今回は土壌についてです。

 栽培の教科書には、肥料としてチッソをいくらでリンをいくら、とかよく書いていますが、使う土地によって、投入すべき資材は当然変わるはず。

 望ましくは、そこの土の土壌分析をして決めたいですが、その前に基礎的な知識は持っておきたいものですね。


 まず、簡単によい土壌とはどんなものかについて物理的、化学的、生物的に述べます。

 物理的には三相分布が適性であることが必要です。

 三相とは固相、液相、気相の三つです。

 これを達成するためには、団粒構造を持つ土が良いとされています。

 団粒の中の小さな隙間に水が入って保湿性が保たれるとともに、団粒間の隙間から排水性され、気相が確保できます。

 化学的には色んな条件がありますが、その中でも特に重要なのが肥料分をしっかりと保持できること。

 陽イオン交換容量、CEC(Cation Exchange Capacity)という数値で表されます。

 ここでの陽イオンとは、カリウムイオン(K+)やアンモニウムイオン(NH4+)、カルシウムイオン(Ca+)等の肥料分を言います。

 土の中には、マイナスの電荷を持つ粒子が沢山含まれています。

 このようなマイナスの電荷がそのまま存在していると不安定なので、表面に様々なプラスの電荷を持つイオンが吸着しています。

 カルシウムイオン(Ca2+)やカリウムイオン(K+)、水素イオン(H+)等です。

 この中に、例えば肥料分としてアンモニウムイオンが入ってくると、その内のいくばくかがカルシウムイオンやら水素イオンやらと交換されて吸着し、代わりにこれらのイオンが水溶液中に出て行きます。

 このようにして吸着したアンモニウムイオンは、雨やかん水でもある程度流れずに土の中に保持することができます。


 最後に、生物的には、生物層が豊かであること。

 例え病害虫が侵入しても、多様な生物が病害虫の繁殖を抑えることができます。



 これらのうち、物理性と化学性については、ある程度までは土壌図により判断できます。

 土壌図は、公開されており、インターネットでも「土壌図 閲覧」とか検索すると、簡単に見ることができます。

 例えば、少しみずらいですが、国土交通省のホームページでは以下の通りです。
→ こちら

 日本の土壌は、大雑把に分けると、主に以下の5つが多いです。

 ポドゾル性土
 褐色森林土
 赤黄色土
 黒ボク土
 沖積土 

 ポドゾル性土は、北海道の北部や高地などの冷涼な場所で見られます。

 低温のため、有機分の分解が進まないので、痩せた土地となり、農耕には不向きな土地です。


 褐色森林土は東北とか山地に多い土壌です。

 腐植が多いのが特徴です。ただし、薄いです。

 小面積ずつ畑として利用されています。


 赤黄色土は、日本の西南部に多い土壌です。

 腐植が少なく、腐植が少なく粘土含量が多いのが特徴です。

 強酸性で塩基類は溶脱しやすい痩せた土です。

 透水性も悪いです。


 黒ボク土は火山灰が積もったものです。

 腐植質が多く、多孔質で黒くてボクボクしているので、この名前がつきました。

 物理性はよいのですが、活性なアルミニウムがリンと結合しやすいため、リン欠乏が出やすい土です。

 畑地としてよく利用されています。


 沖積土は河川が上流の土砂を運搬したものです。


 比較的新しい未熟な土です。

 排水性が悪く、水田によく利用されています。

 まだこの他にも色んな土壌があるし、同じ土壌の中でも土粒子の大きさや土壌鉱物など色んな要因があります。

 これらについてはまた別の機会に述べてみたいと思います。

 いずれにせよ、自分の農地のこういった性質をよく知った上でうまく自分の農地を活用しましょう。