人間にはなぜ感情があるのでしょう?
それは、感情が生きていく上で必要だからです。
感情は、行動を起こすためのシグナルとして働きます。
例えば、怒りは外敵と戦え
恐怖は逃げろ
不安は警戒しろ、
といった感じです。
しかし、これらはいずれもネガティブな感情。
ネガティブ感情は、シンプルで分かりやすいですが、ではポジティブ感情はどんなシグナルでしょうか?
一つの例として、私の子どものピアノの練習の話を書きます。
先日、子どものピアノの発表会がありました。
はじめた頃と比べると、随分上達しました。
最初に、ピアノの発表会をしたのは、確か6~7年くらい前の幼稚園の頃です。
いきなり、かなり難しい曲を弾くことになりました。
曲名は忘れましたが、多分小3くらいの子どもが弾くような曲です。
難しすぎて、子どもはまるで練習する気にならないようでした。
しかし、そこを先生や妻がなだめすかせて、何とか練習させました。
子供心に、練習はかなり嫌だったようです。
それでも、何とか本番の日を迎えました。
そして演奏の時。
たまたまだったのか、何だかよく分かりませんが、練習のときよりずっとうまい具合に弾けたのです。
練習のときの演奏を聞いている私は、正直驚きました。
他の観客も、小さな子どもが難しい曲を弾いたので、結構盛大な拍手をしてくれました。
子どもは得意満面。
その日の子どもの日記では、「今までで一番うれしかった」と書かれていました。
そしてそれ以降。
子どもは、ピアノの練習を嫌がらずに、というよりむしろ積極的にするようになりました。
その結果、どんどん難しい曲が弾けるようになり、楽しくなってまた練習する、といった正のスパイラルが生まれました。
うれしい、といったポジティブな感情の働きは、このようなものです。
今まで行ってきたことを是認し、継続するためのモチベーションとなっています。
それにより、積極性や行動力を高まります。
他にもあります。
うれしいこと、例えば上記のように発表会で大成功したとすると、あなたはどんな行動を取るでしょうか?
飛び上がる、にっこり笑う、大声で話しかける、スキップする、万歳する、鼻をぴくぴくとうごめかす・・・
とか色々な反応が考えられます。
逆にネガティブ感情、例えば発表会で大失敗した、とかだとどうでしょう?
人によって、だいたいパタンが決まっているのではないでしょうか?
不機嫌になるとか、自己嫌悪に陥るとか、トイレにこもってしまうとか。
つまりポジティブ感情の状態は、通常の状態やネガティブ状態に比べて、行動のバリエーションが広がるのです。
これを更に突っ込んで言えば、何か創造的なことをするのに、ポジティブ感情は有効となります。
さらに、まだあります。
うれしいことがあると、よく人に親切にしたりすることはありませんか?
ポジティブ感情は、助け合いの行為を押し進めるのです。
人間は社会的動物で、お互い助け合って生きています。
助けあいは、人間が繁栄するためにも欠かせませんが、ポジティブ感情はこれを手助けする潤滑液の働きもするのです。
こうして挙げてみると、随分色んな働きがあるものですね。
ポジティブ感情も、生きていく上で必要不可欠だと分かります。
もちろん生活の中で、つらいことや、ネガティブになることも沢山あるでしょう。
それでもこういった効能を知っていれば、気分を切り替えてよりポジティブな考え方をするのに役立つことでしょう。