毎日仕事から家に帰ると、妻からよく色んな話を聞かされます。

 先日聞いたのは、近所の農家のおばあさんとの世間話です。

 そのおばあさんは、息子一家と同居していて、嫁との仲はそんなに悪くないのですが、それでもときどき頭に来ることがあるようです。

 先日の世間話も、

「ウチの嫁は、畑でとってきた野菜を使わずにスーパーで買ってくる」

と愚痴っていたそうです。

 実は、それは我が家でもあります。

 私の妻も、私が作った野菜も使わずに、よく買ってきます。

 結構、悲しいです。

 なぜ畑で取れた新鮮な野菜よりも、お金のかかるスーパーの野菜を選ぶのか?

 今どきの消費者は、値段で農作物を選ぶのではないのか?

 ということで、今回は、消費者がどのような要因で商品を選択するかについて考えてみましょう。



 それではまず例として、ある消費者が晩ご飯に中華料理、中でも餃子が欲しくなったとします。

 このときの、餃子を食べる選択肢としては

・外食する

・宅配サービスを利用

・スーパーで買った餃子をレンジやフライパンで調理

・餃子の皮と具の材料を買ってきて一からつくる

等々です。

 これらの中からどれを選択するかは、次の6つが関係するとされています。

1 かけられる時間

2 その人の経済的豊かさ

3 そのものの値段

4 世帯の人数

5 消費する上での技術

6 ライフスタイル、価値意識

 現在では、これらの多くは時間を考慮しなければなりません。

 1の時間というのはそのものズバリで、調理時間が短縮されることをメリットとして選ぶものです。

 一般に、収入の多い人は時給が高いので、これを選ぶとされています。

 2の経済的豊かさは3の値段の兼ね合いで、金銭的に余裕のある人がより高価な消費手段である外食を選びがち、ということです。

 ただし、現代ではお金持ちだけがこれを選ぶわけではありません。

 調理に時間を使うことは、働いて収入を得る時間を失うことにもなります。

 ですから、所得の低い層でも、働くことを優先して、外食など手軽な食事をとることもあります。



 4の世帯の人数は、大家族であれば家族内で業務を分担し、家事を専属で切り盛りする人を作ることも可能です。

 が、最近の核家族化や単身世帯の増加した家庭ではなかなかそうもいきません。

 それで、夫婦共働きとかして、結局手間のかかる調理は後回しとなりがちです。



 5の消費技術も失われてきまた。

 餃子位ならまだしも、茶碗蒸しとかややこしいのになると作りたくても作り方がわかりません。

 新たに覚えようとすれば、やはり多くの時間が必要です。



 従って、それを省くためにでき合いのものを買わざるを得なくなります。

 こうしたことから、消費者がわざわざ食材を買って調理するのは6のライフスタイルとか価値観によるところが大きくなります。

 忙しい現在において、時間を犠牲にしてまで自分で調理をする価値観とは何か?

 この辺りを考えることが、あなたの農産物を選択してもらうヒントになるかも知れませんね。