先週、光害について書きました。
夜間の照明により、光の周期を成長のシグナルとする光周性を乱します。
それにより、植物が花をつけたり出穂する時期がずれてしまいます。
光周性自体はよくできた仕組みですが、人間も余計なことをするものです。
しかし、これに対しても植物は、ある程度の対策を持っています。
それが概日リズムです。
概日リズムは人間も持っています。
よく、人間の体内時計は25時間の周期になっているとか言いますね。
植物や微生物など、他の生き物も同じようなリズムを持っています。
例えばカタバミという雑草は昼間に葉を開き、夜に葉を閉じます。
これも、光周性のためでは?と思われるかもしれませんが、例え遮光して真っ暗にしていても同じように一日周期で葉を開いたり閉じたりします。
概日リズムは、概がおおむね、日が一日で、約一日のリズムという意味で、ぴったり24時間でないのが特徴です。
時間の周期は、生物の種類によっていろいろ異なります。
人間が25時間というのは有名ですが、シアノバクテリアという微生物でははだいたい22時間くらいとされています。
いずれにしても、ぴったり24時間ではないので、日が経つにつれて段々ずれてくるように思われます。
しかし、これは光周期により調整を受けます。
その結果、一日がキチンと同期します。
ちなみに、概日リズム以外のリズムもあります。
だいたい15日くらいの潮汐リズム(半月周リズム)
だいたい30日の概月リズム
だいたい1年の概年リズム
等々。
もっと長い例もあります。
竹は60年とか120年で開花すると言われています。
昔、ある竹を株分けして、世界各地に配って育てていました。
その数年後に、世界各地でその竹が一斉に開花したということがあったそうです。
野菜栽培では潮汐リズムとか概月リズムがよく話題になります。
よく満月の頃は生殖成長しやすいので種まきを、新月の頃は栄養成長しやすいので定植をすべきとかいわれます。
月周リズムは概日リズムと潮汐リズムの複合作用とも考えられています。
概月リズムや潮汐リズムは海産生物でよく調べられていますが、陸生生物ではあまりよく分かっていません。
それでも、昔の人が長年の経験から、上述のような月齢と植物の生育の関係に気付いたのでしょう。
また、他にも害虫の産卵と月齢の関係などもあるので、調べてみると面白いかもしれません。
なお、概日性は遮光を長く取ったり、かん水しなかったりすると段々失われていきます。
これも、概日リズムに厳密に合わせていたら生育に影響がでるためかもしれません。
植物は、二重三重にリズムを持っていて、自分の成長を精密に調整しているのに驚かされます。