今回は、人とのコミュニケーションを円滑に行う方法についてです。

 コーチングでは、ラポールスキルといいます。

 ラポールとは、架け橋のこと。

 人と人との心を通わせる架け橋をつくるスキル、という意味です。

 もっと有り体に言えば、人たらしの方法です。

 実践的ですぐに役立つスキルです。

 が、その前になぜこんなスキルが必要なのか考えてみましょう。



 よく考えると、このようなスキルを使う場面は、比較的限られています。

 すなわち、あまり親しくない人同士が親しくなろうとする時です。

 親しい間柄であれば、こんなスキルを使う必要はありません。

 では、あまり親しくない人と、なぜ親しくなろうとするのでしょう?

 ・自分を認めてもらいたいから?

 ・自分の商品を買ってもらいたいから?

 ・自分とお友達になってもらいたいから?

 いろんな下心があると思われます。

 しかし、そのためには、自分や自分の商品を磨く必要があります。

 人間的な魅力、商品の魅力があれば、相手は自然に引きつけられます。

 ラポールスキルは、そのためのきっかけに過ぎません。

 従って、このようなスキルに頼る前に、まずは自分の知性や品性を高める努力が必要です。

 巧言令色仁少なしともいいます。

 中身がなくて、コミュニケーションばかり上手いのは言葉は悪いですが詐欺のようなものです。



 とはいえ、今は大競争時代。

 欧米的な価値観の元で、グローバル化に対応して世界で生き残るためには、自らをアピールする能力や、コミュニケーション能力の重要性が増してきているのもまた事実です。

 こういった事情を踏まえた上でのスキルということでご理解頂ければ、と思います。



 で、ラポールスキルですが、基本は相手をまねること。

 人は自分と同じような人に親近感を持つ性質があるようです。

 同郷の人とか、同じ趣味の人、思想信条が近い人など。

 類似性の法則と言われています。

 そういう訳で似たところを探すわけですが、余り親しくない人に差し当たりすぐできることとして、以下の3つがよく提案されています。

 1つはペーシング。

 話をする早さや、声の高さを相手に合わせます。

 2つめはミラーリング。

 相手のちょっとした仕草をまねます。

 相手がちょっと髪に手をやるとか、咳払いをするとかしたときに、自分もさりげなく真似をします。

 3つめは、バックトラック。

 相手が言ったことを繰り返します。

「○○は△△なんだ」と言われたら、

「へぇ~、△△なんですね」

といった要領です。

 どれも、あからさまにやると相手は「何だこいつ?」となりますので、さりげなくするのが肝要です。


 以上、最初はなかなか難しいと思いますが、練習していくと段々慣れてきます。

 コミュニケーションは、継続して努力することによってアップしていくもの。

 たとえ苦手でも、地道に続けて上手くなりましょう。