農業とかスローライフに憧れを感じている人は、往々にして安定した生活、日々の変わらない生活を望んでいることが多いですね。
江戸時代とかそれ以前のような、ゆっくりした時代の流れに身を任せて静かに生きる・・・
日々、時間に追いまくられる私たち現代人にはそのような生活は、一種のユートピアのようにも思われます。
ただし、江戸時代以前であっても、変化のない単調な生活だったわけではありません。
先人たちも、色んな工夫をして少しでも労力を減らしたり、生産性を高めたりすべくアイディアをひねっていました。
格好の例として、万石通しという農具があります。
江戸時代に発明された、収穫した穀物のなかのゴミを取る装置です。
万石通しには、三枚のフルイが斜めに設置されています。
穀物は、そのフルイに沿って流し込まれます。
そして流れていく過程で、籾殻などのゴミはふるい分けされ、穀実だけが選別できます。
万石通しの画期的なところは、三枚のフルイのうち、最も細かい目のフルイを最初に通すことです。
そして、二枚目、三枚目となるに従い、フルイの目が粗くなるのです。
普通は、目の粗い方から通してだんだん細かい目を通しますので全く逆ですね。
この通し方でうまく選別できる原理については省略しますが、大変優れたしくみで、現在の全自動籾摺り機でも使われています。
こんな構造を考えついた人は一体どんな人なんでしょう?
何はともあれこういった先人たちの斬新な発想により、社会は進歩して来たわけです。
現在でも、このような改善のネタは、いくらでも転がっています。
簡単にメモを貼ったり剥がしたりできる付箋とか、足のサイズよりも小さい健康スリッパとか。
いずれも、作った人は難しい原理を知っている学者さんとか技術者とかではありません。
作った人は、使いたいニーズのある人。
そして、このような改善により、私たちの生活は豊かに便利になります。
例え大発明でなくても、少しでも私たちの暮らしを豊かにする方法はないかと、常に気を配るようにしましょう。
そのためには、常に意識を高く持つことが重要です。
些細な行動であっても、最大の成果が出るように考えてみたり、自分の専門と違う分野での成功例を取り入れたり、分野の異なる人たちとの間で意見交換をしたり。
どんな仕事をするにしてもこうした意識を持つことは重要ですし、それがひいては社会の役に立つこととなります。