今回は、米ぬかについての話題です。
まず、言うまでもありませんが、米ぬかとは玄米を精米した残りカスです。
主に胚と表皮の部分からなります。
我々が食べる白米は胚乳部になります。
発芽するのは胚で、胚乳は胚が発芽するためのエネルギー源です。
従って胚乳は炭水化物が主体となるのに対して、胚はタンパク質やビタミン、ミネラル分が多く含まれます。
さらに、表皮付近の部分は中身の乾燥を防いだり、衝撃から身を守るといった独特の機能が必要で、そのために食物繊維やミネラル分、脂質等が多く含まれます。
こういったことから、米ぬかは動物にも植物にも微生物にも栄養満点のエサとなります。
ただし、米ぬかにはリパーゼという油を分解する酵素も含まれているため、変質しやすいという問題があります。
これを防ぐには、加熱してリパーゼを働けなくする方法があります。
あと、米ぬかから油を抽出した残りの脱脂米ぬかは、保存性がよくなります。
(それでも、微生物や虫が湧いてくるので大してもちませんが)
米ぬかの利用方法について、まず動物のエサとしては、家畜の飼料に混ぜたりします。
動物の中でも、人間は色んな食べ方をします。
上述の抽出した油は、米ぬか油としてサラダ油やマーガリンに使われます。
ぬか漬けにも使われます。
ジンダという味噌のように、米ぬかそのものを食材として用いることもあります。
他に、食用とは少し違いますが、アク抜きに使うこともあります。
次に、植物の肥料としての使い方です。
これも米ぬかは非常に有効ですが、直接使うことはあまりありません。
土に撒くと、先に微生物が利用して、微生物が爆発的に繁殖してしまうためです。
そうなると、微生物の呼吸に酸素が使われ、土壌中の酸素濃度が少なくなって植物の根が酸素を利用できなくなってしまいます。
余談ながら、逆に、これを利用して除草することもできます。
私もやったことがありますが、特に雨の次の日など米ぬかを撒くと、除草効果はかなり高いです。
ただし、一旦は枯れますが、その後別の雑草が猛烈に生えます。
話は戻り、肥料として元肥に米ぬかを使うのであれば、二~三週間前に土に混ぜて十分馴染ませておく必要があります。
あるいは、タネや定植する植物の根が影響を受けない位置に局所的に施肥します。
追肥でも同じく、根が生えていないところに置き肥しておきます。
米ぬかが土に馴染んで、植物が肥料を吸える状態になったら勝手に根が張ってきます。
なお、肥料として使う際に、油粕などの窒素主体の肥料と一緒に施肥すると良いです。
米ぬかは窒素約2%、リン酸約4%、カリ約1.5%で油かすは窒素約5%リン酸約2.6%カリ約1.4%なので窒素とリン酸のバランスがよくなります。
以上、動物や植物への利用について概観しましたが、最もよく使われるのは、微生物による発酵を利用した方法です。
参考にした本