ある夜中、車で自宅に帰る途中のことです。
我が家のすぐ近くまで来たとき、道路の脇に何か白いものが落ちていました。
何だろう、と思ってよく見ると人間の首!!
一瞬、心臓が止まりそうになりました。
でも、よく見ると、鳥よけのマネキンのカカシの頭でした。
人騒がせな!
実はそれより以前に別のものを見ていたのです。
これも、我が家の隣の田んぼです。
ある冬の朝、起きてみると、猫の首が田んぼの真ん中に落ちていたのです!!
こちらは、本物。
その時は、我が家の近くに危ない人がいるのかと家族で侃々諤々の議論が。
で結論ですが、多分カラスの仕業と思われました。
というわけで、今回はカラスについてです。
農業での鳥害のうち、ダントツに多いのがカラスとされています。
鳥害全体のうちの6割を占めるとも言われています。
次いで多いのが、ヒヨドリとハトで、それぞれ1割ずつくらいです。
ちなみに、冒頭の話のようにカラスが猫を攻撃するというのはどういうことでしょう?
カラスは雑食で基本的には何でも食べますが、特に肉を好みます。
もしも何かの拍子に肉の味を覚えてしまったら、そしてたまたま傷ついた猫を見かけたとしたら、カラスは猫に襲いかかることは十分予想できます。
同様な例が、牛でもあったそうです。
それも子牛でなく、成牛です。
乳の部分を何度も何度もつつかれて出血死したそうです。
実に恐ろしいですね。
カラスというと、頭がいいことも有名です。
脳化指数という、動物の頭の良さを測る指数があります。
体重と脳の重さから動物の賢さを見積もるもので、
ヒトが7.5くらい、サルが種類によって2~5くらいです。
そして、カラスは1.25でイヌ(1.2)やネコ(1.0)より高い数値をたたき出します。
さらに、頭がいいだけでなく、身体能力も高い。
鋭いくちばしと爪は、獲物を捕らえたり、ゴミ袋の中を器用にあさることができますし、飛び立つのも着地するのもスムーズにできます。
目もいいです。
カラスは夜目も利きますし、色も見分けられます。
というか、人間には見えない紫外線域まで見える。
ついでに、お腹も丈夫。
腐った食べ物も平気で食べられます。
このような優秀な鳥だけに、被害も大きく多様です。
普通の鳥害は、穀物とか果樹とかそれぞれの鳥についてある程度は専門分野が決まっている場合が多いのですが、カラスは何でもござれです。
カキやナシ等の果樹、スイカやウリなどの果菜をつついたり、イネやトウモロコシの幼苗をほじくり返されたり。
あとは、ビニールハウスに穴を開けたり、家畜を突いたりします。
鶏や子牛や子豚、場合によっては上述のような成牛まで突かれます。
しかも、肛門や目玉など、やわらかいところを狙ってきます。
ちゃんと急所を知っているのですね。
人間は普通は襲いませんが、巣が近くにあって雛がいる時には襲うことがあるので要注意です。
肝心の対策ですが、これだけ能力が高いと非常に難しいです。
対策自体は、色んなものがあります。
ざっと挙げるだけでも
かかし、キラキラテープ、目玉風船、爆竹、
防鳥網、テグス
等々。
これらのうち、テグスや防鳥網などの物理的防除はかなり有効です。
ただし、くぐり抜けたり、破ったりすることもあるので万能ではありません。
その他のものも、カラスは警戒心も強いので、どれも一応は効きます。
しかし、すぐ慣れてしまいます。
効能は、概ね3日程度。
逆に言えば、これらを3日周期でとっかえひっかえしていけばかなり長持ちすることになります。
また、固定しておかずに色んな場所に置き換える等、慣れさせないようにすることが特に重要です。
後は、ダミーを作っておくのも有効。
果樹等で、食べられてもいい木を一本用意しておきます。
それ以外は防鳥網で覆っておけば、カラスはわざわざ防鳥網を突破しようとはしません。
最後に、カラスが一番怖いのは人間です。
人間が追いかけ回したり、投石したりして、自分が歓迎されていないことを教える必要があります。
一度、十分に怖い思いをさせておけば、その後二度と来なくなった、という例もあります。
カラスは賢いと言っても、人間には及びません。
決定的な対策がないのが歯がゆいですが、粘り強くあきらめずに、カラス害から作物を守っていきましょう。
参考にした本
杉田昭栄 カラスーおもしろ生態とかしこい防ぎ方 農文協
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