前に、水不足について書きましたが、今回は、根本的に水そのものについてです。
水は当たり前にあるようで、実は結構奥深い物質です。
水分子は、水素2個と酸素1個がくっついています。
二等辺三角形の形をしていて、真ん中の頂点に酸素、両脇に水素が配置されています。
この、二等辺三角形というのがポイントです。
水分子の中で、酸素はマイナスの電気を帯びていて、水素はプラスの電気を帯びています。
従って、水分子全体では電気は帯びていませんが、分子の中でプラスに片寄った部分とマイナスに片寄った部分に分かれています。
そのため、水分子が沢山あると、ある分子の水素部分と隣の分子の酸素部分が引きつけあいます。
これを、水素結合と言います。
これが例えば、二酸化炭素のような分子だとこうはなりません。
二酸化炭素は、酸素原子2個が炭素原子1個を挟んで串団子のように棒状に並んでいるためです。
水がこのような水素結合を持つことは、植物(もちろん動物も)にとって極めて重要な意味を持ちます。
いくつかのメリットがあります。
一つは、多くのものを溶かす働きを持ちます。
カルシウム、マグネシウムのようなミネラル分は、プラスに帯電したイオンの形になっています。
その回りに、水分子の酸素側がくっつき、回りを取り囲んでしまうことにより、水に溶けるようになります。
アンモニアや硝酸性チッソも、似たような働きで水に溶けます。
植物は、肥料分を水に溶けた形で吸収しますが、それができるのも、この水素結合のおかげです。
もう一つ、水は比熱が大きいというのもあります。
水素結合しているので、これを引き離すのに大きな熱が必要となるためです。
これにより、水は暖まりにくく、一旦暖まると冷えにくい、ということになります。
つまり、温度が安定化するわけです。
生物にとっては、温度が安定しているのは重要です。
他に、氷の比重が軽いというのもあります。
氷は、水素結合によって水分子が固定されて、隙間の大きい構造になります。
液体の水よりも隙間が広がる結果、氷は水より比重が軽くなります。
この結果、冬に気温が下がって氷が出来る時には表面から氷が張ってきます。
もしも氷の方が水より重ければ、川や池などで氷が出来ると、それが沈んでいって、その結果、川の水は全部凍ってしまいます。
でも氷の方が軽いので、表面だけ凍って、中の水は液体のまま保たれます。
川に生えている植物や魚等に取っては、これは重要ですね。
こうして考えていくと、結局水があることが生物の存在には必須条件となるそうです。