昔、ある大学で脳の働きを研究するため、サルを使った実験をしていました。

 脳みその、運動をすると働く部分に電極をつけ、サルに餌を与えて猿が手を動かしたり掴んだりした時の脳細胞の活動状況の調査です。

 あるとき、サルに電極をつけたまま、人間が餌を片付けていました。

 すると、サルの脳みそから電気信号が発せられました。

 サルは静かに人間の動きを見ていただけなのに、です。

 これが、ミラーニューロンと言われる神経細胞の発見のきっかけです。

 ミラーニューロンとは他人の行動を見て、自分もあたかも同じような行動をとっているかのように反応する神経細胞です。

 そして、これは行動だけでなく、他人と共感したり他人の心理状態も再現する、とも考えられています。



 これまで何度か、自分の農産物とか商品の販売を働きかけるには共感が必要と述べてきました。

 この共感とは、人の行動を見聞きすることにより、自分ものその行動を追体験することです。

 これにより、購入したい、という感情がわき起こります。

 ミラーニューロンの働きからすると、十分納得がいきますね。

 さらに、人の動きを見るだけではありません。

 文章で書かれていても、同じようにミラーニューロンが働くとまで言われています。



 もしそうであれば、産直出荷のPOPやインターネットの商品説明にも、このような働きを利用しない手はないですね。

 例えば、エゴマの実を売るとします。

 この時、どんなPOPを作るでしょう

 例えば、「必須脂肪酸であるαーリノレン酸やポリフェノールを豊富に含む健康食品」とするか、

 あるいは「ホカホカのご飯に煎りエゴマを一振りすれば、懐かしい田舎のおばあちゃんの味」と書くか。

 後者の方が、ミラーニューロンの働きに、より忠実なPOPとなっています。



 よく変わった農産物を売るときは、調理法や食べ方を書くとよいと言われます。

 それは、こういった面からも言えるのですね。

 単に、料理のレシピの情報が欲しい訳ではないことに留意しましょう。

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