私は窒素肥料として、尿素を多用しています。

 色んな利用法があるので、とても便利です。

 そこで今回、これについて紹介したいと思います。

 尿素のメリットは、まずは何と言っても低価格なことです。

 尿素20kgを4000円とすると、窒素1kgに直すと435円です。

 ちなみに硫安だと20kgを3000円として、窒素1kgが714円

 ナタネ油かすだと20kgを2500円、窒素濃度を5%として、窒素1kgが2500円。

 ダントツに安いことがわかります。

 また、肥料中の窒素含有量が多いのも特徴です。

 つまり、施肥する量が少なくて済みます。

 軽くてうれしいです。

 1kgの窒素を圃場に投入したい時には尿素は2.2kgまけばよいです。

 これが硫安だと4.8kg、ナタネ油かすだと20kg撒かなければなりません。

 窒素以外の余計なものが入っていないことも特徴です。

 尿素は化学式で書くとCO(NH2)2、窒素以外は炭素、酸素、水素のみです。

 過剰に施したときに気にしなければならないのは窒素関連のみです。
(例えば、アンモニアガスが発生するとか)

 これに対して、硫安ですと窒素の他に硫黄が入っています。

 従って、過剰な場合の害については窒素の他硫黄についても考慮しなければなりません。

 硫黄は、植物にとってタンパク質やビタミンを作るのに必要な元素ですが、過剰ですと硫化水素の発生により根にダメージが与えられる可能性もあります。

 ナタネ油かすは色んな有機物とか微量成分が入っていて、尿素とは別の意味で便利ではありますが、窒素のみ補給したい時には使えません。

 それに、原料のナタネは遺伝子組換え作物由来の可能性が大きいです。

 有機無農薬指向の方で、尿素のような化学肥料の使用に抵抗のある方は、油かすについても使用をためらわれるかもしれません。



 話は戻って、尿素は中性肥料でもあります。

 硫安は酸性肥料、油かすは概ね中性のようです。

 日本では酸性土壌が多いので、酸性にする肥料は少し注意する必要がありますね。

 なお、尿素そのものは中性ですが、土壌中で分解して炭酸アンモニウムに変化し、弱アルカリ性となります。

 ちなみに、上記の尿素の炭酸アンモニウムへの変化は、夏場なら4~5日、冬場なら1~2週間くらいです。

 化学肥料の中ではやや緩効性ということになります。



 尿素は水に溶けやすいという性質もあります。

 逆に吸湿しやすいので、固形分として保存しておくと固まってしまいます。

 そのため、顆粒状にして固まりにくくしています。

 また、水に溶けやすいことを利用して、液肥として使うことがよく行われます。

 私は、尿素の飽和溶液を作って、それを薄めて使っています。

 尿素の溶解量は、20℃ですと、水100ccに対して108gくらいになります。

 これを250倍くらいに薄めて使っています。

 飽和溶液くらい濃くすると、少々時間が経っても、腐ることがないので安心です。

 濃度が高すぎて、微生物が繁殖できませんので。

 なお、尿素を水に溶かすと吸熱により温度が下がります。

 温度が下がると溶け残ってしまいますが、時間が経って室温に戻ると残りも溶けます。

 
 尿素を液肥として使う際には、葉面散布するのがよいです。

 葉から窒素を吸わせるので、根が弱ったとき等に便利です。

 葉面散布で尿素が特に優れているのは、浸透性がいいこと。

 多くの薬剤は、そのまま撒いても葉の表面のクチクラ層という層ではじかれてしまいますが、尿素水溶液ではスムーズに浸透してくれます。

 尿素が、クチクラ層の膜の結合を緩くして、隙間を増やすために浸透しやすくなるとされています。

 ちなみに、尿素と一緒に別の成分を入れても、その成分も浸透しやすくなると言われています。

 私は、えひめAIと尿素を混ぜて使っています。

 このときは、入れる順番に気をつけています。

 高濃度の尿素とえひめAIを直に混ぜると、微生物が死んでしまう可能性があるため、えひめAIと水を混ぜて薄めた後に最後に尿素を入れています。


 こんな風に色んな使い方のできる便利な尿素、

おすすめです。

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