動物も植物も、タンパク質は生命活動の基礎となる物質です。
しかし、その割には私たちはタンパク質について、必ずしも十分な知識があるとは言えません。
特に、植物についてはそうでしょう。
そこで、今回植物のタンパク質を対象に取り上げて見ました。
まず、植物では、タンパク質はどんなところに使われているかについてです。
タンパク質は、主に構造用と機能性のタンパク質の2種類に分かれます。
植物の構造体としては、何といっても細胞壁ですね。
細胞壁は、主にセルロース(炭水化物)でできていますが、それをタンパク質や他の物質がゲル状に包んでいます。
細胞壁の構造を強化したり、伸長し過ぎるのを抑える働きがあります。
機能性のタンパク質としては色んなのがありますが、植物特有のものであればやっぱり葉緑体。
あと、動物でも植物でも持っているのはミトコンドリアとか。
これらはタンパク質を主成分に含む物質ですが、タンパク質そのものが昨日を持っているものとして酵素などもあります。
温度や外傷などのストレスをきっかけに作られて、体を保護する働きを持つ物質もタンパク質
花芽形成したり発芽したりするために、光を検知する働きをもつ、フィトクロムという物質もタンパク質
その他、挙げるときりがありません。
ではこのような、タンパク質は何で出来ているのでしょう?
アミノ酸で出来ています。
必要となるアミノ酸は合計20種類。
これは動物でも植物でも変わりありません。
動物は、いくつかは自分の体内で合成でき、いくつかは合成できないので食べることにより補給する必要があります。
人間では12種類体内で合成でき、8種は合成できません。
植物は20種全部合成できます。
それでは、このアミノ酸はどんなもの?というと、有機物の一種で、アミノ基を持っているのが主要条件の一つです。
アミノ基というのはチッソと水素からなります。
植物の主要肥料成分としてチッソが必要なのは、このためです。
また、20種類のアミノ酸のうち、2つはイオウも含まれています。
タンパク質は、これらの20種類のアミノ酸をいくつもつなげて作られます。
つなげる個数は数10個~数1000個、平均300くらいになります。
従って、成分的にはだいたい一定となります。
チッソは13~19%、イオウは0~2.5%くらいです。
上述の通り、タンパク質はアミノ酸を沢山つなげてつくられる訳ですが、これは、DNAの設計図を元に組み合わせられます。
約300ものアミノ酸を間違えずに正確につなげるのは、大変なことです。
人工的に行おうとすると、相当難しいようです。
一つや二つをつなげるのは簡単らしいですが、どうしてもミスが生じます。
例えば、1回つなげるのに、99%は上手く出来て、1%失敗するとしても、10回つなげるとすれば、成功確率は90%くらいになります。
それが100回だと37%
300回だと5%
1000回だと0.004%で、ほとんど失敗となります。
我々の細胞内では、これをほとんどノーミスでやっているのだから大したものです。
畏敬の念を、抱かずに入られません。
それとともにこうして生きていられる生物を意味もなくむやみに殺してはならないという気になります。
<参考にした本>
池内 俊彦 タンパク質の生命科学 中公新書
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