Fake Girl's ~日式 Japanese Style~
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リリは、龍の書いた地図を頼りに、シャンレイがいるであろうサウナ「リンダー」に辿り着いた。

そしてリンダーのボス、チェンを訪ねた。

『私、シャンレイの姉です。あの子に会わせてください。今、ここで働いているのですか?』

『シャンレイはいないよ。あいつは悪い女だよ。僕が渡した整形と豊胸の手術代金持って、
逃げたままだよ、今すぐあの子見つけ出してこの店に連れてこないと、大変な事になるよ』

店の応接で、チェンは細い眼をつり上げてかなり怒っている様子だった。
あきらかにその風貌からは、マフィア特有の黒いオーラが漂っていた。

『シャンレイはいくら借りているんですか?私がなんとかしますから、
妹にひどい事しないで下さい、どうかお願いします』

『あの子に渡したお金は5万香港ドルだよ お金返すだけの条件じゃだめだよ、
ちゃんと豊胸と整形手術した後で、日式モデルクラスとして、この店で働いて、
最低でもVIPのお客さん100人取らないと駄目、でないと、あの子のパスポートは返さないよ、
パスポート無ければマカオから出られないよ』

チェンは、そうまくしたてた後、葉巻を取り出して火をつけた。

『マカオは狭いし、どこに逃げたって、僕の息のかかった連中にすぐ見つかるよ』

チェンはリリをじろっと見ながら、ふてぶてしく見下すようにそう吐き捨てるように言った。

リリは絶望的になった、5万香港ドルといえば日本円で50万だが、貧しいリリ達の国、
ラヒトでは一般の平均年収より高かった。しかしそんな事よりも、
かわいい妹が見ず知らずの男たち100人の性交渉の相手をしないといけない状況と、
今逃げ出したまま捕まった後に、何をされてしまうのかを考えるととても恐ろしかった。

『チェンさん 100人分の売上っていくらなんですか?』
恐る恐る、リリが尋ねた。

『一人2000香港ドルだから100人で20万香港ドルだね、でもそのうち半分が店の取り分だから、
10万は女の子の給料だよ、シャンレイが客取ったらあの子に払う10万から5万引いて
あの子にも5万きちんと払うよ、お金にはキチンとするのがマカオ流だよ』

リリはそれを聞いて、ピンと来た。

『あの子、そのお金で日本に行く気なんだ...』
小さく呟いた。

『わかりました、チェンさん シャンレイは私が必ず見つけ出しますから、
どうかあの子を捕まえてひどい事しないで下さい』

『約束守ってくれれば何もしないよ、でもいつまでも待てないよ』

シャンレイの今の置かれた状況を理解したリリは、チェンにぺこりとお辞儀をすると、
ばたばたと店を後にした。

行くあての無いリリが店を出て暫く路地裏の道を歩いていると、
いつのまにか周りを気にするように、後ろから一人の女が近づいてきた。
見知らぬアジア人女性だった。

『りりさん、』
小声で話しかけてきた。

『私、ラヒト人のカミンです、シャンレイの居場所知っています』

『え? シャンレイは今どこにいるの?』

リリはカミンの両肩をギュっと掴むと、大きな目をむき出してそう尋ねた。
"Fake Girl's"<マカオ編>第一話から第十話までのあらすじ

横浜のカジノでディーラーを勤めていた28歳の宮浦龍(通称、ロン)は、突然勤めていたカジノが、

警察の摘発にあってしまい、失意の元、将来を見失いマカオへやってきた。

ギャンブルの表も裏も知り尽くしている龍は、マカオで得意のブラックジャックで世捨て人のような

生活を送っていた。

ある日、マカオの旧い街並みの中にある「マカオ式サウナ風俗」の男子トイレで、

一人の少女と出会う。

名前は「シャンレイ」、あどけない顔をした、日本語が上手にできる、アジアの小国

「ラヒト」出身の、貧しい身なりの10代の子だった。

シャンレイは、日本に行く夢を果たすため、マカオでお金を稼ぎに家出して来ていたのだった。

シャンレイは、サウナ『リンダー』のボス「チェン」にパスポートを取られていた。

チェンは、シャンレイの得意な日本語に目をつけ、パスポートを借金の形にして、

高額な整形と豊胸手術を受けさせ、マカオのサウナで最も価格の高い高級な

日式(日本人)モデルクラスサウナ風俗嬢に仕立て上げようと企んでいた。

マカオには来たものの、整形を受け変身する事を怖がったシャンレイは、龍に助けを求める。

結果的にシャンレイを匿ってしまった龍は、シャンレイと数日一緒に過ごす。

その際、ふと耳にしたシャンレイの圧倒的な歌唱力に驚く。

ストイックなギャンブラー生活とは、矛盾する環境になってしまう事を恐れた龍は、

ある日カジノで負け、苛立ってしまいシャンレイに冷たくあたる。

龍に教えてほしい事があると言っていたシャンレイは、結局何も聞かないまま

龍に謎の日本の曲を歌った後、姿を消してしまう。

シャンレイが消えた後、龍がカジノでゲームをしているとまたもやラヒト出身の女と知り合う。

彼女の名前は「りり」、なんとシャンレイの姉だった。シャンレイを探しにマカオに着いたばかり

だった。

シャンレイと知り合ったサウナの場所を、りりに教えた時、龍の携帯電話が鳴った。

電話の向こうは、横浜のカジノ時代の常連客で人気アイドルグループ「東京スカイレディース」

の芸能事務所の社長、安田だった。








その後、二人の席はツキにツキまくった。チップが積み上がり、龍はここぞとばかりに、全身全霊を投

じて大きく張り続けた。

女も黙って龍に従うように、まるで最初からコンビを組んでいたかのように、龍のペースに呼吸を合わ

せ、賭け金のリズムをあわせた。

「ずいぶん度胸あるな」

どう見ても金持ち風に見えないその女に、龍が呟いた。

途中、龍のカードが絵札2枚で20、親のディーラーが弱いカードの16から5を引いて21となった。

次のゲームでも、龍が絵札と9の19、親のディーラーが9、次のカードが絵札でも引き分けの所、

Aを引き20となった。

2ゲーム続けて、勝ちゲームを不条理な展開で賭け金を取られた。

「そうら、おいでなすったよ」

龍はさっと席を立った。不条理開始のサインと読んだのだった。

「もうやめるんですか?もったいない」

すっかり勝って高揚した気分の女が龍を見つめた。

龍が、その次のゲームを席から離れて見ていると、ディーラーはAと絵札のブラックジャック(21)を

引いた。

「今までのは撒き餌で、ここから、すごい勢いで取られていくんだよ」

龍は、にやっと笑いながら、女にそう言い残して、テーブルを後にした。

女は何を言ってるのだろう?と、キョトンとした顔だった。

食事を取りに、レストラン方面に歩いていると、さっきの女が小走りに追いかけてきた。

「お兄さん、タバコ忘れてますよ ほら」

「いけない ありがとう」

「良かったら、私にごちそうさせてください」

龍のおかげで大勝ちした女は、龍の横に並んで歩き、手にあふれそうなチップを見ながら、

うれしそうに龍を誘った。

「君はどこから来たの まさかラヒトとかじゃないよね?」

「え?私ラヒトだよ ラヒトの事知っているの?」

「え! ちょっと前にラヒトの女の子と仲よくしてたんだよ」

「!! それって名前は??」

「シャンレイって言ってた」
「シャンレイは、私の妹です!私、妹を探すために、マカオに来たばかりなんです!」

女はびっくりした顔で龍に詰め寄り、大きな目をさらに丸くしてそう言った。

龍も当然、驚いた。

「シャンレイ どこにいますか?」

「それが、」

龍は苦い顔をするしかなかった。

「まぁ飯でも食おうか」

二人はカジノの中央にあった、中華料理の店に入り、タンメンとビールを二つ頼むと、女が持ってきた

タバコに火をつけふーっと一息つけた。

「私、シャンレイ探してます。あの子、まだ子供でマカオは危ないです。なんとか見つけ出して

連れて帰らないといけないんです。母親も心配しています」

「シャンレイはいなくなったんだ、きっとあのサウナにいる」

「どこのサウナですか?お願いです。連れて行って下さい」

「地図を書いてあげるよ」

また、面倒な事に巻き込まれたくない龍は、店に置いてあったパンフレットの裏側に、店から借りたペ

ンで、リンダーという名前と、今いるカジノから、リンダーまでの地図を書いて渡した。

「ありがとう、お兄さんの名前は?」

「龍だよ、シャンレイにロンと言えばわかるよ。」「君の名前は?」

「私は凛凛(りり)です。」

「いくつなの?」

「私は二十歳です」

その時、龍のポケットから携帯電話のバイブ音が鳴った。

「もしもし、ロン?元気かー 俺だよ安田だよ 良かった、やっと繋がったよ」

龍が電話に出ると、電話の向こうで張りのある陽気な声が聞こえてきた。安田とは横浜のカジノ時代

の常連客で、アパレル店舗をいくつも持ち、人気アイドルクループ「東京スカイレディース(略して

TSL)」を抱える芸能プロダクションの社長だった。

「ロン、来月ペインズでTSLのコンサートをやるんだよ、その時にブラックジャックトーナメントがペインズ

である事を聞いたんだよ。ロンがきっと参加すると思ってさ!なぁロン一緒に組もうぜ。俺とロンが組め

ば絶対勝てるよ」

安田は、龍がマカオにいる事を、人づてに知ったらしかった。

「わかりました、こっちに着いたらまた電話してください」

龍はそう言って電話を切った。

「ブラックジャックトーナメントって、どこであるんですか?賞金いくらですか?」

電話の会話を聞いていた女は、龍に尋ねた

「素人は無理だよ。参加費も高いし、やめといた方がいいよ」

「それよりシャンレイ探しに行くんだろう?」

女はそうだった、とばかりに、龍に一礼すると大勝ちして手に持ち切れないチップの中から会計をする

と、再度振り返って、龍にぺこり頭を下げ、龍にもらった地図を手に、小走りに去って行った。

「シャンレイ・・・」

龍は、小さくため息をついた...