食欲の秋ですね。

 ついつい食べ過ぎてしまいます。

 食べ過ぎが身体に良くないというのは、よくある話。

しかし、分かっていてもやめられない・・・
というのもよくある話。

 では、なぜやめられないのか考えてみよう、原理を知ることは解決への第一歩、というのが今回の趣旨です。



 そもそも、なぜ人は食べるのかというと、生きるために必要なエネルギーを得るのが第一義的な理由です。

 そのために、脳内に食欲を調節する機能があります。

 空腹の状態では、食欲を増進させる働きを持つホルモンが脳内の報酬系と呼ばれる部位を刺激します。

 報酬系というのは快感を求めて、それを得ようと脳や身体に働きかける部位です。

 この場合では、食べることは楽しいとか喜びである、という感情の強さがコントロールされます。

 これを介して脳内の摂食にかかる部位(摂食中枢)を刺激して食べる意欲をかき立てます。

 満腹状態では、逆に食欲を抑制するホルモンを出します。

 そして報酬系の働きかけを弱めて、別の中枢部(満腹中枢)を刺激して、食べる意欲を減らします。



 ここで、脂肪分や糖分をたっぷり含んだ食べ物は、報酬系への信号を強く出しすぎることが知られています。

 そして、食欲抑制ホルモンの働きを減らしてしまいます。

 その結果、食べ過ぎて、太ってしまうことになります。


 さらに、そうなると食欲抑制ホルモンの体内の濃度が上がります。

 そして、身体がこのホルモンに対して鈍感になって、効果が薄れます。

 それとともに、報酬系の刺激に対する喜びの気持ちも減ってきます。

 例え脂肪分や糖分たっぷりの食ベ物を食べても、満足感が薄れてしまいます。

 そこでさらに過食になるという悪循環。

 まるで麻薬のような依存症が起きます。


 実際、過食症と薬物依存症は同一のメカニズムで起きると考えられています。

 怖いですね。やめられないのも分かりますね。



 そういう訳で、悪循環に陥る前に依存症にならないよう気をつけなければなりません。

 具体的には、食べるという行為でしっかりと喜びを感じること。

 そのためには、ながら食べしないとか、ゆっくり噛んで食べるようにしましょう。

 また、水分を十分とることとか、夜遅く食べないことも重要です。



 食事が好きなだけ食べられるようになったのは、長い歴史の中でもここ数10年ほどのこと。

 こうした時代に生まれたことに感謝をして食事をしたいものです。

 そうすれば、自ずと報酬系にもプラスに働いて食べ過ぎも減ってくるのでは、と思います。