕方により性質が変わるので、別の鉱物となります。
これらR層の鉱物は、一次鉱物と言います。
R層の上に、C層があります。
C層は、R層の岩が風化したり浸食されたりしてできる層です。
R層の一次鉱物が風化や浸食により変質されます。
これを、二次鉱物と呼びます。
一次鉱物の中のナトリウムやマグネシウム、カリウム等が風化により失われがちになります。
その結果、元々多いケイ素やアルミの比率がさらに高まります。
かつ、粒子も細かくなって粘土状になります。
粘土鉱物としてはカオリナイトやモンモリロナイトといったものです。
こういった粘土鉱物は、様々な形で表面がマイナスに帯電しています。
それにより、アンモニアやカルシウム等の色んな陽イオンが吸着できる
どの程度吸着できるかを表す数字が、先週述べたCEC(陽イオン交換容量)ですね。
同じ成分であっても、個々の鉱物の構造によってイオンが吸着できる量は大きく変わります。
また、同じ鉱物であっても、粒子の大きさやpHなど、いろんな条件によっても吸着できる量は変わります。
ただし、一般的に言えば上記のカオリナイトは、あまり吸着できないとか、火山灰土壌に多く存在するアロフェンはよく吸着できるとかあります。
そうしたことから、圃場の土壌がどんなものか知ることが重要となります。
C層の上にB層がありますが、これはC層の粘土と最上層のA層の有機物が混合したような部分。
農耕上は、心土ということになります。
そして、A層が有機物を多く含む作土です。
上述の陽イオン交換容量では、有機物から生成する腐植分はより肥料分を吸着しやすいです。
従って、腐植分を増やすことは、やっぱり重要です。
以上、こういった風に、土地によって肥料の効きやすがかわってきます。
普段の肥料の撒き方等に、こういったところをちょっと考慮してみると、思わぬ効果が期待できるかもしれませんね。